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ずっと母と妹に搾取されていたことに気付けたので縁を切りました  作者: 朔晦 月陽


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くるみ探し


「くるみ?うーん聞いたことないな」


翌日の朝食の時、私はさっそくくるみを知っているかルカルディ様に確認した。


「やはりそうですか。ローゼンフィルの一部地域で食べられていた木の実なんですの。寒い地域のものでしたので、もしかしたら辺境にもあるかもしれないと思いまして。森に探しに行ってみてもよろしいでしょうか?」

「もちろん、構わない。今日でよければ私がお供しよう」

「ルカルディ様が?そんなご迷惑かけられませわ」

「迷惑だなんて。私は少しでもオルデア嬢と過ごしたい。今は隣国との小競り合いもないし比較的忙しくはないんだ」

「嬉しいですわ……私もルカルディ様と過ごしたいですもの」

「オルデア嬢が疲れていなければ領地を案内しようと思っていたんだ。森からになるとは思わなかったが、街より森のが多いからね。森を見たいと行ってもらえて良かった。街だけではすぐに終わってしまうが、森も行ければ今日のあなたと過ごす時間は長くとれそうだ」


慣れない甘い言葉に私は照れつつも、楽しみですとお伝えした。


森に行くこともあり、私は簡素なドレスを着用した。森の近くまでは馬車で向かい、そこから先はルカルディ様の馬に乗せてもらい移動となった。

森の中をしばらく行くと見覚えのある木があたり一面に生えていた。

ルカルディ様に馬から降ろしてもらい、地面を見ればそこらじゅうにゴロゴロと皮に包まれたくるみが落ちていた。


「これがくるみ?」


足元に転がるくるみを見ながらルカルディ様が言う。


「はい。事前に言いましたがこれに直接触れるとかぶれたりするそうなので、触れないでくださいね」


森に入る前に護衛の人も含めて伝えたが、もう一度念押しする。

すると近くにいた騎士の一人がなるほど、とひとりごちた。


「子供の頃ばば様に言われました。森に入ったら落ちてる木の実やきのこ、木にも無闇矢鱈と触るなと。痒くなったり痛くなったりするぞと脅されましたが、こういう物があるからだったんですね」

「私もローゼンフィル領で初めて森に入った時に領民に同じようなことを言われましたわ。そこでくるみのことも初めて知りました」


あたりを見渡せばくるみの木はずいぶん先まで続いている。くるみを食べられる状態にするまでどのぐらい大変か分からないが、それができたら、これだけ木があるのだから商売にもなるかもしれない。


くるみの木があることを確認して、今日のところは引き返した。どうやったら食べられる状態にできるのかは知らないので、邸に返ったらさっそくローゼンフィル領民に手紙を出さなければなと考えていたら馬車が停車した。


「ここは辺境でも1番賑わっている街なんだ。散策してみないか?」


ルカルディ様の手を借りて馬車を降りると、そこは活気溢れる街だった。

市場があり、そこかしこで人の声が飛び交っている。


「領主様こんにちは!」

「領主様またご相談が!」

「領主様!今日もかっこいい!」


ルカルディ様はたくさんの領民から声をかけられていて驚いた。私も領民とは親しい方だが、それは珍しいことだと理解している。


「領主様!そちらのお嬢様は!?」


一人がそう言うと、さっきまで騒がしかったのが嘘のように静まりかえった。


「え?」


しん、とした中で驚いた私の声だけが聞こえた。


「皆あなたの事が気になっているようだ」


こちらを興味津々といった様子で見ている者、顔を向けていないが耳をすませている者、物陰からそろーと覗いている者、皆先程の問いの答えを聞き漏らすまいと静かに、しかしこちらに全神経を向けているのが分かる。


「皆、気になっているようなので少し聞いてくれ」


ルカルディ様が少し大きな声で言った。よく通るその声に皆が集中した。


「彼女はオルデア・ローゼンフィル侯爵令嬢。私の婚約者としてこの地に来てくれた」

「オルデア・ローゼンフィルと申します。どうぞ皆様よろしくお願い致します」


ルカルディ様の横に並び遠くまで届くように、されど大声にはならないように、侯爵令嬢らしく凛とした声になるよう意識して挨拶をした。

私の挨拶を聞くと、わぁぁぁっと歓声が上がった。


「おめでとうございます!!」

「ルカルディ様良かったですね!!」

「ようこそ辺境の地へ!!」


領民達は押し寄せてくるようなことはしないが、お祝いだお祝いだと騒ぎ、収集がつかなくなってしまったので、また近いうちに来るからと言ってとりあえず馬車へ避難した。


「すまない、あんなに大騒ぎになるとは」

「いいえ、領民達からあれだけ慕われている領主様は少ないですわ。素敵なことです」


今日のところは辺境伯邸に戻ることにした。

ルカルディ様がようやく結婚するそうだと領民達は隣の人へ隣の人へと話していき、あっという間に話は広がったそうで、その日の夕方には領民達からの祝の品が沢山届いていた。

ほとんどが領地でとれた食材だったので夕食はとても豪華になった。

そしてそれは数日続いたのだった。




お読みいただきありがとうございます

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