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敵対って必要ですか?

「で、なんであなたがこんなところにいるんですか?」


 酔いつぶれて目を覚ましたら、ペチカは王国の戦士、ジャムとエンカウントした。運ばれた仮眠スペースで隣同士で寝てたらしい。

 で、寝起き早々にこうして絡まれているというわけだ。


「作戦失敗して上司にさんざん絞られたんだよ。それでストレス解消にカジノに来たんだが……」


「負けて酔いつぶれてここに連れてこられたと」


「うるせえ! ぐっ、いってぇ……」


 大声を出したジャムは頭を押さえてうずくまった。二日酔いの頭に自分の大声が響いたのだ。


「どうせお前もここに連れてこられてる時点で似たようなもんだろう」


「まあそうですね、私も人のことは言えません。それより、こうして再開したのも何かの縁です。朝ごはんでも食べに行きませんか?」


 そういうことになった。



「うわ、見事に肉ばかり取ってますね…」


 カジノに併設されたレストランでモーニングビュッフェをやっていたので、二人はそれぞれ料理を取ってから席についた。


 ジャムが好きなものばかり皿に載せているのに対し、ペチカは高そうなものばかり選んでいる。

 冒険者生活が長いとこういうところに来たとき元を取ろうとしてしまう悲しいさがである。


「知ってますか? 今結構な数の冒険者たちがあなたたちのことを狙っているんですよ」


 食事をしながら、ペチカは前のダンジョン依頼で逮捕された五人の釈放を求めるため、冒険者仲間たちがジャムたちを捕らえようとしていることを教えた。


「なぜそれを俺に教える? お前の仲間がやろうとしていることだろう。ならばお前から見て俺は敵にあたるはずだ」


「それはそうですね。でも私個人としてはあなたに恨みはありませんから。ならばわざわざ敵対する必要もないでしょう。王国お抱えの戦士を敵に回すのは避けたい」


 ペチカにはペチカの都合がある。今回の件に関しては、自分に関わりのないところで、なるべく早く解決することが望ましい。

 誰の恨みも買わず、身内が解放される。それがベストだ。


「なので私から一つ提案があります。手を組みませんか? お互いに被害が出ないように協力してこの件を解決に導くというのはどうですか?」


「それはこちらに何かメリットがあるのか? お前が得するだけにしか思えないが」


「それはもちろんお互いにメリットはありますよ。でなければ手を組む意味がない」


 しめた、とペチカは思った。食いついてきてくれるなら、どのようにでも誘導できる。


「一つ、あなたたちを追っている冒険者たちにはS級も混ざっています。S級複数人で不意討ちとなればさすがにあなただろうとやられますよ。そして捕まれば身ぐるみ剥がされた上で証言を得るために拷問にかけられる。可能性がある以上、あなたもそれは避けたいでしょう」


 これは半分脅しである。ペチカが仲間を連れてジャムに襲いかかれば、この状況は実現しうる。


「二つ、あなたは手を汚すことなく気に食わない身内を貶めることができます。目の上のたんこぶな上司や同僚。なんならあなたの立ち回り次第ではそれを糾弾きゅうだんする側に立つことだってできる」


 ハチミツ大臣と話して、ジャムたち王国の戦士たちにも政治闘争みたいなのがあることをペチカは知っている。

 ならば蹴落としたい人間の一人や二人、いるのではないかというペチカの読みである。


「三つ、私には冒険者ギルドに強力なコネがあります。お抱えの冒険者だったこともありますからね。協力していただけるなら、しかるべき相手にあなたを紹介しましょう」


 前のダンジョン依頼のように、王国側から冒険者ギルドへ協力を要請するケースはしょっちゅうあることである。

 今後の出世を考えるなら、コネを作っておくことにメリットはあるはずだ。


「どうですか? 悪くない話だと思いますが」


「なるほど……少し考えさせてくれ」


 ジャムは考え込んでしまった。

 ペチカは新しい料理を取りに行って答えを待つ。

 もう一押しでジャムは了承するだろう。冒険者としての経験から、そうペチカは判断した。


「まああなたが悩むのもわかります。最大の問題はわたしが信用できないってことですよね?」


 席に戻ったペチカは再び話始めた。


「それは無理からぬことです。ダンジョンではあなたたちを出し抜き仲間五人を置いて一人帰ったわけですからね。私があなたの立場でも悩むでしょう」


「ああ、そうだな……」


 実際には他の理由もあるだろうが、こうやって断定して話を進めていけば、それが解決したときにNOとは言いづらくなる。言いくるめるためのテクニックだ。


「まだ二日酔いも残ってますよね? 今日はギャンブルはやめにして、私といいことしましょう。部屋を取りますから今夜は一緒に……」


 そして色仕掛け。

 ペチカは自分の顔がかわいくてスタイルもいいことを自覚しているし、時にはこうして利用するタイプだ。

 男なんて一回寝てしまえばあとはどうにでもなるとも言っている。

 そしてその晩、そういうことになった。

 最近真面目な話多い気がする。

 ブクマと評価欲しいです。

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