今できることは限られてるが将来のためにまずは学力をつけていこうか
今現在である昭和59年(1984年)にはスマホどころかガラケーの携帯電話やPHSもまだなく、移動電話では自動車電話や列車内電話がある程度。
当然だが情報収集にめちゃくちゃ便利な“生まれ変わる前”はよく使っていた検索機能があるサイトもインターネット自体もないので、現状確認のための情報収集は大変だ。
だが、近くにある図書館に行けばそこにきちんと保管されてる新聞や雑誌などがあり、それをいろいろ読んで集めた情報や、子供部屋にある14インチのブラウン管テレビのニュースやそれを補足するように思い出す記憶などである程度のこの時期の情報はわかった。
現在の内閣総理大臣は自由民主党の大曽根康弘、アメリカ大統領は元ハリウッド俳優のロナルド・ローガン。
「二人はロン、ヤスと呼び合う親しい仲だったと言われてるみたいだな。
なんか名前がちょっと違ってるけど」
この年には、オーストラリアからコアラ6頭が初上陸し、パンダの人気を追い抜いてコアラブームを巻き起こした。
「日本人にとってオーストラリアという国が知られて身近に感じられるようになったのも、このあたりからかな?」
また珍獣であるエリマキトカゲも大流行、四菱自動車ファントムミラージュのテレビコマーシャルで襟を広げて走る姿で大ブレークとなったが、肝心のファントムミラージュが売れず、CMが流行れば商品も売れるというそれまでの常識が崩れた。
「このあたりから広告業界も苦労し始めるってことか」
また日本の平均寿命が男女とも世界一になった年でもあり、日経平均株価が初めて10,000円の大台を突破した年でもあった。
「株価の平均が10,000円を超えたのがこの年だったとは思わなかったな。
結構急激に平均株価が上がるのか」
鉄道はまだ日本国有鉄道こと国鉄であったが、貨物列車の大幅削減を伴うダイヤ改正が実施され輸送流通は鉄道ではなく大型トラックが主流になってきている。
「トラック輸送だと騒音とか大気汚染とかいろいろ問題もあるんだけどな」
スタジオジブチのアニメ映画「風の渓谷のナウシカ」が公開され、ファンタジー風の世界観が広まる契機となり、エ崎ガリコの社長が誘拐され、“どくいりきけん”、“かい人21面相”によるガリコ・林永事件がはじまった。
「これで、お菓子が食べにくくなるのは困ったよな。
やっぱり会社の名前自体なんか変わってる」
さらに藤テレビの人気時代劇の銭方平助が終了、時代劇の衰退を実感させてもいる。
「やっぱりマンネリだと飽きられるよな流石に。
上様ほど派手じゃないし」
野球の後楽園スタジアムはエアドーム計画を発表し、その後ドーム球場となっていくが、プロ野球では広島プーカが日本選手権シリーズで阪急ベアーズを4勝3敗で下し4年ぶりの日本一になっている。
「プーカの全盛期か、この後は球団の金の有る無しが如実に出てくるんだよな」
新紙幣が発行され1万円札が聖徳太子から福澤諭吉になった。
「太子様じゃなくて諭吉様になったのってここからだったんだな。
まあ小遣いで一月1万は多いほうだと思うけど」
漫画では週刊少年ホップの全盛期で肉肉マン・コマンドー翼・北東の拳・龍玉などが連載され、その影響でサッカーが日本でもメジャーになっていく。
「ホップを買ってみんなで、回し読みするとかも普通だったっけ。
そのせいで俺サッカー部所属なんだよな。
でも、今回は部活を続けてもあんまり意味なさそうだけど」
残念ながらレギュラーを取れるほど運動神経は抜群というわけではなかったりするのだ……。
「生まれ変わったときになにか、前より優れた能力とか知識とか与えられてるはずか?
部活に参加して確かめたほうがいいかな」
講談社から写真週刊誌「瞬間金曜」が創刊され、新潮社の「激写」と共にパパラッチ的な報道が激しくなる。
「このあたりから雑誌報道というものが下品になってくんだよな」
東京都区部、大阪、福岡、札幌、横浜、名古屋、仙台、八王子、浦和、京都、立川、大宮で年10%から20%の地価上昇が認められる土地バブルの開始時期とまあそんな時代。
この時期辺りから民間への就職のほうが公務員より圧倒的に人気になり、バイトでも一日2万など簡単に金が稼げるフリーターがもてはやされ、公務員は能力のない人間がなるものとも思われていた。
そして大手の銀行や証券会社が潰れるなどということはありえないと思われ、土地の値段なども下がることはないと思われていて、たとえば子供が生まれたら住んでる住宅を売って、それを頭金にまた新しく買うということが普通に行われた時代でもある。
俺の家は千葉県の船橋市にあり、父親は銀行マンで母親は元銀行事務員、両人は職場結婚後、母親は寿退社の専業主婦、40代の父の年収は1000万円以上あるおかげで、俺の生活はかなり恵まれている方だとは思う、住んでるのも一軒家の一人部屋だし、個人用のテレビや本棚なんかもあるしな。
「本棚には漫画も新書も文庫本も図鑑もあるし雑食なんだなぁ、この頃の俺」
この時期の中学校は校内暴力が問題になっていて、ひどい学校だと窓ガラスなどが頻繁に割られていたりするし、暴走族も巨大化して問題になっている時期だな。
「うちはそこまでひどくないはずなのが救いだな」
公務員については1980年代前半くらいまでは、事務官として採用されると30歳で地方の税務署長、警察署長、郵便局長などに就き、本省課長クラスは大企業の社長に行政指導という形で号令をかける立場になれ、更に天下りして約70歳までは職に困ることは無いばかりか、生涯賃金で多くの民間企業を圧倒するということで、非常に人気が高かった。
だが、民間企業の給料の上昇、著しいサービス残業の多さ、ロッキー事件のような汚職などの不祥事の頻発とそれによるマスコミの公務員バッシングによって人気が急激に落ちているところだ。
「うーん、今から猛勉強してキャリアになっても、どう考えてもバブル崩壊に対しての対策は間に合わないか……。
なら40年後の少子高齢化なんかの対策はどうするべきかなんだが……」
「結局、男女平等の女性に対しての仕事と子育ての両立支援なんていうのが無理で女性は可能な限り出産や子育てに専念できる環境を作るべきなんだよな」
能力がある女性が社会進出をして男性と同じように働くようにできるような環境にする。
これは一見するととても良さげなことだ。
だがこれを「俺ら男と同じようにできるなら同じ仕事していいよ、同じように泊まり込みとかでもできんならな」「平等なんだから女だからって優遇はしないよ、同じ給料払ってるんだから生理でも休むなよ」「育児でブランクができるなら出世が遅れるのは当たり前だよね」という多数を占める男側の論理に揉まれながら女性は働かなくてはならないうえに、晩婚化未婚化も進んで余計に少子化が進むのだからまず女性が働きやすいだけではなく、子供を産み育てやすいという環境を用意したうえで、仕事をしていても育児を保育園などに安心して任せることができるような職場環境を整えるべきなのであろう。
「一部上場企業に入ったりキャリアを目指すより自分で起業したほうがいいか?
そしてこれから伸びる業種といえば……コンピューターやゲームか?
だとしたらホムコンとかじゃなくてカードを使ってバトルするゲームとかなら利益は出しやすそうだけど……陣天堂ももともとは花札とかの製造の会社だしな」
とりあえず何を目指すにしても地位やコネや金がいずれは必要になるだろうし、そのためにも高校進学後になるべくいい大学に入っておかないといけないだろう。
「やっぱ真面目に勉強はして良い高校・大学には行かないとな」
日本は極端な学歴偏重社会で、履歴書や名刺に書いてある出身の学校や資格、所属している会社の名前で多くは判断されるからな。




