episode4-5
「ディアナ」
名前を呼ぶとゆっくりこちらを向いた。
「なに?」
「ソラハは?」
「なんか、剣の練習しに行ったけど…どうかした?」
「あのな……もう、ここをでなくてはならなくなった。…なにも、礼をすることができなくてごめんな。でも、また……必ずまたお前に会いに来る」
一呼吸置いてディアナが口を開く。
「…王子様は大変ね。…うん、…………うん、私もまた、あなたに会いたい。楽しみに…してるね」
シアンがディアナの頭を撫でると、ディアナは恥ずかしそうに下を向いた。
「じゃあな…手当してくれてありがとう。ソラハにもよろしく言って置いてくれ」
「うん……あ!ちょっと待って。これ、持っていって」
「……時計?」
「うん…私の自信作!……次会った時にわかるように、持ってて」
「わかった、じゃあ俺も」
シアンはディアナに自分が唯一身につけていた指輪を渡した。
「ありがとう。…大事に持っとくね」
「ああ、じゃあ本当にいくな」
「うん、いってらっしゃい」
綺麗な黄金色の瞳を細めて、彼女は微笑む。きっと、この時計がなくても絶対にディアナのことは忘れない。たった数時間しか一緒にいなかったのに、こんなにも……
「ほら、聞き耳立ててないで、いくぞ」
ドアの外にいたエクルの肩を強めにたたいて、歩みを進める。
「…………」
「…………」
「…………なんだよ」
「………いや…」
「…なんかあるなら言えばいいだろ」
「いいんですか、このまま別れて?」
「……ああ、ずっと一緒にいたら逆に別れ難くなる…」
「……一目惚れ…って本当にあるんですね」
「お前は…もう、うっさいわ、早くいくぞ」
「はいっ!」
夕暮れの中2つの大きな影が並んでティスカ城へと向かった。




