episode3-4
シアンは何冊もある本の中からただ1つ背表紙のタイトルが手書きで書かれている『ティスカ王国の歴史』という本を取った。
『ティスカ王国は世界の5大陸のうちの1大陸【ミガー】の南南西に位置している。またティスカは成立当初【ティアリカ】という名前であり、その名は今も王族の第2の姓として使われている。また、ティスカではティアリカのころから王位は男でなければ継げないものとされてきた。
-----古く1000年も前から商工業が発展し、隣国パタトゥライア王国及びサギマ王国、ドォーファ王国とは貿易を通じて共に発展してきたが、なぜか4代に一度、傍若無人な王が誕生し、その年は戦争が絶えず行われている。その対策としてティスカが行ったのは4代目に王族ではない人間を王として確立させることである。この政策が始まったころから、ティアリカはティスカという名に国名を変えたのである。-----
-----しかし、今から約150年前104代目の王、つまり影武者の王が、次の105代目の王位継承者を暗殺し、自らの息子を105代目の王として、君臨させた。この時から、ティスカは影武者が本来の王として政治を行う国となってしまった。私がこの手記を書くにあたり、この暗殺事件は【ティアリカの抹消】と名付けることにした。
また、王族は全員が殺されたわけではなく、女は生かされていた。その時の王妃は城下町へと逃げ込み、身ごもっていた子を出産した。それが、私の祖父ロアタフである。
ロアタフは欲がない人間で、再び王位を狙おうとはせず、城下町で静かに暮らすことを望んだ。そして、【ティアリカの抹消】は時の王によって完璧に消し去られてしまった。だから、この事件を知るものは、今はもう私しかいないのである。いや、違う。祖父、ロアタフはよくパタトゥライア王国の王と密会をしていたようだから、私しか知らないとは言い切れないのかもしれない』
そこから先はずっと終わりまで、空白のページが続いていた。最後のページには小さく名前が書かれていた。
『私の愛する子供達へ。モッカフ・ナルタフ・ティアリカ』
シアンはそっと本を棚に戻した。なにやらその本は見てはいけないような気がして、全て見てしまった後だったが、元の場所に本を戻して、また違う本を取った。




