episode3-3
「では、私、お店の方にいるので何かあったら呼んでください。まだ微熱ありますから完治するまで休んでてくださいね」
ディアナはベッドから下りてスカートについた埃を払うと、床に散らばっている本や、紙を集めて、本棚に戻した。
「…ここにある本は読んでもいいものか?」
シアンは見たことのない本のタイトルに興味が湧き、ディアナに尋ねると、ディアナは目を丸くして答えた。
「…別にいいですけど………あの、ここの本の半分はユダガヤ族が使っていた言語で書かれているので、…えーとですね、つまり昔の言葉で書かれているので読めないと思うのですが……残りの半分は国で所持が禁止されている内容のものだったりするのですが…」
「それは本当か⁉︎」
「は、はい」
怪訝な顔をされると思ったのに、目を輝かせてこちらに来るものだからディアナは驚き、後ろの本棚にぶつかってしまった。
「おっ……と、大丈夫か?」
本棚から何冊か本が落ちそうになってしまったいたのを腕で止めたので、シアンがディアナを抱きすくめるような体制になってしまった。
「あ……えっと、は、はいっ」
「ん、ならよかった。…俺、王宮で古い言語の勉強もしてたからたぶん読めると思うんだけど、読めなかったら後で教えてくれ」
「…はい、よろこんで!」
今まで、この本たちは店の店長とディアナでしか内容を共有したことがなかったので、ディアナは新たな人物と語り合えることが楽しみで仕方なかった。
「ディアナーー!!店番ーーー!頼む!」
ドアの向こうからしゃがれたおじいさんの声がして、シアンはディアナと顔を見合わせた。
「ふふっ!今の声は店長の声です。では、私お店の方に行きますので、どうぞゆっくりしてください」
「ああ、ありがとう」
先ほどとは違って浮かれながら出て行こうとするディアナの後ろ姿をシアンはじっと見つめ、ドアが閉まるとぼすっとベッドに寝転んだ。
「まさか、隣国で………出会いとはおかしなものだな……」
その小さな声は誰にも届かなかった。




