ターゲット
「起きなさぁい!!!」
耳痛ーーい!!
悠side
「ゆうぅ~起きなさぁい!」
カーテンを開ける音、耳に響く母さんの声、そして二度寝する俺。
「起きなさい!!」
相変わらずよく通るうるさい声だ、まるでリエと同じだな。
そのせいで目が見事に覚めてしまではないか。
クソ…母さんめ…
俺を起こしに来た母さんは薄い緑色のエプロンを着ていた。
ご飯を作っている間に来たのだろう。
「ふわぁ〜母さんいつ帰ってきたの?」
伸びをしながら尋ねる。
「今日の夜中の一時!アンタすぐ寝るからご飯ろくに食べてないでしょ?」
「食った」
「えっ?」
ビックリする母さん。まぁそうだよな、料理は出来るけど面倒だから晩ご飯食べずに寝る俺が食べたと言ったらそりゃあビックリするな(笑)まあ全然食べてないとかじゃないからな。体調崩すことはまずないだろう。
「ちぃちゃん覚えてる?」
「えぇ、綺麗な黒髪で背が小さくて可愛いくておとなしい子でしょ?」
「うん。ちぃちゃん、引っ越してきたんだよ家は隣り」
「そうなの?知らなかった。挨拶行かないといけないわね。それより制服に着替えてご飯食べなさい」
と言われ着替えて飯を食った。こうして俺の朝が始まった。
今日は久しぶりに早く起きた(起こされた)のでゆっくりすることが出来る。
ピンポーン
「はぁい」
誰が来たのかは大体が予想がつく、口うるさいリエだ。
「お邪魔します」
ビンゴこの声はリエだ…
今日は半袖のTシャツを着ている。そうかもうそんな時期か。確かに最近暑くなってきたな。
「リエちゃん、この前は悠の世話ごめんね」
「いえ、大丈夫です。また何か私に出来ることがあったら言って下さい!」
と笑顔。ものすごく明るくいい笑顔じゃないか、みんなに好かれそうな笑顔。
どうかその笑顔を俺にもしてくれないか。
リエが俺に向ける笑み、悪魔の微笑が恐ろしくて…
「それじゃ私達が出張のとき悠のことお願いしちゃっていいかしら?」
「はい!」
俺子供じゃねぇ!!
「ありがとう。あっもうこんな時間悠それじゃあ行ってくるね」
「いってらっしゃーい」
「あっそうだ。悠」
「ん?」
母さんは耳元で囁く。
「将来リエちゃんと結婚しちゃいなさいよ。ほんとに可愛くていい子じゃない、来いい夫婦になれるわよ」
と悪戯っぽく言った。
「なっ!かっ母さん何言ってんだよ!第一なんで俺がコイツと…」
「何ムキになってるのよ♪」
「別になってねーし!!」
「じゃっ行ってくるねー♪」
逃げるように母さんは行った。母さんめ…余計なことを…
「悠どうかした?」
「別に…」
「?」
「何でも良いだろ?もう行こうぜ」
「うん」
家を出ると丁度ちぃちゃんが家から出てきた。
「あっ悠君おはようございます」
と一礼。
「おはよう」
リエの態度が急変。
「リエおはようだろ」
「………」
「あっえっと気にしないで!」
「はい。あの一緒に行ってもいいですか?」
躊躇うちぃちゃん。
「構わないけどリエは?」
「…ぃゃ」
何か聞こえたような…まぁいっか。
「んじゃ行こうか」
「はい!!」
いつもの可愛い笑顔がある。ちぃちゃんは昨日の晩の話をした。俺が帰ってから見た番組の話や母さんと父さんの話、お気に入りのぬいぐるみの話。その他諸々。
その話を聞いていたリエが何故か段々眉間にしわを作り出す。
「リエ、どうかしたか?」
「別に」
「そうか」
あからさま怒っているように見えるんですけど…
学校【教室】
「おっはよー」
「よぉ悠!なんだぁ“千砂姫”と登校するとは…ムカつく!ずりぃぞ!」
と航平に髪をぐしゃぐしゃにされる。
「止めろ!」
「コイツ!」
いつまで経っても止めない航平。しかもちぃちゃんのこと千砂姫って…
「あーもう!アンタ達朝からうっさいわね!!」
「こいつがさ、やたらちょっかいを出すんだよ!」
「とにかくうっさい!」
「あっあの!わっ私“千砂姫”でも何でもないです!地味で何でも」
「そんな事ないよ。手料理美味かったし」
「本当ですか!?」
「うん」
目をキラキラ輝かせるちぃちゃん。
何か後ろでとてつもない殺気が溢れ出ているような…
振り返ると…俺とちぃちゃんを除くクラスメイトが餌を狙う獣のように目を光らせていた。
リエは手をボキボキと鳴らしている。やばい俺のなかの警報が危険だということを知らせてる。
「悠?今なんて言った?」
流石“悪魔の微笑”と呼ばれていることはある。ものすごく怖い、とにかく怖い。すると航平が…
「みんな!!殺るぞ!!」
「おぅ!!!」
「ゴホ!!グ!ガ!グハ!グハゴホゴホ!!いってぇ」
「みんな終了だ!」
「了解!会長!」
「全員敬礼!」(リエ意外)
ビシ!
「解散!!」
「お前ら…軍隊かよ…」
「アホ」
「な…」
「悠君大丈夫ですか!?」
「うん。大丈夫ダメージはいつもより酷いけどさ」
と痛みが走るところを摩る。
「手に血が…」
「大丈夫、こんなの舐めときゃ治るよ」
「ダメです。絆創膏っと…」
ポケットから絆創膏を取り出し手に貼ってくれた。
「ありがと」
何だか少し照れくさいな…。
「………」
その時俺は分からなかった後ろから俺とちぃちゃんのやりとりを見て力強く拳を作っている人がいることを。
「あっもうすぐチャイムなるや、んじゃ机に座るわ」
「そうですね」
机に座るとリエがものすごく睨みつけてきて超怖い。
数十分後、授業が始まった。リエの視線が黒板の方へ向いた。
「ふぅ」
授業に助けられた俺でした。
*********
昼休み【屋上】
「つっかれたぁ~~~」
午前中の授業は教室全体が殺気で満ち溢れていた。午後もこんな授業になるのかと思うと気が重くなる。
しかし屋上の風は気持ち良い。
「悠君!」
「あっちぃちゃんどうしたの?」
「コレ…渡したくて」
「?」
可愛くラッピングされた袋を差し出された。
「開けてみてください」
開けるとハートの形をしたクッキーが入っていた。
「ココアパウダーを混ぜたクッキーです。口に合うか分かりませんが」
「ありがとう!食べていい?」
「はい」
「いっただっきまぁす」
口に入れてクッキーを味わうと…
「美味い美味い!!」
「そうですか!良かった…」
その笑顔がこれまた可愛い。するとちぃちゃんは俺に質問してきた。
「あのずっと気になっていたんですけど、ここって女子生徒全然いないですよね」
「だってうちの学校女子生徒二人しかいないんだから」
「……え~~~~~~~!!!!」
とビックリしたちぃちゃん。だって俺達が受験するときに共学になったばっかだし、一つ下の一年は女子生徒ゼロらしいし。と言ったらはたまたビックリ、説明会とかで言われなかったのかな?そんな話をしていると予鈴のチャイムが鳴り、俺とちぃちゃんは教室へ向かった。
…教室の中はまだ殺気に満ち溢れていた。少なくとも俺にはそう感じた。五時限目は俺のだいっきらいな数学だ。眠い、でも寝られなかった。理由は殺気だ。先生も授業がやりにくそうだった。
六時限目は情報だ。パソコンでタイピング練習とかExcelの使い方を教えてもらったりする授業だ。
俺の超得意分野だ。
恐らく殺気に満ち溢れていたと思うが、集中していた俺には敵わないだろう。それだけ得意分野の教科には集中力が半端ないなのだ!
HRが始まる前に航平の席にやたら男子が集まっていた。航平が何か言っている。気になるので盗み聞き。
「千砂姫ファンクラブ、活動内容は千砂姫に近づく虫けら(男子)を排除、殺ることだ。ターゲットの一覧はここに記してある。一覧の中に会員がいるのならば千砂姫にべたべたくっつくな。俺達は千砂姫を崇めるために存在しているのだ」
という内容が聞こえた。航平らしいファンクラブだ。
後、ターゲットの中には俺も含まれているらしい。
さてと、HR終わったし帰るとするか靴を持って久しぶりに一人で帰った。
駅前の自動販売機でコーラを買った。
「はぁ~~つっかれたぁ」
“千砂姫ファンクラブ”
恐るべし、まぁ明日には殺気は消えているだろうと自分にいい聞かせつつ。改札口を通り電車に乗った。もうすぐ最寄り駅だ。色々考えていたらすぐ着くなぁ。
駅を出ると即家に帰った。
家につくと真っ先に部屋に入りジャージに着替え布団に入り夢の世界へ飛び込んだ。
悠いい夢見れましたかね?




