シロちゃんです☆
千乃は、しばらくシーロの姿を眺めていた。
薄紫色のボブヘア。
淡い金色の瞳。
そして、天空神らしい淡い紫色の光。
「……ねえ、シロちゃん」
「んー?」
「シーロって、どういう意味なの?」
千乃が首を傾げる。
シーロは一瞬だけ目を丸くして、それからいつものように、のんびり笑った。
「ああ、シーロ?」
「うん」
「スペイン語で空って意味だよ!」
「……スペイン語!?」
千乃の目が輝いた。
「そうなの!?」
「そうそう」
シーロは楽しそうに頷く。
「天空神だし、空って意味の名前にしたの」
「なるほど……!」
千乃は腕を組んで、何度も頷いた。
「めちゃくちゃ分かりやすい!」
「でしょー?」
「天空神だから空!」
「うん」
「しかもスペイン語!」
「そう」
「なんかオシャレ!」
「ふふっ」
シーロは嬉しそうに笑った。
「アルちゃん、こういうの好きそうだね」
「好き!」
即答だった。
「私、神様の名前にアストラルってついてるのも結構好きだよ!」
「アルテナって名前はエレノアが付けたんだっけ?」
「うん!」
千乃が胸を張る。
「アルテナ・アストラル!」
「かっこいいじゃん」
「でしょ!」
すると、横で聞いていたカミルが静かに口を開いた。
「ならば我の名にも、何か意味があるのか?」
「カミル?」
千乃が振り返る。
「そういえば……」
シーロもカミルを見る。
「カミルって、どういう意味なんだろうね?」
「知らぬ」
「知らないんだ」
「我はカミルと呼ばれているからカミルなのだ」
「それはそう!」
千乃が笑う。
エレノアもくすくす笑っていた。
「名前って面白いよね☆」
「うん!」
千乃は改めてシーロを見る。
「じゃあ、シーロ・アストラルは『空の神、シーロ』って感じなんだ!」
「そんな感じー」
「なんかすごく似合ってる!」
「ほんと?」
「うん!」
千乃は空を見上げる。
無数の星々が広がる、アストラル・レルムの空。
その遥か彼方まで続く星海を眺めながら、千乃は笑った。
「空を司る神様なら、シロちゃんにぴったりだね」
「そう言ってもらえると、名付けた側も喜ぶかも」
「誰が付けたの?」
「私」
「自分で!?」
「うん」
シーロは何でもないことのように答えた。
「自分の名前くらい、自分で決めてもいいじゃん?」
「確かに!」
千乃は納得した。
「じゃあ私も、いつか新しい名前を考えてみようかな」
「アルテナ・アストラルがあるのに?」
「……」
千乃が黙る。
「……それもそうだね」
「ふふっ」
シーロが笑う。
その横で、エレノアが楽しそうに手を叩いた。
「アルちゃん、自分で自分の神名を増やそうとしてる☆」
「増やさないよ!」
神界に、三人の笑い声が響いた。
カミルだけは、静かに空を見上げていた。
「……空、か」
淡い紫色の光が、星々の間をゆっくり流れていく。
天空神シーロ。
その名の通り、この神界の空には彼女の力が満ちていた。
……と思う。




