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第350話 サプライズは幾重にもが基本なんです

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 僕達は、小分けして貰った醤油と味噌を受け取り、その対価として『霧のワイン』を8000本ずつ置いていった。


 これを少しずつ市場へ流していけば、価格も元の1億円ぐらいになるだろう。


 とりあえず、WINWINな良い取引になったので僕も大満足だ。


 次は、この醤油と味噌をシオさんの所へ持って行き、最高の料理を考えて貰おう。


 他の職人さん達の素材集めも手伝わないとだしね。


 たった二日しかなかったから、僕も結構忙しくなってしまった。


 そして、いよいよ当日になり全ての用意が整った。


 一番懸念していたサラリーマンさんに頼んでいた物も間に合い、僕はホッと胸を撫で下ろした。


 根本議員にも、かなり協力して貰ったらしく、また何かでお礼しないといけない。


 思案していた備えも万全となり、僕は大満足で会場設営に勤しんだ。



「ふぅ~ こんなものじゃない?」×アヤメ


「フフ、カンナ達の分が足りませんからね」×リラ


「完璧です! 細工は流々、後は仕上げを御覧じろですね~」


「皆も段取り出来たかな?」×ナギサ


「段取りは完璧だが、本当にメイド服着るのかよ?」×ミナミ


「もう諦めなさい! フミさんから貰ったでしょ?」×ノノ


「あ~ 分かったよ。恥ずかしいんだよな・・・」


「ウフフ、私も全ての用意が出来ましたわ」×フミ


「私も完成しましたー」×ヒメ


「私も久しぶりに、やり切った感があるわ♪」×シオ


「ではでは、予定通りメイドさん達のドレスからスタートしましょうか。


その後、直ぐに皆さんはメイド服に着替えて下さい。


ちなみに僕は、執事服です!」


「あはははは♪」×全員


「うふふ、可愛い執事さんになりそうね」×ソフィア


「早く見たいな~♪」×リッカ


「あはは、僕も皆さんのメイド服が楽しみです」


「あ~ それを言うなって」×ケリー


「メイド服に着替えたら、分からない様にコートを着といて下さいね。


お披露目は全員が、この会場に着いてからにしましょうか」


「了解!」×全員


「じゃ、『メイドさん大感謝祭』サプライズパーティスタートですー」


「ヤーーーーー♪」×全員



 僕達は何時もの様にクレセント本部から出掛けたので、メイドさん達は何も気付いてないんだよね。


 さあ、これからメイドさん達全員に驚いて貰おう♪


 僕は念話でクレセント本部へ戻る事を、カンナさんに伝えるとこから始める事にした。


 そして、何時もの様にメイドさん達が整列して集まってくれている所へ全員が帰ってきた。



「ただいま~」


「えっ? お、お帰りなさいませ。皆様?」×カンナ



 何時も通りに出掛けたクレセントメンバーが同時に全員帰ってきたので、メイドさん達は困惑しているようだ。


 その困惑を広げて上げる事からサプライズパーティが始まった。



「ヨウ様、これはいったい・・・」×カンナ


「えっと、ちょっとメイドさん達に用事があって戻ってきたんですけど。


皆さんに今から頼みたい事があるんですけど、良いでしょうか?」


「もちろん、ヨウ様の頼みでしたら喜んで」


「ちょっと、大変になるかもですけど大丈夫です?」


「も、もちろんです」



 僕がニコニコしているせいか、メイドさん達は少し笑顔が引き吊り出してきた。


 今から訓練でも始まると思われたのだろうか、おかしいな・・・僕ってどう思われているのだろう。


 あっ! シドニーの時みたいに、模擬戦に駆り出されると思われてたりして?


 それなら、面白い結果になりそうだから、驚く顔を楽しみにしておこう。



「ではでは、皆さんお願いします」


「は~い♪」×全員


「ウフフ、メイドさん達の控室へ行きましょうか」×フミ


「えっ? ええ?」×メイドさん達



 全員控室へ連れていかれたので、僕も執事服に着替えて待つ事にした。


 僕もシッカリとコートを羽織って、執事服が見えない様にしておく。


 1時間程経っただろうか、メイドさん達はリビングへ戻ってきた。


 そして、そのあまりの美しさに驚いてしまう。


 全員、豪華なドレスに身を包み、煌びやかな装飾品に彩られていた。


 何時もとは違った髪型に化粧のせいか、雰囲気が全然違う。


 改めて女性とは恐ろしいなと思ってしまう。



「ウフフ、どうでしょうか、ヨウ様?」×フミ


「驚きました。皆さんとても美しいです」


「・・・・・・・・・・」×メイドさん達



 それから僕が美辞麗句を並び立てると、メイドさん達はスッカリ照れて顔が赤くなってしまった。


 でも、本心で言っているのだから仕方ないよね♪


 皆もコートに身を包んでいたので準備は万端のようだ。


 では、早速スタートすることにしよう。



「では、皆さん。今から、ある所へ転移しますが声を出さないように注意して下さい。


例え着いた場所が、どんな所であったとしても平常心を崩さない様にして下さい。


油断してはいけませんよ? 何時でも武器を出せる様に備えておいて下さい。


暗器の説明は受けたと思うのですが、有効に活用して下さい。


それが、皆さんの命運を分ける事になるかもしれません。


転移先には大きな看板にミッション内容が書かれていますから、シッカリと把握して下さい。


おそらく、皆さんはミッション内容を見た時、激しく動揺すると思います。


ですが、それを素直に受け止めて下さい。残念ながらミッションは絶対です。


最後に1つだけ言わせて下さい。今から起こる事は、皆さんの常日頃からの行動による結果です。


長い1日になりますが、皆さんの検討をお祈りいたします」


「ヨウ様。私からも宜しいでしょうか?」×リラ


「もちろんです」


「私は皆さんに色々と指導してきましたが、それも今日で終わりです。


皆さんは、私の期待以上に応えてくれました。


私から教える事は、もう何もありません。


これから見るミッション内容を見れば、全てが分かると思います。


今日を迎えることが出来た事に感無量の思いです。


私からは以上です」



 リラさんは、カンナさんを抱き締め本当に嬉しそうな表情をしている。


 気付けば他の皆もメイドさん達にハグをしていた。


 おっと、前振りが長すぎたかな? メイドさん達が困惑から覚悟を決めたような表情になってしまった。


 さて、全ての仕込みは終わったし最高の1日にしよう♪



「準備は良いですか?」


「はい!」×メイドさん達



 僕は最後にメイドさん達に慈愛を込めた眼差しを送り転移魔法を唱えた。



「<ジャンプ>!!!!!」



 メイドさん達は、僕が忠告した通り平然としながらも、辺りに気配を配りデカデカと張り出された看板を確認していた。


 そこには、大きな文字で『メイドさん大感謝祭!』と書かれていた。


 もちろん、それだけではなく皆からの感謝が籠った数々のメッセージが張り出されていた。


 それに付け加え、転移したこの場所は雨雲の上に皆で筋斗雲を広げて設置した天空会場だったので驚きも、ひとしおだろう。


 見渡す限り、雲が地面のように広がっており、まるで天国にいるようだ。


 メイドさん達は張り詰めた緊張から解き放たれるどころか、状況が理解出来ないのか、口を大きく開けたまま固まっていた。


 そんなメイドさん達に向けて、パンパンッと全員クラッカーを鳴らし感謝の言葉を贈った。



「メイドさん! 何時も、ありがとうーーー!!!!!」×全員


「こ、これは、やられましたね・・・」×カンナ


「えっ? ええーーー!!!」×メイド達


「リラ様、あのハグは?」×マドカ


「フフ、私からの感謝の気持ちです♪」×リラ


「わ、私はミッション次第で解雇されるのかと思いました」


「私は最終試験でも、あるのかと・・・」


「あ、あんなに前振りしてたのに~」


「わ、私達の覚悟は、どうしたら良いのですか~」


「ククッ! ヨウ君、やり過ぎだったよね」×ツドイ


「今度は、一体何があるのかと思ったわ」


「暗器なんて関係なかったんじゃないですかー」


「んふふ、それはヨウ君の趣味だったりして♪」×ナギサ


「良い素材が集まったからな、結構力作なんだぞ?」×ミナミ


「ど、通りで・・・」


「ドレスはフミさんが、アクセサリーはヒメさんの力作です。素材は他の皆で集めて貰ったんですよ?」


「私達の為に、ここまでしてくれるなんて、本当にありがとうございます」


「この会場も、素敵過ぎるわ」


「ええ、なんて雄大な景色なのでしょう」


「あはは、まるで天国みたいだな♪」


「これって、筋斗雲なのですよね?」


「ですです! 今日の為に雨の日を選んで、雲の上に筋斗雲を敷き詰めて会場にしました。


名付けて『天空会場』です!


本当に雲の上に立っているみたいでしょ?」


「ヨウ君ったら、これの為に全員に筋斗雲を取らせたんだから、信じられる?」×アヤメ


「あはは、1人1つしか取れないから、最後まで内緒に出来なかったんですよね~


って訳で、メイドさん達も筋斗雲出して貰えますか? それで完成なんですよ」


「ウフフ、相変わらず、私の想像を遥かに超えられますね?」×カンナ


「悟られたらサプライズに成らないじゃないですか?」


「私達の為に、本気過ぎではありませんか?」


「当たり前じゃありませんか。何時もお世話になっている感謝を伝える為にも、手は抜けませんからね?


今日の為に、メイドさん以外のクランメンバー全員で段取りしましたから」


「んふふ、今日はカンナ達が主役よ? 私達が全力で接待するわ♪」×アヤメ



 アヤメさんがそう言った瞬間、全員コートを脱ぎ棄てメイド服を披露した。


 もちろん、僕も執事服のお披露目だ!


 それを見たメイドさん達は、喜んで貰えたのか全員涙ぐんでしまった。


 少しでも感動して貰えたのかと思うと、僕もとても嬉しい気持ちになった。



「あ、ありがとうございます」×メイド達


「ほらほら、感動するのは早いよ~ 今日の料理は半端じゃないんだからね?」×シオ


「さあ、お嬢さん達、席へエスコートしよう」×ツドイ


「あはは、ツドイそれ、メイド服でやっても似合わないからー♪」×ノノ


「むむっ! 僕も執事服にすれば良かった」


「あはははは♪」×全員



 メイドさん達にも筋斗雲を出して貰い、ようやく会場も完成したのでパーティを始める事にした。


 この日の為に、シオさんが全力で作ってくれた懐石料理が、次々とテーブルに並べられていく。



「さって、じゃあ先ずは前菜として、そのレンゲに入った、お豆腐から食べてみて」×シオ


「・・・一口サイズですね?」×カンナ


「ウフフ、食べやすいでしょ? ささっ、皆も食べてみて」


「はい、頂きます」


「頂きます!」×全員



 カンナさんと同時に僕達はレンゲに入っている小さな、お豆腐を食べてみた。



「あ、甘い! 美味しい~~~♪」×全員



 分かった! これって僕が最初に食べた試作品の醤油だ。



「んふふ、ありがと♪ じゃ次はこっちね」


「これって、今食べたのと同じなのでは?」


「良いから食べてみて」


「・・・頂きます」×全員



 僕も皆と同じ様に、先ほど食べた物と、全く同じ豆腐を口へ運んだ。


 予想はしていたが、その予想を遥かに上回る美味が脳を突き抜けた。


 うはぁ~ 間違いない。これが最高の大豆から作ってくれた醤油だ。


 まさか、ここまで美味しくなるなんて・・・


 他の皆も、あまりの美味しさに絶句しているようだった。



「な、なんやこれ? いくらシオ姉さんの料理ゆっても、旨すぎるで」×コトエ


「・・・これは醤油ですか?」×カンナ


「流石カンナさん! 大正解よ」×シオ


「凄いわね・・・こんなに美味しくなるなんて」×アヤメ


「まさか、ダンジョン産の醤油を見つけたとか?」×ユウカ


「惜しいけど、違うのよね。説明の方はヨウ君、どうぞ!」


「そこで僕に振るんですか?」


「そりゃそうよ?」


「えっと、以前『霧のワイン』と物々交換したって言ったじゃないですか?」


「ああ~~~ それが、これだったんだーーー!」×リッカ


「あはは、いえいえ最初に食べた豆腐が、物々交換した醤油なんですよ」


「どう言う事か分かんないんだけど?」×スズカ


「いあ~ 普通のダンジョン産の大豆で、こんなに美味しくなるなら採集ハサミで採った極上の大豆で作って貰おうかなっと」


「うはーーーーーーー!」×全員


「欲張りヨウ君だーーー!」×全員


「皆で言う事ないじゃないですかー」


「あはははは♪」×全員


「って訳で、今食べて貰った豆腐に使われてたのが、極上醤油です!


実は、僕も食べるの初めてだったんで驚きまくったんですよね♪」


「なるほどね~ ヨウ君じゃなきゃ思いつかないよね?」×イスズ


「そもそも、採集ハサミなんて持っているのは、クレセントメンバーだけですからね」×ラア


「食に対する本気度が半端じゃない・・・」×ユラ


「ひょっとして、とんでもない爆弾になるんじゃ?」×ヒメ


「日本人なら絶対に欲しくなるだろ?」×ミナミ


「また、オークションが大変になるじゃないかな?」×セツナ


「・・・・・・・・・・」×全員


「そう言うと思って、極上醤油は暫く作らない様に言ってあるんですよ?」


「はぁ~ 良かった~」×全員


「でも、この醤油と同等の破壊力を持った、味噌もあったりします」


「はああああああああああああああああああ?」×全員


「うふふ、今日は至高の醤油と味噌で作った、懐石料理だから楽しんでね♪」×シオ


「ど、どれだけ私達の為に本気を出すのですか?」×カンナ


「あはは、今日はシオさん無双ですよ?」


「まっかせて♪」



 こうして手を伸ばすのも恐れるような、数々の懐石料理を皆は堪能していった。


 もちろん、僕も何度舌鼓を打ったか、もう分からなくなってしまった。


 でも、今日はこれだけでは終わらない、いや終わらせない。


 僕は最後に隠し玉を出す事にした。



「もう駄目、美味しすぎて頭が変になりそう」×シュアン


「日本人の料理に対する情熱には頭が下がりますね」×アール


「ありがとね、頑張った甲斐があるわ♪ では、最後にデザートを楽しんでね~ ヨウ君どうぞー」×シオ


「ではでは、最後にメイドさん達の人選と指導を行ってくれた、リラさんとノノさんに感謝を込めて大好物のプリンを用意していただきました。


もちろん、ダンジョン素材で作られたシオさんの自信作です。


最後の料理を楽しんで下さいね」


「ありがとうございます♪」×リラ・ノノ



 僕は先ずリラさんとノノさん、そしてメイドさん達に最後のデザートであるプリンを配っていった。


 そして、順番に全員に配り終えた頃、屋外である天空会場にも関わらず魂を揺さぶるような素晴らしい香りに包まれた。


 その香りだけで、皆を恍惚とさせるには十分な威力だった。



「ヨ、ヨウ君・・・やったわね?」×シオ


「あはは、バレちゃいました?」


「当たり前でしょ? なに? この素晴らしく芳醇な香りは?」


「ええっ? シオが作ったんじゃないの?」×ナギサ


「私が作ったのは間違いないんだけど、香り付けにお酒が使われているのよ。


おそらくブランデーね、でも私は知らない。


こんな悠久の時を感じさせるような、複雑に絡み合った芳醇な香りを・・・」


「リ、リラ姉?」×ノノ


「わ、私も知りません。流石に予想も付きませんね・・・」


「シオさんにも、最後に驚いて欲しかったんですよ。


だって、シオさんだけ知ってたら、サプライズが楽しめないじゃないですか?


リラさんにも悟られずに用意するのは、大変でしたけどね♪


何時も、お世話になっているメイドさん達へ。


何時も、完璧なサポートをしてくれているリラさんとノノさんへ。


何時も、僕を楽しませてくれるツドイさんへ。


何時も、明るい雰囲気を保ってくれるナギサさんへ。


何時も、僕を支えてくれているアヤメさんへ。


何時も、素晴らしい物を作ってくれている職人さん達へ。


何時も、僕に癒しを与えてくれている、クレセントの皆さんへ。


感謝の気持ちを込めて用意しました。


さあ、どうぞ食べて下さい!」


「もう、今日はメイドさんの感謝祭なんでしょ? 私達まで喜ばせてどうすんのよ?」×アヤメ


「あはは、メイドさん達の為に色々と考えていたら、皆さんにも感謝したくなっちゃいました」


「結局最後には全員を驚かせちゃうんだから」


「僕の勝ちです♪」


「ありがとう、ヨウ君」


「ありがとうございます、ヨウ様」


「頂きます!」×全員



 皆は小さなスプーンでプリンを掬うと、可愛らしい口へ運んでくれた。


 そして、全員まるで時が止まったかのように動きを止めた。


 驚きではなく、恍惚でもない、唯々静かな時が流れていく。


 人は本当に驚いた時、動きを止めるのだなと身をもって理解していた。


 皆も僕と同じ様に感動してくれたのかと思うと、嬉しくなった。




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