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第315話 今日は青田買いしちゃいますよ

評価やブックマーク等、応援して下さった全ての方、ありがとうございます。


 食事が終わると早速シオさんに、鈴さんのバイトの件を頼んでみた。



「鈴ちゃんなら大歓迎よ」


「本当ですか? シオさんみたいな凄い料理人のところで働けるなら、私も嬉しいです」


「あはは、可愛い事言っちゃってー」


「でも、私のとこで働くなら、幾つかの秘密は守って貰うわよ?」


「はい、もちろんです。私は口が固いですから、ありがとう。シオさん」


「いーのいーの。私もバイトは欲しかったからさ」


「あの、妹を宜しくお願いします」


「心配しなくても良いわ、私に任せて」


「じゃ、次は武蔵の番だな」


「えっ! 俺?」


「ああ、これからソロでやってくって言ったって、限界があると思うんだ。かと言ってクランに入ると、ある程度自由が利かなくなるだろ?」


「ああ、だから地道にソロで頑張ろうとしてるんだが?」


「そこでなんだけど、僕達が信用のおけるクランに派遣要員として入らないか?」


「派遣ってなんだよ?」


「昼間限定での、助っ人要員ってところかな」


「それなら、ちゃんと定時に帰れるだろ?」


「そりゃ願っても無い事だけど、俺のドロップとか見せても良いのかよ?」


「それも心配ない、クレセントの傘下クランだからな。


近場なら『グランドクロス』と『メイデンガーデン』って言うクランなんだけどな。


ソロで行きたい時は自由に行ってくれて良いし、助っ人を頼まれた時は参加してくれたら良い。


だから、武蔵は万能型になれ。クレセントメンバーから色々教わったんだから出来るだろ?」


「そりゃ、ソロなら全部自分でしなきゃだから、魔法も必死で覚えたけどよ」


「ねえ、お兄ちゃん私からもお願い。やっぱりソロだと心配だからさ」


「そんな心配しなくても、ハナから断る選択肢なんてねえよ。師匠ありがとな喜んで、その申し出を受けさせて貰うよ」


「了解! 僕から頼んどくよ」


「後は『グランドクロス』は所帯が大きいから、全員が信用できる人間じゃないのを理解しといてくれ」


「『メイデンガーデン』は全員女性だから、武蔵が守ってやってくれよ?」


「マジかよ、そんなとこに俺が入っても良いのか?」


「クランに入る訳じゃ無いんだ。助っ人なら良いだろ?」


「・・・分かったよ」


「んふふ、武蔵君、手を出しちゃ駄目よ?」


「そ、そんな事しねーって」


「お兄ちゃん?」


「馬鹿、信じろよ?」


「うふふ、鈴ってブラコンだもんね~」


「わ、私はブラコンじゃありません~」


「あはは、可愛いわね」


「じゃ、次は有紀さん」


「えっ! わ、私も?」


「ですです! 有紀さんは将来何かしたい事ってありますか?」


「えっと、今は部活で体を動かしてるだけで幸せなんです。


このまま高校を卒業したら大学に行って就活してOLになるのかなって、漠然と考えてるんですけど」


「あはは、それも良いですね」


「でも、OLさんになるなら、僕達が手掛けている会社に入って貰えませんか?」


「ど、どうして私なんかを?」


「ん~ 分かり易く言うと、青田買いですね」


「んふふ、他所に盗られるぐらいなら、先に予約しときたいしね」


「何か事業を起こしたくなったら、私達がサポートするわ」


「車関係なら僕がサポートする」


「眼鏡屋さんなら、私ね」


「フルーツに係わる事なら私がする~」


「フフ~ 私は靴とか小物関係かな~」


「フフ、それでは私は他の全てをサポートします」


「リラ姉、それは狡いよー」


「スポーツが好きなら、僕が身体の動かし方とか教えますよ?」


「それは駄目!」×全員


「全員で否定する事ないじゃないですかー」


「ヨウ君が教えたら、有紀ちゃん死んじゃうわ」


「部活ならステータスを上げる訳にはいかないもんね」


「もう、じゃあジャンケンで決めましょ」


「あ、あの、有紀は私のですからー」


「あはははは♪」×全員


「有紀ちゃん。大人気だな?」


「ハハ、私も何が何だか?」


「とりあえず将来僕達の所へ来てくれるなら、学費も生活費も全面的にサポートします。


直ぐに返事しなくても良いですから、考えておいて下さい」


「は、はい、ありがとうございます」


「有紀を取られそうで怖いけど、将来は安泰だね?」


「鈴のせいでしょー、言っとくけど、私はそんなに大した人物じゃないかんね?」


「そっかな~ 私なら何を差し置いても有紀を取るわ」


「こ、このアンポンタン~ て、照れちゃうでしょ?」


「うふふ、有紀って最高なんだもの♪」


「言っとくけど、鈴ちゃんもスカウトしたいんだけど、武蔵君に怒られそうだからね?」


「鈴ちゃんも将来やりたい事が出来たら、武蔵君に相談してから私達に相談してね?」


「はい、ありがとうございます」



 この後、皆に武蔵達はクレセントメンバーから揉みくちゃにされ、有紀さんの門限があるから送る事にした。



「武蔵は、もうちょっとゆっくりしてって良いんだぞ?」


「いや、俺達も帰るよ。此処に居たら揉みくちゃにされるんだ」


「あはは、可愛がられてて良いじゃないか?」


「先生達は皆、優し過ぎるから照れるんだよ?」


「あはは、まあ分からなくてもないかな」


「じゃあ、僕は有紀さんの御両親と話があるから先に送るな」


「歩いて帰っても良いぞ?」


「遠慮すんなって、カンナさんが送ってくれるから」


「ありがとな」


「良いって、じゃあ、これから頑張れよ」


「もちろんだ」



 武蔵達はカンナさんが車を出してくれ、先に帰っていった。


 そして、僕達は有紀さんを家に送って行く事にした。



「あの、すみません。送って貰ったりして」


「良いですよ。それにちょっと御両親にも話しがありますし」


「私の両親にですか?」


「はい、有紀さんのスカウトについて、御両親にも説明しといた方が良いかなと思って」


「ハハ、私は本当に、どこにでも居る普通の高校生ですよ?」


「あはは、僕達がファンになっちゃっただけですから、心配しなくても良いですよ」



 僕達は有紀さんの家に着くと、また家族全員で出迎えてくれた、話がある事を伝えるとリビングに通してくれた。


 有紀さんの家族は両親と姉の4人家族の様だ、僕達を前に少し緊張している。



「狭い家だが、どうぞ座って下さい」


「ありがとうございます」


「でっ、話しと言うのは?」


「はい、実は有紀さんを僕達の傘下会社へ、スカウトしたいんですよ」


「「「ええっ!」」」


「スカウトと言うと、芸能関係なのかしら?」


「いえいえ、僕達の傘下会社ならどこでも良いです」


「もちろん、芸能人になりたいなら、新たに会社を造りますけどね。


えっと、僕達で無理な分野の会社ってあるかな、リラさん?」


「いえ、例えどんな分野であれど、必ず造りますのでお任せ下さい」


「良かった」


「ちょっと待って欲しい。有紀は未だ高校生なんだ、働くには早すぎると思うのだが?」


「別に急いでる訳ではありませんよ、高校を卒業して大学に行ってからでも結構です。


有紀さんにも話しましたが、将来僕達の会社に入ってくれるなら学費から生活費まで全てサポート致しますので」


「それは、また破格の条件過ぎて怖いぐらいだね?」


「あはは、大丈夫ですよ。僕達は有紀さんのファンになっただけですから」


「・・・ユキ、貴女なにしたの?」


「な、何にもしてないよー、そんな目で見ないでよ、お姉ちゃん」


「フフ、私達は有紀さんの人格を、とても気に入っただけですよ」


「有紀さんは今では珍しいぐらいの、素晴らしい人格者なんですよ」


「私達としては、何処かに内定が決まらないうちに、今から確約が欲しいのです」


「・・・1つだけお聞きしたいのだが、有紀を冒険者にスカウトしたい訳ではないのだね?」


「はい、将来有紀さんが選ぶ、全ての職業に全力でサポートすると御約束します」


「リラさん」


「はい、今日はとりあえずですが10億円用意致しました、どうか学費に充てて下さいませ」


「「「「ええっ!」」」」


「そ、そんな大金、受け取れんよ」


「これは私達以外の会社に入る事になったとしても、返してくれとは言いませんので、どうぞ御納め下さい」


「ど、どうして有紀を、そこまで・・・」


「僕達は有紀さんの様な人格は、とても貴重だと思っています。


人は厄介事から目を背けたくなる生き物です、損得勘定で物事を考えます。


ですが、有紀さんは自分の立場が貶められるかもしれないのに、正しいと思ったことを行動に移すことが出来る人です。


そんな人格者だけは、お金で手に入るものではありませんからね。


有紀さんの様な素晴らしい娘さんを育てた、御家族事スカウトしたいぐらいですよ。


僕達が本気で言っているのは、御理解願えたと思います。


どうか、御検討下さいますよう、お願い致します」


「あ、ああ、分かりました」


「あっ! そうそう。良かったら御家族さんにもビューティーポーションを渡しておきますので、受け取って下さい」


「わ、私にもですか?」


「はい、男性にも結構効果があるんですよ。では、僕達は失礼します」



 僕達は伝えたいことを全て伝え終わったので、車でクレセント本部へ帰る事にした。



「やれやれ、本当に10億もの大金を置いていったよ」


「それにしても凄い車ね、どれだけお金持ちなのかしら」


「ねーねー、それよりも、お母さん。せっかくだからビューティーポーション飲んでみようよ」


「これを飲んで、有紀は綺麗になったのかしら?」


「うん、それ市販品じゃなくて本物って言ってたから、非売品なんだって」


「それって、凄く貴重品じゃないの?」


「そうみたいだけど、もう貰っちゃったし、今更返すのは失礼だよ?」


「そうね、お父さんも飲んでみましょうか」


「うむ、やけに嬉しそうじゃないか?」


「これが以前から私がお願いしていた、ビューティーポーションなんですよ。


お父さんったら、全然買ってきてくれないんだもの」


「無理を言うな、私は酒を飲めないのは知ってるだろ?」


「そうだけど、それより飲んでみよ」


「うふふ、楽しみだわ」


「「「コクコク!!!」」」


「あら、結構美味しいのね」


「ん~ 有紀みたいな効果は無いのかな?」


「うふふ、もう少ししたら分かるわよ、お姉ちゃん。私も吃驚したんだからさ」


「えっ! お母さん、肌が綺麗になってるー」


「そういう貴女も、髪が艶々になってきたわよ?」


「こ、これは凄い効果だな」


「キャー、アナタ見て小皺が無くなってるわ」


「うわ~ 凄い凄い、これ本当に凄い効果なのね」


「あはは、えっと、これは飲み終わるまで言っちゃいけないって、言われてたんだけど」


「まさか、何か問題があるの?」


「そんなのは無いんだけどさ、これって売ったら何千億円もするらしいのよ」


「「「えええええええええええっ!!!!!」」」


「ちょっと、どうすんのよ。飲んじゃったわよ?」


「あはは、お父さん達も三日月さんに大きな借りができちゃったね」


「そ、そういう大事なことは、先に言いなさい」


「大丈夫よお父さん。三日月さんは絶対に返せなんて言わないからさ。


それに、私が三日月さんの会社に入るのは決めてるから。


だって、これを蹴ったら本物の馬鹿でしょ?」


「それにしても、貴女とんでもない人に気に入られたものね?」


「全部さー、鈴が悪いんだよ? 三日月さん達に私の事、褒めちぎるから」


「いいえ。有紀は、とっても良い子よ。認めて貰えて、お母さんは嬉しいわ」


「お父さんは?」


「有紀にこれだけ高い価値を示してくれたんだ、悪い気はしないな。


しかし、父さんも三日月さんの事はテレビで知ってるが、詳しく教えてくれるか有紀?」


「うん、三日月さん達が、どれだけ凄くて優しいか、ゆっくり語るわ」


「ねえ有紀、私明日学校でどんな言い訳したら良いの?」


「あはは、私は惚け捲ったよ?」


「それしかないかー、でも嬉しい心配事なんだけどね」


「それより、お父さん大金貰っちゃったし家でも買う?」


「馬鹿者! 娘の金を使える訳がないだろう?」


「そう言うと思ったわ」


「でも、こんな大金、家には置いて置けないわね?」


「私が明日にでも、有紀の銀行口座へ入金してくるしかないだろうな」


「うふふ、銀行員さんも吃驚するでしょうね」


「・・・警察を呼ばれたりしないだろうか?」


「あはは、頑張ってね、お父さん」


「やれやれ・・・明日から少し働くのが嫌になったよ」


「駄目ですよ、お父さん?」


「分かってるよ」


◇    ◇    ◇    ◇    ◇



 クラン本部に帰った僕達は、武蔵の事を『グランドクロス』と『メイデンガーデン』にお願いすることにした。



「でもヨウ君。武蔵君は<幸運>スキルしか持ってないから、ドロップに差が付くんじゃない?」


「それは僕も考えてたんですけど、こそっと武蔵の家の屋根裏にでも『ゴールドスライム』を置いてこようかなと」


「んふふ、毎日拝めなくなるけど、それしかないわね~」


「武蔵君に『ゴールドスライム』の効果言ったら、寝れなくなりそうだもんね」


「ゴールドスライムと言えばヨウ様、ダンスチームの皆様も様子を見に行かれますか?」


「もう、スタジオの方は完成したのかな?」


「はい、20人程のダンスチームだったのですが、一応数百人ぐらいは寝泊りできるダンススタジオを設計し完成致しました」


「流石リラさん。じゃあ、明日にでも見学しに行っても良いですか?」


「はい、連絡を入れておきますね」


「ありがとうございます」


「リラの事だから、すっごいダンススタジオだったりして?」


「そんな事ありませんよ? 30階建てのビルですから」


「リラにしては、普通に思えるわね?」


「いや30階建てだよ? 感覚がズレて来てないかな?」


「ツドイに言われるのは心外だけど、確かに凄いのかな?」


「あはは、最初の拠点としては十分なんじゃないですか?」


「ごめん、ツドイの言う通りだわ・・・」


「だろーだろー、僕の勝利♪」


「ヨウ君って貧乏人なのか、超お金持ちなのか分かんなくなるのよね」


「僕、今はお金持ちですよ?」


「未だに高いお菓子買う時、エイッて言ってるじゃない?」


「あ、あれは仕方ないんです、中々慣れないんですよ」


「あはは、良いんじゃない? ヨウ君らしくてさ」


「そうね、貧乏癖の抜けないとこがね♪」


「僕も大きな買い物してますからね? このクラン本部とか」


「ヨウ君は桁違いなのよね、高級クラブ買う時はエイッて言わなかったじゃない?」


「・・・1000円以上の買い物は、よく分かってなかったりして?」


「あはははは♪」×全員


「そう言えば1000円以上の買い物なんて、全てギルドカードだもんね」


「私達もギルドカード払いだから、実感が湧かないね?」


「フフ、カード破産する人の典型ですね」


「あはは、私達はカード破産するのは難しいからね」


「普通に生活してる限り無理よ、だって使いきれないもの?」


「土地でも買うとか?」


「使わない土地買ってもさ、固定資産税取られるだけじゃない?」


「僕、ガレージ欲しかったけど、今は<虚空界>あるからね」


「<虚空界>なら出さないと見れないじゃない?」


「僕、運転するのが好きだから、並べて見なくても良いんだよね」


「なるほど。でも並べて見たいんなら<亜空界>に適当なスペースを造ったら良いだけだしね」


「そかそか、その手もあったね、今度やってみよ」


「皆スキルを上手く活用してくれて、嬉しい限りですね~」


「でも、ヨウ君ほど<亜空界>を使い熟せないわよ?」


「そそ、何度やっても、ヨウ君の温泉に比べたら嫌になるからね~」


「あれと比べちゃ駄目だよ。ヨウ様は想像力も桁違いですから」


「確かに温泉を再現するのは、不可能としか思えないですね」


「ヨウ君って、どんな頭してるのよ?」


「言っときますけど、見せれないですからね?」


「パカッと開かない?」


「僕、人間ですからーーー」


「あはははは♪」×全員





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