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第312話 たまには単独行動も良いですね


「ところで今日はまた、どんな用事で来たんだよ?」


「あれっ! 警戒してます?」


「当たり前だろ?」


「今日は良い話しを持ってきたのに~」


「以前もそう言って、ハワイまで飛ばされたじゃねえか?」


「良い海外出張だったでしょ?」


「「ありがとうございました!」」


「あはは、息ぴったりですね~」


「また、忙しくなるような物か?」


「サラリーマンさんには垂涎ものかも?」


「えらく、勿体付けるじゃねえか?」


「あはは、実は良い物が手に入ったんで、お土産代わりに持って来たんですよ」



 僕は<虚空界>から『クリーンボール』を取り出し、サラリーマンさんに手渡した。



「んんっ、白い玉にしか見えねえんだが?」


「それは『クリーンボール』って言って、上級ダンジョンの深層の宝箱から出たものなんですよ?」


「はあ? また、凄いものじゃねえのか?」


「分かり易く言うと清浄機ですね。水の中でも使える優れものだったりします」


「・・・なるほどな、確かに俺には便利そうだ」


「そんなに凄い性能なんですか?」×トリコ


「そうですね。試してみたところ、空気中の塵や埃、花粉からウィルスまで一瞬で除去してくれるみたいです。泥水に入れたら一瞬で飲み水になったりします」


「「うはー!」」


「凄すぎだろ?」


「タバコの煙ぐらいなら、一瞬で浄化しますから便利でしょ?


どこでも気にせず、タバコが吸えるようになりますよー」


「そんな凄い物貰って良いのかよ?」


「そこは、何時もお世話になってますから?」


「怖ええええ~~~」


「OLさんにも上げますね~ 花粉症なんでしょ?」


「なんで、私が花粉症って分かるんですか?」


「あはは、内緒です。遠慮なんてせず、どぞどぞ」


「ありがとうございますー♪」


「ついでと言っちゃなんですが、秘書さんも、どぞどぞ」


「私にまでですか?」


「いっぱい取ってきましたから遠慮なく、どぞ」


「ありがとうございます」



 サラリーマンさんのタバコ用にと思ってたけど、意外にも皆喜んでくれた。



「なあ三日月。これ幾らぐらいになると思う?」


「ん~ 全然、分かんないですね」


「これ使い捨てじゃないんだよな?」


「そですね、半永久的に使えるんじゃないかな?」


「だろうな・・・これたぶん数十億円の値が付くぞ?」


「「ええっ?」」×OLさん・秘書さん


「へえ~ 結構しますね~」


「へえ~ じゃねえよ。そんな高額なもんポンッと渡された、俺の気持ちにもなれって?」


「それぐらい良いじゃないですか。働いて返して下さい?」


「ぐはっ!」


「先輩、頑張れ~♪」


「おめえも貰っただろうが?」


「あ、あの、私も貰ってしまったのですが?」


「サラリーマンさん以外は無償ですから、お気にせず」


「俺も入れてくれよ?」


「あはは、冗談ですよー」


「お前の冗談は洒落にならねえんだよ?」


「僕、筆頭株主さんですよ?」


「すみませんでしたー」


「あはは、先輩よわ~♪」


「そだそだ。これも上げちゃいますねー」


「また、頭が痛くなってきたんだが?」


「今度は指輪ですか?」


「はい、これは『防水リング』って言って、半径3メートル以内の水を弾くらしいです」


「へええ~ 流石ダンジョン産だけあって、色々なアイテムがあるんですね~」


「素直に感心してんじゃねえ。それも上級ダンジョンの深層から手に入れたのか?」


「ですです。これは地下30階のボスドロップ宝箱からですね」


「ぐはっ! それもメチャクチャ高値が付くぞ?」


「ですかね? 雨に濡れなくなるので便利そうだからかな?」


「洗濯した物を持ったら一瞬で乾くんじゃねえか?」


「あ~ なるほど。やっぱりサラリーマンさん賢いですね~」


「つーか、なんで人体がカピカピにならねえんだろうな?」


「そこは、ダンジョン産だからかな?」


「分かってるよ、考えても理解を超えるのばっかだからな」


「それだと、お風呂上りにも使えそうですね?」


「なるなる~ じゃ1つずつ渡しときますね~♪」


「「「・・・・・」」」


「しゃ 社長、私は遠慮した方が良いのでは?」


「良いから貰っとけ、三日月が残念そうな顔しそうだしな」


「あはは、確かにそんな顔しそうですね」


「お返しはサラリーマンさんから貰いますから、遠慮しなくて良いですよ?」


「お手柔らかにな、本当にお手柔らかにな?」


「月面出張とかどうですか?」


「死ぬから! 本当に死ぬからな?」


「先輩なら大丈夫かも?」


「その根拠は何だ? 俺は空気が無いと死ぬんだよ?」


「あはは、相変わらず面白いですね」


「冗談だよな?」


「火星とかの方が良いですか?」


「もっと悪いわ」


「あはは、冗談ですよ」


「マジで冗談に聞こえないんだからな?」


「それ、よく言われますね~」


「自覚って大事だぞ?」


「じゃ、全部本気にしよっかな?」


「すみませんでした。勘弁して下さい」


「あはは、じゃ、今日飲みに連れて行ってくれませんか?」


「それぐらいなら良いけどよ、普通の値段のとこにしてくれよ?」


「僕18歳ですよ?」


「だよなー、俺の感覚が麻痺してるわー、居酒屋なんて詳しいわけないよなー」


「先輩。あんまり飲み過ぎちゃ駄目ですよ?」


「なんだよ、トリコは来ねえのか?」


「たまには、男同士で飲むのも良いんじゃないですか?」


「ヨウさんは何時も女性と行動してそうですし?」


「男同士で飲みに行く事ねえのか?」



 プルプル!



「あはは、ヨウさん可愛い~♪」


「じゃ、おっさんで悪いが俺と行くか」


「良いですね♪ お願いします。先輩」


「や、止めろよ。三日月から先輩って呼ばれるとゾワッとしたぞ?」


「なんでなんですかー、僕から見たら大先輩じゃないですか?」


「うふふ、あんまりHなお店に行ったら、アヤメさん達に怒られますからねー」


「そんなとこ行くかー」


「でも、先輩がヨウさんを連れまわしたら、誘拐に見えますね?」


「おい・・・俺も何か、そうなるような気がしてきたぞ?」


「僕はちゃんとした大人ですー」


「うふふ、ヨウさん可愛い~」


「じゃ行ってくるか、後は頼むぞトリコ」


「行ってらっしゃーい」


「OLさんも、またですー」


「そだそだ。秘書さん、秘書さん」


「はい」


「諦めた方が良いですよ?」


「・・・何の事でしょうか?」


「何の事でしょうね、では、また会いましょう」



 僕はサラリーマンさんと飲みに行くことになったので、リラさんに連絡を入れると快く了承して貰えた。


 実は男同士で飲みに行くのは初めてだったので、楽しみだったりする。


 ちょっと大人になった気分になり、喜んでサラリーマンさんの後ろをトコトコ付いて行くことにした。



「なんか、俺が悪い事してる気分になるのは、何故だ?」


「僕に言われましても?」


「だよな~ とりあえず、ガッツリ食えるとこ行くか?」


「良いですね~ 僕、お腹ペコペコです」



 結構近くにあるお店らしく、直ぐにお店が見えてきた。


 僕はサラリーマンさんと和風の店に入ると、人気のお店なのかまだ時間が早いのに、お客さんが一杯入っていた。


 2人でカウンターに座ると店員さんは、僕とサラリーマンさんを交互に見ている。



「まいど♪ 今日は早いね~ しかし、お客さんって結構大きな子供が居たんだね?」


「ハハ、俺にこんな大きな子供が居る様に見えるか?」


「えっ! それじゃあ、会社の新人さんかい?」


「違うって! どっちかって言うと上司だよ」


「ええっ! こんな可愛い子が上司ってのかい?」


「ああ、ピッとも逆らえない、怖~い上司だ」


「誤解を招く言い方は止めて下さい。僕は優しさが売りなんですからね?」


「た、大将・・・こ、この子って確か、SSランク冒険者ですよ?」


「はあ? あの世界でたった1人の・・・そういや、こんな可愛い顔してたような」


「間違いないですよー、キャーーー! 実際に見ると本当に可愛い~♪」



 女性の店員さんは僕の事を知っていたのか、凄く嬉しそうにしてくれていた。


 僕も照れ臭いながらも嬉しくなり、愛想を振りまくことにした。



「あはは、ありがとうございます」


「うはっ! 本当にそうなのかい?」


「ああ、間違いなく本物だよ、上司ってのが分かっただろ?」


「うは~ また凄いお客さんを連れて来てくれたね。


サイン貰って良いかい? 店に飾っとくよ」


「僕、サインなんて書いた事ないけど、名前だけでも良いですか?」


「有名人なんだからサインぐらい考えとけよ?」


「そんな事いったって、あんまり自覚がないんですよー」


「あ、あの握手して貰って良いですか?」


「良いですよー、握手、握手♪」


「きゃああああ! ありがとうございます♪」


「サイン、こんな感じで良いですか?」


「ありがとよ。お礼にサービスしとくよ」


「サラリーマンさん、サービスしてくれるって?」


「下手な事言わない方が良いぞ? こいつはメチャクチャ食うからな」


「あはは、良いって良いって、好きなだけ食ってくれ」


「とりあえずカラアゲ頼んどくか? この店はカラアゲが美味いんだ」


「僕、カラアゲ大好きです」


「50人前ぐらいで良いか?」


「えっと、100人前お願いします」


「大将、カラアゲ100人前頼む」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。本気で言ってるのかい?」


「だから、メチャクチャ食うって言っただろ?」


「うはー、世界一の人間は食欲も凄いんだね~」


「酒はハイボールで良いか?」


「ハイボールって何です?」


「ウイスキーを炭酸水で割ったもんだ」


「へえ~ じゃあ、それでお願いします」



 僕はニコニコとしながらカウンターに座っていると、周りのお客さん達も僕に注目しだした様だ。


 隠そうともせずスマホで動画を撮られているけど、最近はもう気にしない事にした。


 すると直ぐにハイボールを持ってきてくれたので、サラリーマンさんと乾杯することにした。



「ほらっ!」


「どもども、でわ乾杯~♪」


「グビグビ! ぷはっ! スッキリして美味しいですね」


「安い酒も旨いだろ? これがまた、カラアゲに合うんだよ」


「なるなる、今度アヤメさん達も連れて来よっと」


「あんな別嬪さん達を連れてきたら、この店がパニックになんぞ?」


「お客さん。そりゃないでしょう、あの超絶美人さん達なら大歓迎だよ」


「マジでパニックになるぞ? 三日月だけでも注目されまくってんだろが」


「いや~ 有名人ってのは凄いね~ はいよ、揚げ立てだから熱いよ~」


「うわ~ 美味しそうですね、いっただきま~す」


「ハフハフ! うわ~ スパイスが利いてて美味しいですね」


「だろ? 他にも適当に注文しとくな」


「今日は優しいですねサラリーマンさん?」


「俺は何時も優しいっての、恩人さんだしな?」


「あはは、いっぱい食べちゃいますよー」



 僕はパクパクムシャムシャと山の様に積み上げられたカラアゲと料理を、片っ端から食べて行くと、店員さん達も驚いていた。



「お、おかしいよ、いったいあの小さな体のどこに入ってくの?」


「カラアゲだけで、もう200人前食べてるぞ・・・」


「焼き鳥も美味しいですね、100人前追加良いですか?」


「うはーーー!!!」×店員達


「相変わらず食うな~ 皆驚いてんぞ?」


「強くなるにつれて、いっぱい食べないと動けなくなっちゃうんですよ?


サラリーマンさんも、食欲が増えたでしょ?」


「そういやそうだな、かなり食う様になったか。まあ、良い事だよな」


「もちろんです」



 僕は少し食べ過ぎたのか、お店の鶏肉が全部無くなったらしい。



「参った。もうお手上げだ」


「満腹になったか?」


「ん~ 半分ってとこかな~」


「どこまで超人なんだよ、ラーメンで良いか?」


「良いですね~ ラーメンも大好きですよ」


「大将勘定してくれ、まだまだ食べるんだとよ」


「うはー! 流石、世界一の冒険者だね。驚いたよ」


「あはは、大将さん御馳走様でした。美味しかったです」


「ありがとよ。今度来るときは連絡してくれ、一杯仕込んどくからよ」


「了解です。皆と来たら今日の10倍ぐらいかな?」


「はい?」


「言っとくが大将、冗談じゃねえぞ?」


「いやはや、冒険者ってのは頭が下がるね」



 一杯食べたので僕がお勘定を払おうとしたら、サラリーマンが代わりに払ってくれた。



「御馳走様でした」


「メチャクチャ世話になってんだからよ、食事代ぐらい払わねえとトリコに怒られるんだ。まあ、食事代って言っても桁が違うんだがな?」


「あはは、育ち盛りなんですよ?」


「あれだけ食ってんのに、何で大きくならねえんだろうな?」


「これから大きくなるんですー」


「あはは、まあ頑張れ♪」



 次にサラリーマンさんが連れて行ってくれたラーメン屋さんも、すっごく美味しくて50杯を平らげ、ようやくお腹が落ち着いてきた。


 なんやかんや言ってサラリーマンさんもラーメンを食べていたので、食欲が旺盛になってきたのは間違い無いだろう。



「よーし! じゃあ、少し女っ毛のあるとこに行くか?」


「あれっ? まさか風俗ですか?」


「ば、馬鹿野郎! 俺がトリコに怒られるわ。まあ、ガールズバーってやつだ」


「へえ~ 僕、行った事ないですね」


「高いとこばっか行ってるからだろ? 安くても良い店はあんだよ」


「なるなる、流石、年の功ってやつですか?」


「そんなに、年食っちゃいねえって。


カウンターの前に女性がいて、酒を飲みながら喋れるだけなんだがな」


「あ~ 知ってます。それスナックって言うんですよね?」


「まあ、似た様なもんだ」



 今日は初めて行くところばかりなので、ワクワクしながら付いて行く。


 周りの人からは、たまに注目されるけど、今日はアヤメさん達が居ないので立ち止まらなければ囲まれる事がなかった。


 やっぱり、アヤメさん達の注目度は凄いんだなと思いながら、トコトコと歩いて行った。


 サラリーマンさんが言っていたガールズバーに着くと、5階建てのビルだった。


 ここの3階にある店らしい、ドアを開けるとカウンター席だけのお店で数多くのお酒が並んでいた。



「いらっしゃーい♪」


「あら舘元さん、お久しぶりじゃない?」


「最近忙しかったんだよ」


「うふふ、今日は若い子を連れて来て・・・ええっ!」


「み、三日月陽・・・」


「「「えええっ!!!」」」


「うわ~ 本当だ。SSランクの三日月陽君だよね?」


「はい、こんにちは」


「「「「可愛い~♪」」」」


「ちょっと舘元さん。な、なんで? 一体どうしたのよ?」


「飲みに連れて行けって、頼まれたんだよ」


「凄いじゃない舘元さん。こんな有名人と知り合いだったんだ?」


「知り合いって言うか、上司みたいなもんなんだよ」


「ええっ! 上司って冒険者なんでしょ?」


「えっと、サラリーマンさんが社長をやってる会社の株主なんですよ」


「うはー、舘元さんって社長さんだったんだ?」


「平社員じゃなかったんだー」


「今まで俺をどんな目で見てたんだよ?」


「ちょっと格好良いじゃない? 実は偉い人だったなんて」


「こんな超有名人と、繋がりがあるって凄い事よ?」


「うふふ、ありがとね。舘元さん」


「ハハ、三日月のお陰で、俺の株が上がったみたいだぞ?」


「あはは、でもサラリーマンさんが凄い人なのは、僕も同意ですよ?」


「後が怖いから、持ち上げないでくれ」


「ねーねー、舘元さんって、そんなに凄い人なのかな?」


「はい、ウーツコーポレーションの社長さんで、ビューティーポーションを一手に手掛けてますから」


「「「「えええ~~~!!!」」」」


「社長って言っても支部の社長だ、そんなに偉くねえよ」


「か、格好良い~♪」


「舘元さんが、私達にビューティーポーションを回してくれてたんだ」


「それなら言ってよー、もっとサービスしたのにさ?」


「分配は高級クラブのママさんに任せてあるから、俺はタッチしてないって。俺は製造を担当してるだけなんだよ」


「「「「うわ~~~!!!」」」」




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