第299話 もうちょっと応援しちゃおうかな
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パティさんと仲良くダンジョン探索を楽しんでいると、他の冒険者が魔物と戦っているところに出くわした。
それも少しピンチの様だ、1人頭部から血を流して倒れている。
魔物はホブゴブリン2体で、同じパーティの人が奮闘していた。
「パティさん、助っ人に行って来ますね?」
「ええ、マイク君も気を付けてね?」
「はい、付近に魔物は居ないみたいですけど、パティさんも警戒はしといて下さいね」
「分かったわ」
僕は助っ人に入る前に、念のため声を掛ける事にした。
後から横取りだと言われるのは、冒険者にはよくあることだからね」
「助っ人は要りますか?」
「た、助かる。ホブゴブリンの気を引いてくれないか?」
「分かりました。ホブゴブリン1体は僕が倒しますね」
僕は今にも攻撃されそうな冒険者の前に立ちはだかり、ホブゴブリンの攻撃を受け止めた。
「えっ?」
「助っ人しますねー」
「助かります」
ホブゴブリンは僕に邪魔されて怒ったのか、手に持っている棍棒を振りかざし攻撃してきた。
でも、今の僕にはそんな大振りの攻撃は読みやすく、カウンターでホブゴブリンに攻撃した。
上手く<腕力強化>スキルが乗ったのか、その一撃でホブゴブリンの首は胴体から切断され1体を仕留めた。
「うはっ! 凄い」
2体とも僕が仕留めるのは拙いかなと思い、もう1体のホブゴブリンには足を攻撃して機動力を奪っておいた。
僕はもう大丈夫だろうと判断したので、パティさんのところまで戻って見守る事にした。
冒険者達は少し驚いた表情で僕を見ていたが、気を取り直し全員でホブゴブリンに止めをさして戦闘が終わった。
改めて見ると、僕と同じぐらいの若い冒険者達だったが、全員知らない人達だった。
戦闘が終わると負傷した仲間のところに駆け寄り、皆心配そうにしている。
良いパーティだなと思っていると、男性が1人僕の所へ来てくれた。
「助っ人ありがとう。本当に助かったよ」
「いえいえ。丁度見かけただけですから良いですよ」
「俺達より若そうなのに、君は凄いんだね」
「そんな、事ないですよ」
「あはは、謙遜しなくても良いじゃないか。
それと助けて貰ったばかりで申し訳ないんだが、中級ポーションを持ってないかな?
持ってたら、相場の倍額で買い取らせてくれないか?
初級ポーションで傷口は塞がったんだけど、意識が戻らなくて心配なんだよ、迷惑とは思うけどお願いしたい」
「分かりました。僕が治しますね」
「えっ?」
僕はパティさんと一緒に負傷者のところまで行き、<ヒール>を掛けて上げた。
一応何度か練習していたので問題なく発動し、負傷者の頭部に包まれた魔法の光が消える頃、目を覚ましたようだ。
「か、回復魔法・・・」
「良かった。治ったみたいですね」
「君は若いのに高位の冒険者だったんだね、どうして初級ダンジョンに?」
「私が久しぶりのダンジョンだから付き合ってくれたのよ」×パティ
「そうだったんだ。ホブゴブリンも簡単に倒してたし若いのに凄いね君は、俺達は幸運だったよ。
これ少ないけど、お礼のお金とホブゴブリンのドロップ品を貰って欲しい」
「お礼なんて良いですよ。怪我人が無事で良かったです。では、またどこかでお会いしましょう」
「せ、せめて、お金だけでも」
「気持ちだけ受け取っておきますから、頑張って下さい」
僕は冒険者達に手を振り、その場を後にした。
「うわ~ 格好良い少年だったわね」
「ああ、俺達より年下の様だが、回復魔法まで持ってるなんて凄いよな」
「一撃でホブゴブリンの首を飛ばしてたしな?」
「ああ、俺達とは比べ物にならないぐらいの強者だった」
「可愛い顔してたのにね~ すっごい美人さん連れてたし?」
「冒険者の強さは見かけでは判断できない実例だな」
「俺が怪我してる間に何があったんだ?」
「あんたが幸運だったって事よ」
「全くだ、もう頭は大丈夫か?」
「ああ、もう全然痛くないな・・・」
「結構血が出てたから、心配したんだぞ?」
「悪い。ちょっと油断したよ、さっきの少年が俺に回復魔法を掛けてくれたのか?」
「ああ、おそらく、高位ランクの冒険者だ」
「そっか、俺本当に運が良かったんだな、今度会う事があったら礼を言っとくよ」
「そうだな、それが良い。だけど、もっと中級ポーション用意しとくんだったな」
「そうね、こういう時の為にポーションも多めに用意しとかないとだね」
「次からはちゃんと用意しとくさ、あの少年がお礼の金や素材も受け取ってくれなかったからな」
「ありがたくポーション代にさせて貰おう」
「あ~ せめて、名前だけでも聞いとくんだったな~」
「あんな美人相手じゃ勝てないぞ?」
「分かってるわよー、私だってもっと綺麗になりますー」
「あはははは♪」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「うふふ~ マイク君、格好良い~♪」
「や、止めて下さいよ~ 照れるじゃないですか?」
「いや~ だって、あの子達マイク君の事、尊敬してたわよ?」
「ええっ! ちょっと助太刀して<ヒール>しただけじゃないですか?」
「あのね~ <回復魔法>が使える人なんて、高ランクにしか居ないのよ?」
「えっ!」
「えっ! じゃなーい。魔法スクロールの中でも<回復魔法>の値段が高いのは知ってるでしょ?」
「そうでした・・・僕、迂闊だったかな・・・」
「まあ、良いんじゃない? 流石にマイク君ぐらいの年じゃ珍しいだろうけどね。
三日月様の友人ってのが世間にバレる方が、大事になるんじゃないかな?」
「僕もそう思います。でも、僕が凄い訳じゃないですから」
「マイク君も十分凄いんだけどな~ まあそんなところも素敵だけどね」
「何でも奢りますよ?」
「うふふ、お寿司が良いな?」
「了解です!」
「もう、冗談なんだからね?」
「ええ~~~」
「そんな悲壮な顔しないでよ、奢りじゃ無かったら何時でも行くわよ?」
「僕、フルーツ採集だけでも稼いでる方ですよ?」
「知ってるけど、お金目的でデートしてるって思われたくないじゃない?」
「でも、ダンジョンに付き合って貰った時は奢らせて下さいね?」
「私も楽しんでるのにー」
「そこは、男の甲斐性ですから。フンスッ!」
「うふふ、可愛いじゃない?」
僕はパティさんが疲れてるかなと思い、早めに帰ろうとしたらパティさんの方から、まだ良いじゃないと言ってくれた。
パティさんも冒険者として楽しんでくれてるなら、こんなに嬉しい事は無い。
夕方までダンジョン探索を満喫し帰る事にした。
ダンジョンから出ると、パティさんのスマホに着信が入ったようだ。
「ごめんマイク君、ちょっと電話に出て良い?」
「どぞどぞ」
パティさんは電話に出ると敬語で喋り出した、上司からの電話なのかな?
会話内容を聞かないように待っていると、電話を終えたパティさんは困ったような表情をしていた。
「どうしたんです?」
「ん~ マイルズ部長からだったんだけど、明日出勤したらマイルズ部長の所へ来るようにって言われたのよ」
「ひょっとして、ヨウ君絡みです?」
「あはは、その可能性が高いかも?」
「何かすっごい事だったりして?」
「止めてよー、怖くなるじゃないマイク君には友人でも、私にとっては超VIPなんだからね?」
「ヨウ君に電話して聞いてみましょうか?」
「だ、駄目よー、そんな事できないわ」
「あっ! 僕も電話みたいです出ても良いですか?」
「ええ、どぞどぞ!」
「あはは、僕の真似だ♪ あっ! ヨウ君だ」
「ええっ!」
僕はヨウ君からの電話に出ると、明日の朝ギルドに来るように言われた。
理由を聞いてみると明日分かると言われ、そのまま訳が分からないまま電話を切った。
「なんか、僕も呼び出されちゃいました」
「・・・なんか、不安になってきたんだけど?」
「ん~ ヨウ君。明るい声だったから悪い話しじゃないと思いますよ?」
「なんだろ~ 気になる~」
「あはは、僕もです」
僕達は奇妙な事柄に首を傾げながらも、楽しくお寿司を食べて家に帰る事になった。
翌日、ヨウ君に言われた通りギルドへ行くと、直ぐにVIPルームへ案内された。
そこには既にマイルズ部長どころかハンター社長までおり、パティさんも緊張しながら待っていてくれた。
まさか、VIPルームに案内されるとは思って無かったので、僕も何事なのか不安になってきた。
すると、最後にヨウ君達がVIPルームに入ってきた。
「あ、あのヨウ君?」
「おはよマイク!」
「おはよう・・・ってそうじゃなくて? 僕、何かした?」
「ふはは、説明の方は私がしよう。パティ君!」
「は、はい」
「実はこの度、三日月君に専属の受付嬢を付ける事になってね。そこで、是非パティ君にお願いしたいのだよ」
「ええっ? わ、私が三日月様の専属受付嬢に?」
「うむ。強制ではないのだが三日月君の希望でね、引き受けてくれるかね?」
「はい、もちろんです」
僕はヨウ君ぐらい凄い人になると専属の受付嬢まで付くんだと感心しながらも、それがパティさんだと思うと少し寂しい気持ちになった。
「ありがとう。引き受けてくれて嬉しいよ」
「ありがとうございます。パティさん」
「いえ、三日月様の専属になんて光栄ですから」
「それと、なんだがね」
「はい?」
「御存知の通り、三日月君は日本に住んでいるからね、頻繁にハワイに居る訳じゃ無い」
「それはそうですが?」
「なので、三日月君と同時にマイク君の専属受付嬢をして貰いたい」
「えええっ?」
「そ、そんな、僕なんかが専属の受付嬢なんて」
「いやいや、三日月君の友人と言うだけではなく、これだけ高額のスキルオーブや魔法スクロールを卸してくれているのだから当然の処置だよ?
それに専属受付嬢は自由出勤になるからね、三日月君だけだと日本に帰った時、パティ君の仕事が無くなるのだよ。
全く知らない者同士に専属の受付嬢を同時に付けることはできないが、幸い三日月君とマイク君は友人なのだから、良い案だと思ったのだよ」
「あ、あの自由出勤とは?」
「ああ、三日月君達やマイク君の素材を査定し、納品してくれる時だけ出勤してくれればよくなるね。
もちろん、それが終われば帰ってくれて良い。
出勤する日も時間も自由になる。
それに加えて、給料は課長級まで昇給になり、ギルドが保有する部屋も用意しよう」
「部屋まで貰えるんですか? 好条件過ぎると思うのですけど・・・」
「仕事部屋だと思ってくれたら良いね」
「んふふ、遠慮することなんて無いわよ、待遇を良くしとかなきゃ他のギルドに引き抜かれちゃうからね」
「フフフ、そうなったら我がギルドとしては大損だからね。
両名にとっても悪い話しではないだろう。
引き受けてくれると、お互いの利になると思うのだが?」×ハンター
「本当に僕なんかが、そんな好待遇を受けて良いんでしょうか?」
「その変わりと言ってはなんだが、我がギルドを贔屓して欲しいだけなのだよ」
「マイク。言っとくけど、僕も拠点にしてるギルドからは、凄く待遇を良くして貰ってるからね。
そのお礼に素材を沢山納品してるんだ、これが冒険者としての在り方じゃないかと僕は思うんだけど?」
「うん、分かったよヨウ君。僕もギルドに少しでも恩返しできるように頑張るよ」
「ありがとう。パティ君も良いだろうか?」
「もちろんです。破格の条件過ぎて怖いぐらいですから」
「んふふ、これからはマイク君と何時でもダンジョンに行けるね」
「そ、それは内緒に・・・」
「フハハ、残念だがマイク君とダンジョンに行っていた事は、受付嬢達が噂してたからね、皆知っているのだよ」
「も、もう、バレてたんですか?」
「マイク君と一緒に食事にも行ったのだろう? あれだけ昼間ニコニコしてたら、そりゃバレるさ」
「いやぁあああああああああああ!!!!! 恥ずかしいーーー」
「マイク君は受付嬢からも人気があるからね、さぞ彼女達に睨まれる事だろうな」
「ま、まさか~ 僕なんて・・・」
「もう、言いたくなかったけど、マイク君に食事に誘われて、皆にドヤ顔したんだからね?
とっても可愛くて稼ぎまくってるマイク君が、モテない訳ないでしょ?」
「ほらほら~ マイク君言ったでしょ、可愛さと実力の勝利だよ!」
ふと、ヨウ君の方を見ると、親指を立てて笑顔を返してくれた。
「あは、あはは、それじゃあパティさん。僕に同情して付き合ってくれてたんじゃなかったんですか?」
「そんな訳無いでしょ? 貴方は素敵な男性なのよ。分かった?」
「あ、ありがとう! ぐすっ!」
「あ~ もう、泣かないでよ~」
「フフ、細かい説明はマイルズ部長から聞いておいてくれ、改めて宜しく頼むよパティ君」×ハンター
「はい、精一杯、頑張らせて貰います」
「ハンターさん、僕からもお礼を言っておきます。ありがとう」
「フフ、お礼を言わなければいけないのは、此方の方だろう?
また、とんでもない物を提供してくれたのだからね」
「あはは、アイテムポーチですか? あれ便利ですからね~」
「いやはや、何時まで経っても三日月君に恩返し出来ないのが困ったものだよ?」
「とっても良い、専属受付嬢さんを付けて貰えたし、お互い様ですね」
「フフ、ありがとう。何かあったら何時でも力になるよ」
「どもども。さて話も終わったし、ちょっとマイクとパティさんに用事があるんですけど良いですか?」
「ああ、このままVIPルームを使ってくれたまえ、私達は失礼するよ」
「すみませんです」
ハンター社長とマイルズ部長は気を聞かせてVIPルームを譲ってくれ、この場にはマイクとパティさん僕達だけが残った。
「えっと、パティさん」
「はい」
「これからもマイクとダンジョンに行くなら、僕からも少し応援しておきたいんですよ」
「ええっ! そんな、私は唯の付き添いみたいなものですから」
「それでも、マイクは簡単にパーティを組めないんですよ、パティさんの様に絶対の信頼がおける人じゃ無いと駄目なのは、もうご存知ですよね?」
「それは・・・」
「マイクには冒険者を楽しんで貰いたくて、最低限の応援しかしてないんですが、パティさんは女性ですからね。もう少しだけ、応援させて下さい」
僕はパティさんの前のテーブルに、幾つかのスキルオーブを出していった。
「これはスキルオーブじゃないですか?」
「はい、そのスキルオーブは、入手困難なので渡しておきますね」
「遠慮なんてしちゃ駄目よ、自分だけじゃなくマイク君の命も掛かってるんだから」
「・・・分かりました」
パティさんは僕が渡したスキルオーブを1つ習得しただけで、とても驚いていた。
「<激運>スキル? ま、まさか?」
「それが、僕がマイクにした、たった1つの応援です」
「んふふ、マイク君もパティさんに秘密を持つのは辛かったでしょ?」
「マイク君のドロップ率が異常に良かったのは、このスキルのお陰だったんですね」
「そうなんです、すみませんパティさん。今までこれだけは絶対に言えなくて。
ありがとうヨウ君。これで僕もパティさんに隠し事が無くなったよ」
「マイクにも、今パティさんに渡したスキルと同じやつを渡しとくよ。
この2つは<激運>スキルがあっても、中々ドロップしないからさ」
「うはー、それって貴重なスキルなんじゃ?」
「有名なスキルだからね~ 習得したら分かるわ」
「ちょっと、怖いんだけど?」
マイクとパティさんは恐る恐るスキルを習得してくれると、案の定口をポッカリと開いて驚いていた。
「<虚空庫>に<鑑定>スキルって、冒険者にとって夢のスキルじゃないですか?」
「その2つがあると無いとでは、安全度が格段に変わるからね」
「でも、あんまり<鑑定>スキルに頼り過ぎちゃ駄目だよ、本当の強者は<鑑定>では計れないからさ」
「フフ、これからは家族や身の回りにも注意が必要になります、貴重なスキルや大金を持つと狙われやすくなりますから」
「分かりました。ありがとう」
「パティさんもだよ?」
「はい、私にまでこんな貴重なスキルを頂いて、ありがとうございます」
「いえいえ、これからマイクの事よろしくです」
「マイクも、これから冒険者を存分に楽しんでくれよな」
「うん、ありがとう。ヨウ君」
ヨウ君達は、これから考えるべき色々な注意点を教えてくれ去って言った。
どれだけ僕なんかに親切にしてくれるのか、いくら感謝しても足りないぐらいだ。
「フゥ~ 本当に凄い人達だね?」
「はい、僕の大親友であり恩人です♪」
「うふふ、これから頑張ろうね?」
「はい、ヨウ君が言う通り、パティさんと一緒に冒険者を楽しみつくします♪」




