第300話 クレセントのケアは万全なんですよ
僕達はハワイでスキル集めをし、ストックの少なかったスキルや魔法を大量に補充しておいた。
そのついでに手に入れたアイテムポーチを、お世話になったギルドに貸し出すことにした。
別に無料で渡しても良いんだけど、その方が気を使わなくて良いだろうと思い貸し出す事にした。
最初はもちろん、僕達が拠点にしている大阪梅田ギルドに行くことにした。
僕達がギルドに顔を出すと、相変わらず注目を集めてしまうが、それもギルドの宣伝になって良いらしい。
僕がギルマスに会いたいと告げると、受付嬢さんが慌てて呼びにいってくれた。
事前に連絡を入れといた方が良かったかなと、少し反省する。
何時ものVIPルームへ通されると、ギルドの重鎮達が来てくれた。
「やあ、三日月君ギルドに来てくれてありがとう」×瀧見社長
「あはは、来ただけでお礼を言われたら困っちゃいますね」
「フハハ、それだけ君に価値があるってことだよ」
「それにしても、私に用事とは珍しいね、少し怖いぐらいだよ?」
「心配しなくても、今日は良い話しを持ってきただけですから」
「ほほ~ それは楽しみだね」
「実は何時もお世話になっているギルドに、少しサービスしようかと思いまして、良い物を持ってきました」
僕はギルドの重鎮達が生唾を飲むような表情を見ながら、テーブルにアイテムポーチを10個置いて行った。
「これは、まさかアイテムポーチかね?」
「はい、無期限で、これを10個ほどギルドに貸し出します」
ガタタッ!
「ほ、本当かね?」
「はい、もちろん、お金なんて頂きませんよ。サービスですから」
「そ、それでは実質、頂くのと変わらないのだが?」
「紛失や盗難にあったときは僕達が動きますから、貸し出しの方が良いかなと?」
「それはまた、至れり尽くせりと言うやつだね」
「三日月君、それをギルドに貸してくれると言う事は、ギルドから冒険者にレンタルする体制をとっても良いと言う事なんだね?」×斗沢支部長
「はい、話しが早くて助かります」
「おお~ それが実現すれば、ギルドとしても非常に助かる事になる」
「ねっ、良い話しでしょ?」
「ワハハ、良いどころでは無いよ。ギルドとしては最高の話しではないか」
「それにしても、これは凄い宣伝効果になりますよ、素材の持ち帰りだけではなく大量の荷物を持っていく事が可能になりますから」×岩永部長
「うむ、10個もあれば、特に信用のおける高ランク冒険者に渡すことが出来るようになるだろう」
「ヨウ君? このギルドは今や日本一人気のギルドだから、10個じゃ少ないんじゃない?」×アヤメ
「そうですね。じゃ、30個にします」
「さ、30個? それは非常に嬉しい提案だが?」
「あっそうだ! 僕達が一番お世話になっているギルドだから、時間停止のアイテムポーチも5つ程サービスしちゃおうかな」
「じ、時間停止とは、まさか言葉通りなのかね? 冗談にしか聞こえんのだが? 本当にそんな、貴重なアイテムポーチが存在するのだね?」
「はい、中に入れた物は時間が止まります。とっても便利でしょ?」
「相変わらず、なんとも驚く事を簡単に言ってくれるね。本当にそんな貴重な物を我々に預けて貰っても良いのかね?」
「はい、でも、このギルドだけの特別ですよ?」
「わはは、いやありがとう。非常に嬉しいよ。アヤメ君もありがとう感謝するよ」
「いえそんな、でも時間停止のアイテムポーチは、告知しない方が良いかもですね、私達でもそんなに持ってない貴重品ですから」
「ああ、そうすることにするよ。<鑑定>スキルと同等かそれ以上に価値があるかもしれないね」
「確かに時間停止となれば、貴重な植物や食材も鮮度を落とさず持ち帰れるようになるでしょう」×岩永部長
「うむ、使いどころを考えれば、その価値は計りしれないだろう」
「ですが、極秘にしなければ国が動くような事になるかと」×斗沢支部長
「それを考えると恐ろしいね、三日月君からいただいた<虚空庫>がまた重宝するよ」
「あはは、悪い事に使ってませんか?」
「も、もちろんだよ?」
「ふむふむ、本当みたいですね」
「フフ、瀧見社長達もドンドン危険になっていきますね?」
「おいおい、怖い事を言わないでくれたまえよ」
「ん~ そっか、危険性は考えなかったな~」
「えっ? ヨウ君まさか?」
「ちょっと、瀧見社長達も僕が鍛えましょうか?」
「えええええええっ!!!」×アヤメ達
「だ、駄目だよ、ヨウ君。社長達が死んじゃうよー」
「ん~ 生き残れるかな~」
「即死しなければ治せるけど・・・」
「ちょ、ちょっと、待ってくれたまえ。私達は皆高齢なのだが?」
「そこは、ステータスを上げて貰って、スキルで補えば・・・」
「あ~ ヨウ様が本気で考えてる~」
「フフ、私の予想では身体より先に、精神の方が壊れるかと?」
「じゃ、かなり手加減しないとですね~」
「あっ! もう駄目かも(ぼそっ」
「ぐはっ! す、少し待ってくれたまえ。私達は非常に忙しいのだよ?」
「いや~ よく考えると、本当にこれから危険になりそうなんですよね~ そう言う訳で、すみませんが3人には少し強くなって貰おうかな」
「あっ! ヨウ君。ここに居ないけど課長さんも入れた方が良いかも?」
「はい、じゃ4人ですね」
「ん~ ちょっと、瀧見社長の家から家庭訪問に行っても良いですか?」
「私の家かね? それは構わんが・・・まさか、私の家族まで鍛えようとは思ってないだろうね?」
「あはは、まさか。ちょっと守りを固めようかと思ってるだけですよ?」
「あ、頭が痛くなってきたのだが?」
「んふふ、そんなの、ヨウ君と居れば日常茶飯事ですから」
早速、今日の夕方にでも瀧見社長の家から家庭訪問することになり、僕達はギルドを後にした。
適当にダンジョン探索をした後、瀧見社長の家にナビを頼りに向かう。
瀧見社長は奥さんと3人の子供が居るらしい。
子供と言っても、大学生の長女と高校生の男児二人の様だ。
今日は全員早めに家に帰ってくれるよう頼んでおいた。
直ぐに瀧見社長の家に辿り着くと、高級住宅街にある一軒家で中々の豪邸だった。
電話で到着を知らせると、瀧見社長と奥さんが出迎えてくれた。
高級車で乗り付けたためか、瀧見社長の奥さんは驚いているようだ。
「すみません。今日は、仕事を早く切り上げていただいたのですね」
「ああ、もちろんだ。紹介しよう、私の妻だ」
「こんにちは。ようこそ、おいで下さいました」
「こんにちは。僕は三日月陽と言います、今日は行き成りの訪問すみませんでした」
「いえ、テレビで拝見させていただきましたが、世界一の冒険者に会えて光栄です」
「フフ、君が緊張するなんて珍しいね?」
「それは仕方ありませんわ。実際にお会いしてみると、こんなにも可愛らしい少年と、とても信じられない様な美しい女性達なのですから」
「ありがとうございます」×アヤメ達
「さあ、どうぞ、家にお入りください」
「お邪魔します」
僕達は瀧見社長の家に入り、リビングに通されると、そこには三人の子供達が待っていてくれた。
子供達は僕達の顔を見ると、凄く驚いた表情をしている・・・
あれっ? 瀧見社長から聞いてなかったのかな?
「か、可愛い~ それにすっごい美人!」
「うは~ 本当に綺麗な女性だったんだ」
「凄い! 本当に父さんのギルドに所属してる冒険者だったんだ」
「こらこら、そんな嘘を父さんがつく筈がないだろう? それよりも、ちゃんと挨拶しなさい」
「すみません。私、驚き過ぎちゃって、ようこそお越し下さいました」
「「こんにちは」」
「さあ、とりあえず、座ってくれたまえコーヒーでもどうかね?」
「ありがとうございます。お言葉に甘えて頂きます」
「あの私、今日大学の友達に三日月さんに会うって自慢しちゃいました」
「俺も友達に言ったら、凄く羨ましがられました」
「俺なんて、一緒に見たいって言う友達を振り切って帰ってきたんですよ?」
「冒険者なのに、そんなに皆知ってるのかな?」
「当たり前ですよ~ だって、世界一の冒険者なんですよ?」
「お父さんから電話貰った時、信じられませんでしたから」
「あの、一緒に写真を撮らせて貰っても良いですか?」
「あっ! 俺もお願いします」
「俺も一生の自慢になりそう」
「あはは、良いですよ♪」
「あの、皆さんも良いですか?」
「んふふ、良いわよ♪」
「高校生って可愛いよね?」
ゾクゾク! 「うわっ! うわ~~~」
「こら駄目よ、ツドイ?」
「僕の事、誤解してない?」
「んふふ、ツドイは女の子の方が危ないかもね~」
「僕、危なくないよね?」
「えっ! あわわ! 女性なのにゾクゾクしちゃう~」
「もう、瀧見社長の娘さんなのよ?」
「僕、何にもしてないのに~」
「あはは♪」
やはり、実際に見るアヤメさん達のインパクトは強烈なのか、男女関係なく引き付けられるようだ。
「・・・ねえアナタ、よく浮気しないで我慢できますわね?」
「ははは、私にとっては君が一番だからね?」
「うふふ、一生アナタに付いていきますわ♪」
「私が、あの方達に迫られたら、拒める気がしませんもの?」
「おいおい、勘弁してくれよ?」
「うふふ、冗談ですわ♪ でも本当に美しい人達ね、この世にあんな綺麗な人達がいたなんて驚きですわ」
「彼女達は特別だよ。なんたって三日月君のパーティメンツだからね」
「あの可愛い少年が、とんでもなく凄い人なのも信じられませんわ」
「何度も言ったが、決して失礼のないようにな?」
「アナタがそこまで言うなんて、もう一度気を引き締めますわ」
「ああ、そうしてくれ。私も細心の注意を以て接しているのだからね」
「恐ろしい少年なのですね?」
「ああ、とても恐ろしく、とても素晴らしい少年なのだ」
瀧見社長の子供達は流石に今時の大学生と高校生だけあり、初めて会う僕達にもグイグイ来て話題が尽きない。
「ねーねー、高ランクの冒険者ならさ、10円玉を指で折り曲げたりできるのかな?」
「ん~ 出来ると思うけど、こんなのはどうかな?」
僕は指に魔力を浸透させ、爪で10円玉の真ん中を縦に線を入れるように動かした。
「えっ? それだけ?」
「うん、触ったら分かるかな?」
「触ったらって、何にもなって・・・えええっ! うそ~ 10円玉が真っ二つに斬れてるーーー!」
「「うはーーー!」」
「SSランク凄え~」
「じゃ、僕はこんなのやっちゃおうかな。ここにある10円玉に指が入っちゃうよ」
ツドイさんは僕と同じ様に指に魔力を浸透させ、10円玉の真ん中に小指を入れていくと、まるで指輪のようになってしまった。
「「「おおーーー!」」」
「うわ~ 手品も出来るんだ?」
「手品じゃないよ? ほらっ?」
ツドイさんは指輪になった10円玉を小指から引き抜くと、10円玉の真ん中に大きな穴が開いていた。
「「「えええええええええっ!!!」」」
「こらこら、ツドイ。あんまり怯えさすような事はしないの」
「そだよー、引いちゃってるじゃない?」
「あれー、面白いと思ったんだけどな~」
「フフ~ 私がやるよ。昔スプーンをぐにゃぐにゃに曲げる手品があったじゃない? あれを再現するね~」
次にノノさんがコーヒーのスプーンを、まるで粘土の様にぐにゃぐにゃに曲げて、手の平で丸めてパチンコ玉の様にしてしまった。
「どうどう、不思議でしょ?」
「ツンツン・・・これメチャクチャ硬い、鉄の塊になってるんだけど?」
「「「・・・・・・・」」」
「ハ、ハハ、よく日常生活ができますね?」
「ステータスを上げだした時は苦労したんだよ~ ドアノブを引き千切っちゃったからね~」
「僕は車のハンドルをもぎ取っちゃって、泣けたな~」
「フフ、フライパンの取っ手を千切ってしまって、料理ができませんでしたね」
「手に持つものが全部壊れちゃうから、スマホが持てなかったもんね」
「迂闊に人に振れる事もできなかったから気を使ったよね?」
「僕なんて寝返りしたのか、朝起きたら壁に手が埋まってましたからね?」
「でも、それってかなり最初の方だから、今のステータスで力の制御ができなかったら大惨事になるわね?」
「ツドイが寝ぼけて魔法使ったら、近畿圏が無くなっちゃいそう」
「がーん、がーん! ヨウ君扱いより酷いー」
「あはははは♪」
ガクガクガクッ!!! ×子供達
「おいおい、あまり子供達を怯えさせないでくれたまえ」
「ええ~~~」×クレセントメンバー
「そんなつもりはなかったんですけど、僕達のあるある話しですよ?」
「やれやれ、超人には超人の苦労があるのだね?」
「あはは、頑張って色々と訓練しましたからね。じゃ、そろそろ今日の本題に入っても良いですか?」
「やはり、何か意味があったんだね?」
「はい、家族さん達にも聞いといて欲しかったので、一度直接会いたかったんですよ。
僕達は瀧見社長に色々とお世話になりっぱなしで、出来る限りの恩返しをしているんですけど。
その恩返しってのがダンジョンから入手できる、様々なアイテムや素材なんです。
それには、世界中から狙われる様な、価値の高い物があったりするんですよ。
つまり、本人だけではなく、家族さんにも危険が及ぶ可能性があったりします」
「「「「ええっ!」」」」
「なので、最低限の守りをして貰おうかと、今日僕達がお邪魔させて貰いました」
「いやはや、私の家族にまで、気遣って貰って申し訳ないね」
「いえいえ、今の僕があるのも、瀧見社長のお陰ですから。
とりあえず家族の皆さんには、幾つかのスキルを習得して貰いたいと思います。
<追加防御><状態異常耐性><超回復>ってところですか」
「また、凄く貴重なスキルを・・・すまない恩に着るよ。私も家族になにかあったらと思うと、気が気じゃ無いからね」
「あ、あのスキルとは、とても貴重な物としか知らないのですけど、お聞きしてもよろしいかしら?」
「はい、<追加防御>は身体の周りに防御幕を張るスキルです、これは銃弾ぐらいなら跳ね返しますので、守りとしては最適でしょう」
「「「うはー!」」」
「<状態異常耐性>は身体に異常をきたすものに耐性がつきます。つまり、毒も効きませんし、病気にもならないようになります」
「「「うはーー!!」」」
「<超回復>は念のためなんですが、怪我をしても直ぐに治ります。例え腕が千切れたとしても、再生するようになります」
「「「ぐはっ!!!」」」
「・・・そこまでしないと、危険だと言う事ですね?」
「あくまでも念のためですが、これで襲われたとしても怪我の心配だけは無くなりますね」
「皆には言っておくが、スキルはどれも高額なのだが<状態異常耐性>や<超回復>スキルは世界にも出回っていない、未把握スキルなのだよ。
つまり、その価値は計りしれないほど貴重なものだと思って欲しい。
当然スキルの事については全て秘密だ。誰にも言ってはいけないよ?」
「「「う、うん」」」
「分かりましたわ。ありがとうございます。三日月様」
「いえいえ、瀧見社長のためなら、これぐらいお安い御用ですから」
僕達は用事も終わったので、瀧見社長の家を後にした。
これから支部長・部長・課長の家にも行かないとだしね。
「ねえ、お父さんって、あんな凄い人から慕われる人だったんだね。尊敬するわ」
「俺も凄いって思うよ。父さん」
「父さんは冒険者ギルドの社長ってのは知ってたけど、本当に凄く偉い人だったんだね」
「うふふ、そうよ。貴方達の父親は凄い人なんだから♪」
「ふはははは! そこまで持ち上げられると、嬉しいじゃないか?
だが、父さんだけの功績じゃないんだ。優秀な部下達に支えられた結果だからね」
「貴方達も覚えておきなさい。褒められて、それを自慢する人は小物なのよ?」
「「「なるほど~ 父さんは大物だ~」」」
「やれやれ! 何が欲しんだ、言ってみなさい?」
「「「やったー♪」」」
「よろしいんですか。アナタ?」
「これだけ、子供達から尊敬の目で見られたら仕方あるまい?」
「うふふ、アナタ素敵ですわ♪」




