第266話 SSランクお祝いパーティーは盛大に2
僕はプールサイドに集まってくれている、グラビアアイドルさん達を覗いてみた。
何時もなら広くて綺麗なプールサイドが、セクシーな水着を着た美女達が佇んでいるだけで、絶景になっていた。
ここから、何時までも眺めていられそうなぐらいだ。
皆、どうみてもハワイにしか見えないバルコニーのプールを見て驚いている様だ。
それにしても、何十人居るのだろう・・・流石にグラビアアイドルだけあり、皆素晴らしいスタイルをしている。
水着も中々キワドイのに咥え、世間に疎い僕でも見た事があるような女性達がいる。
きっと、有名な女性達ばかりなのだろう。僕は意を決してプールサイドに入った。
すると、プールサイドにいた女性達は、一斉に僕に注目を集めているので、少し引き下がりそうになってしまった。
「コ、コホン! 皆さん。今日は、来てくれてありがとう! 僕が主催者の三日月陽って言います」
僕が挨拶をすると、一番近くに居たゴージャスな女性が、微笑みながら返答してくれた。
「うふふ、さっきの挨拶も、ちゃんと聞いてたわよ? 本当に、貴方が冒険者ランクSSなの?」
「はい、これが冒険者カードです!」
僕は女性にSSランクと記載された、冒険者カードを見せると、近くに居た女性達も皆、マジマジと見にきてくれた。
「ホントに、SSランクなんだ~」
「凄いわね。今までSランクの人達も分からなかったのに」
「こんな、可愛い少年がSランクだったなんて分かる訳ないわ」
「私達にまで言って良かったの?」
「はい、今まではある程度強くなるまで秘密だったんですけど、もう公表しちゃっても良いかと思いまして」
「ってことは、かなり強くなったって事かな?」
「あはは、僕なんてまだまだ、とっても弱いですよ?」
「ねーねー、少しで良いからさ、見せてくれないかな?」
「えっ! 何をです?」
「何でも良いんだけど、その強さが分かる様な事?」
「ん~ そうですね~ じゃあ、1人キャッチボールとかどうです?」
「えっ! 1人キャッチボール?」
「自分で投げたボールを、自分で捕るみたいな?」
「あはは、それだったら、誰でも頑張ったら出来るんじゃない? 山なりのボール投げて走って捕るんでしょ?」
「いえいえ、ちゃんと投げますよ? まあ、見といて下さい♪」
僕は<虚空界>から、野球のボールを取り出した。
「じゃ、いっきまーす!」
パンッ!
「えっ?」×グラビアアイドル達
「は、速~い! 見えなかったんだけど?」
「じゃ、続けていきますね~」
パンッ!
パンッパンッ!
パパンッ! パパパンッ!
「うはーーー!」×グラビアアイドル達
「150・・・いえ200キロぐらい出てそうね?」
「なんで、あんな速いボールが捕れるの? どうやって移動してるの?」
「し、信じられない・・・人間業じゃないわ」
「駄目! 完全に理解不能よ? SSランクって人知を超えてるわ」
1人キャッチボールにも慣れてきて少し長めにしてると、何時の間にか会場の人達まで集まって来ていた。
「ちょっと目を離したら、何してるのかな?」×アヤメ
「えっと、ちょっとした、パフォーマンスかな?」
「んふふ、ヨウ君のパフォーマンスはお金が取れそうね?」
「あはは、僕の隠し芸にしちゃおうかな?」
「き、綺麗・・・」
「こんなに美しい女性が、世の中に居たんだ・・・」
「んふふ、ありがとう」
「トップモデルさん? 貴女も呼ばれたの?」
「いいえ、私はヨウ君のパーティメンバーよ?」
「えええええええええっ?」
「ぼ、冒険者なの?」
「もちろん! これでも、Sランクなのよ?」
「うはーーー!」
「あ、貴女みたいな綺麗な女性が? いえ、冒険者だからと、言った方が良いのかな?」
「んふふ、正解と言っておこうかな」
「ヨウ君も、とっても可愛いでしょ?」
「た、確かに・・・」
「そうなんだ~ 私も少し冒険者やってみよっかな」
「馬鹿ね? 並大抵の努力でSランクに成れる訳無いでしょ?」
「とんでもない美しさと一緒に、人を超えた力もあるってことよ?」
「えっ! それじゃあ?」
「貴女も、三日月さんと近しい実力を持ってるって事ですよね?」
「近しいなんて、とても言えないけど、力無くしてヨウ君と同じパーティには居られないわ。こっちを見てて」
アヤメさんは僕のパフォーマンスと同じ様に、一瞬で姿を消し喋っていた女性の背後に回っていた。
「き、消えた?」
「わわっ!」
種明かしをするように、アヤメさんは女性の後ろから、首に手を回して抱き着いている。
「んふふ、貴女良いわね? パーティが終わってから少し残ってみる?」
ゾクゾクッ! 「え、遠慮しときます・・・」
「うふふ、残念!」
「今日は楽しんで行ってね♪」
アヤメさんは、ゾクゾクするような微笑みを浮かべ、会場へ戻っていった。
グラビアアイドルである女性達も、ボ~っとしながら、アヤメさんを見つめている。
「なんで、断ったの?」
「私みたいな一般人が、踏み込んで良い所じゃないわよ。
さっきの見たでしょ? 全身の毛穴が開いて、変な汗掻いちゃったわ・・・
私達は、このパーティに参加出来ただけでも満足するべきよ?」
「嬉しい事を、言ってくれますね?」
「身の程を弁えるって、大事な事よ?」
「そんなに大仰な事じゃないと思うんだけど、また招待しても良いですか?」
「何を差し置いても参加するわ」
「あはは、ありがとうございます♪」
「ちゃんと、今日参加してくれた皆さんには、サービスしときますからね」
「えっ?」
僕は少し名残惜しいけど、グラビアアイドルの皆さんに、ブンブンと手を振り会場へ戻ることにした。
その後は、下階にあるコンサートホールに移動し、演奏家さん達と共に五十鈴さんの唄声を披露して貰った。
やはり、何度聞いても五十鈴さんの唄声は素晴らしい。
途中から僕が好きなダンスチームの方も、五十鈴さんの歌に合わせダンスを披露してくれた。
一糸乱れぬその動きは、まるで機械の様に揃っており、見事としか言えなかった。
美しい女性達なのにコミカルな動作は、とても面白く。僕は釘付けになってしまう。
表情にも気を配っているのか、動きに合わせた顔を見ているだけでも面白い。
一体どれほどの練習をすれば、こんな事が出来るのだろうと感心してしまう。
最後の曲が終わると、皆から割れんばかりの歓声と拍手が鳴りやまなかった。
僕も一生懸命拍手した。それはもう、掌が痛くなるほどに。
労いの声を掛けに壇上へ行くと、ダンスチームの皆は息を切らし肩で呼吸していた。
あれだけ激しい動きなんだから、疲れるのも当然だ。
大量の汗も搔いていたので、<ヒール>と<クリーン>を掛けて上げた。
皆は<回復魔法>を受けたのは初めてだったのか、目をパチクリとしている。
「こ、これは?」
「どうです? 楽になりましたか?」
「驚きました! これが<回復魔法>なんですね?」
「凄い! 一気に疲れが取れちゃった」
「それに、あれだけ汗掻いてたのに服も濡れてない?」
「ホントだ~ 魔法ってメチャクチャ便利なんですね」
「ありがとうございます♪」×ダンスチーム
「いえいえ、素晴らしいダンスを、ありがとうございました」
「うふふ、そう言っていただけたら、私達も嬉しいです」
「何人かステータスを上げてますよね? ダンジョンにも行かれるんですか?」
「ええっ?」
「何故、分かるんですか?」
「ん~ それは分かるとしか言えないですね」
「うはー、やっぱり、SSランクって凄いんですね」
「仰るとおり私達にはSPオーブなんて高額な物は買えませんから、上級ダンジョンの低層によく行きます」
「でも、私達ではSPオーブなんて、中々ドロップしないんです」
「良かったら、僕がお手伝いしましょうか?」
「ええっ!」×ダンスチーム
「み、三日月さんがですか?」
「はい! 少し制約があるんですけど、それでも良ければお手伝いしますよ?」
「・・・制約とは、何なのかお聞きしても良いですか?」
「ヨウ様! 私が説明しても宜しいですか?」×リラ
「はい、お願いします」
「畏まりました」
「では皆さん、制約について私から説明致しますね」
「は、はい」
「この制約を聞くだけでも、守秘義務が掛かりますが宜しいですか?」
「制約を聞くだけで、守秘義務ですか?」
「誤解の無い様にお伝えしますが、これはあくまでも皆さんの安全の為にです。守って下さる限り、皆さんの安全は保障致します」
「はは、それって守らないと保障出来ないって事ですよね?」
「ヨウ様の好意とは、誰もが欲しがる事だと御理解下さい」
「分かりました」
「それは、皆さんの総意と受け取っても宜しいでしょうか?」
「皆、良いよね?」
「うん」
「では、制約について御説明致しますので、別室にお越し下さい」
「はい、皆行くよ」
「はい」
皆はコンサートホールから、最上階のリビングへ戻って貰い、立食形式の食事を用意した。
ダンスチームの皆さんは、リラさんと個室に行くようだ。
僕も付いて行くことにした。個室と言っても結構広く、豪華な椅子が複数設置されている。
我ながら、お金掛けてるなと苦笑してしまう。
「まずは皆さんにお伝えしておきたいのですが、ヨウ様は皆さんのファンになるほど、大変気に入られております。
誰もが、ヨウ様の支援を受ける事は出来ない事を御理解下さい。
では、制約について御説明致します。
まずは秘密厳守です! 今日、知り得た事は全て内密でお願い致します。
友人はもちろん、家族にも絶対に漏らさないようご注意ください。
次にヨウ様の支援を受けた後は、ダンジョン探索を決して誰にも見られないようにして下さい。
制約と言っても、この2点だけなのですが大丈夫ですか?」×リラ
「えっ! それだけで良いのですか?」
「はい、ですが、守れなかった時は、身の安全は保障出来ません。いえ、保障出来ないと言うのは正しくありませんね、死を覚悟して下さい」
「そ、それほどの事なのですね?」
「全て説明したとき、御理解していただけるかと?」
「皆で相談させていただいても良いですか?」
「ヨウ様?」
「ええ、良いですよ。ゆっくり相談して下さい」
少し脅しが効き過ぎてる様な気もするけど、アレの効果を考えると仕方ない。
皆さんは真剣な表情で相談している。
だけど、この制約を聞いた時点で、守秘義務は絶対だから受けることに決まったようだ。
「お待たせ致しました。三日月さんの支援を、お受けさせていただきたいと思います」
「分かりました。では、これを貸しておきますね」
「これは?」
「どうぞ、開けてみて下さい」
ダンスチームのリーダーさんは、差し出した木箱を丁寧に開けて行く。
「黄金のスライム? これって?」
「これは、あるダンジョンの地下30階のボスからドロップした、宝箱のアイテムです。しかも、白金宝箱でした、レア中のレアですね」
「な、何故、そんな貴重な物を?」
「これは設置型のアイテムなんですが効能が凄いんですよ、その肝心の効能なんですが鑑定結果は、こんな感じです」
【ゴールドスライム:これを設置した建物内に一定時間いるとレアドロップ率上昇、ドロップ数上昇の恩恵が賜れる】
「はあああああああああああっ?」×ダンスチーム
「僕達で体感したところ、スキルオーブや魔法スクロールがドロップしやすくなるし、少なくともドロップ数は倍になります」
「かはっ!」
「ほ、本気で言っているのですか?」
「制約があるのを、御理解いただけたかと思います」×リラ
「それは当然ですね・・・もし、スキルオーブや魔法スクロールがドロップした場合はどうしたら良いのですか?
私達の望みは、SPオーブだけなのですけど」
「その場合は、皆さんで習得しちゃって下さい。その方が安全ですし」
「そんな! 私達には、とても払えません」
「それも含めて支援しますよ、僕は皆さんのファンですから」
「それにしても、一体どれ程の価値になるか・・・」
「フフ、ゴールドスライムの価値はエリクサー以上ですよ?」
「かはっ!」
「あっ! そうそう。持ち運びに不便でしょうから、リーダーさんに<虚空庫>スキルオーブも渡しておきますね」
「<虚空庫>って、とても高額・・・」
「高額どころじゃないわ、確か数千億円だったはずよ?」
「皆さん。ダンスの練習は何処でしてるんですか?」
「何時もはスタジオを借りて練習してますけど?」
「じゃあ、皆さんが寝泊り出来る、スタジオも用意しますね。リラさん、良いですか?」
「畏まりました! セキュリティーの高いビルを建築致します」
「ちょ、ちょっと待ってください。なにがなんやら?」
「あはは、ゴールドスライムって設置型のアイテムだから、皆さん専用の建物がいるんですよ」
「何か希望があれば、リラさんに伝えて下さいね。
リーダーさんに<虚空庫>スキルオーブ渡しときますね。
ではでは、次に見せて貰うダンスを楽しみにしてますね~」
僕は後の事をリラさんに任せて、パーティ会場へ戻ることにした。
皆さんに、手をブンブンと振って部屋を後にする。
「・・・何かメチャクチャ、ハードル上がったんだけど?」
「うふふ、どうやら、この恩はダンスで返すしかなさそうね?」
「うはー、こんな大きな恩返しだと、メチャクチャ頑張らないとだよー」
「フフ、頑張って下さいね。きっとヨウ様がお喜びになりますから」×リラ
「どこまで恩返し出来るか分かりませんけど、精一杯頑張らせていただきます」
僕はパーティ会場へ戻ると、サラリーマンさんが1人でソワソワとしていた。
「どうしたんです?」
「タバコが吸いてえ・・・」
「あはは、灰皿も置いてある筈なんですけど?」
「バルコニーのプールには行きずらいし、此処でタバコを吸うほど無神経じゃねえんだよ?」
「なるほど。じゃ、塔屋へ行きましょか、ヘリポートがあるんで完全な屋外ですよ」
「ありがたい♪」
サラリーマンさんは塔屋に出ると、直ぐにタバコを吸い始め、満足そうな顔をしている。
「本当にタバコが好きなんですね~」
「これだけは、止められねえよ」
「あはは、喫煙所も作っときますね」
「おいおい、俺の為に、そんな気を使わなくても良いって」
「いえいえ、サラリーマンさんには、お世話になってますし?」
「良く言うよな? 俺の方が世話になりっぱなしだろ?」
「もう、仕事の方は落ち着きましたか?」
「ああ、以前の様に慌ただしいって事はねえな、忙しいのは相変わらずだけどな。
・・・まさか、また俺に何かしろって事じゃねえよな?」
「あはは、本当に鋭いですね~」
「はぁ~ 今度は何だよ?」
「えとですね~ このクラン本部の1階から2階ぐらいまで何か店舗を入れようかと思ってるんですけど?」
「なるほどな、認識阻害があるっていっても、変な空間があると気付かれやすくなるか」
「まあ、そう言う事です。3階から上を認識阻害で分からないようにしようかと思ってます」
「どんな店舗を入れるか分からねえが、流石に俺は無理だぞ?」
「スーパーの店長さんとか、どうです?」
「ブッ!? 無理だ! 畑違い過ぎるし、俺が過労死するぞ?
それに、関係者以外の方が良いんじゃねえか?」
「ん~ そうかもしれませんね」
「空き店舗として募集してみよっかな。ところで、OLさんとは仲良くしてますか?」
「ああ、お陰様で幸せな毎日を送ってるよ」
「他に彼女とか居ないんですか?」
「馬鹿野郎! そんな訳ねえだろ?」
「もう甲斐性は、あるでしょ?」
「お前みたいに器用じゃねえし、大金があっても俺みたいな貧乏人には使い方も分からねえしな」
「僕も器用って訳じゃ無いんですけど、皆が幸せなら良いかなと思う様になりましたよ?」
「お前は特別だからな?」
「僕はいたって、普通のつもりなんですけど?」
「お前が普通なら、特別って言葉が辞書から消えるな」
「そこまで言う事ないじゃないですか、ちょっとは自覚してますよ?」
「ちょっとじゃ足りねえんだよ?」
「今の俺でも、人外って言って良い程なんだぞ?」
「あはは、ダンジョンも行ってますか?」
「・・・冒険者ってのも楽しいよな?」
「でしょー♪」
「宝箱見つけると、テンション上がるよな?」
「爆上がりです!」
「あはは、お前は宝箱ぐらいじゃ稼ぎにならんだろ?」
「価値に関係なく、宝箱ってのは熱いもんなんですよ?」
「それは、ちょっと分かるような気がするな」
「誰かさんのお陰で、しがないサラリーマンが冒険者まで、するようになったからな」
「安全マージンはたっぷり取って下さいよ? 何かあったら責任を感じちゃいますからね?」
「わあってるよ、だが、ありがとな」
「いえいえ♪」




