第243話 たまには派遣冒険者も良いかもです 天満リラ編
<リラ視点>
ガチャ!
「この部屋で待機だ、大人しくしとけよ」×リーダー
「普通の人来い! 普通の人ー!」
「なにを以て、普通なんだよ?」
「メンドクサイ人じゃなかったら、それで良いわ」
「随分と敷居が低いな?」
「私はアナタと違って、現実を知ってるのよ?」
「世知辛いよな・・・」
「おっ! 来たみたいだぞ?」
「やたっ!」
ガチャ!
「皆様大変お待たせ致しました。こちらが回復職希望の天満リラさんです」×受付嬢
「初めまして天満リラと申します、皆様宜しくお願い致します」
「「「「「はっ?」」」」」
「き、来た! 本当に美人でセクシーな女性・・・ってか、いやいや想像を遥かに超えてるだろ?」
「き、綺麗・・・こんな綺麗な女性って、本当に存在するんだ?」
「あ、あの、何か間違えていませんか?」
「うふふ、いいえ。気持ちは分かりますが、本当に回復職の冒険者ですよ。
私が身を以て確認致しましたから、間違いありません」×受付嬢
「す、すまない、俺がこのパーティのリーダーだ。今日は宜しくお願いします」×リーダー
「こちらこそ、宜しくお願い致します」
「今日は、上級ダンジョンの地下11階に行こうと思うんだが、それで良いだろうか?」
「はい、結構です! 回復魔法のタイミング等、希望がありましたら、お聞かせ願えますか?」
「ああ、分かった。時間が勿体ないから、歩きながらでも構わないか?」
「はい、大丈夫です」
「お、おい、リーダー! こんな美人に歩かせて良いのか? タクシー呼んだ方が良いんじゃないか?」
「フフ、お気遣いありがとうございます。ですが、徒歩で結構です」
「そ、そっか。いや、そ、それなら良いんだけどな」
「なにキョドってんのよ? まあ気持ちは分かるけどね・・・」
「笑顔ヤバい・・・」
「駄目だ・・・聞いてないし」
「ねえねえ、天満さんって絶対、都会の人だよね?」
「都会と言えば都会でしょうか、拠点は大阪にありますから」
「「「「「うはっ!」」」」」
「や、やっぱり大阪なんだ~ 関西弁じゃないから確信が持てなかったけど」
「大阪の冒険者って皆、天満さんみたいに美人なんですか?」
「フフ、ありがとうございます。それはどうでしょう?
私のパーティメンツは、私よりずっと綺麗な女性達ですから」
「ないないない、天満さんより綺麗な女性なんて想像つかないよ?」
「フフ、本当ですよ?」
「うはー、一回で良いから見てみたいよな~」
「お前ら、そんな事より打ち合わせの方が先だろ?」
「そ、そうね、あまりにも驚き過ぎて忘れちゃってたわ、流石リーダー♪」
「全く・・・すまないな、天満さん」
「フフ、いえ楽しませて、いただいておりますので」
「では、簡単に説明だけしておくが、魔物はオーガを予定している。
俺達のパーティでは、盾役が2人いるので、攻撃を受けた回数か合図を決めて回復して欲しいんだ。
オーガの攻撃は強力なので、盾で受けてもダメージを食らうんだ、そうだな3回受けたら<ヒール>してくれるとありがたい。
戦闘前にMPが枯渇しそうなら、声を掛けてくれたら良い。
分け前は6当分でお願いしたいが、不服なら交渉に応じよう」
「いえ、6当分で結構です。パーティ資金をストックしているなら、7当分でも構いませんよ?」
「ヒュ~ 美人だし、知的だし、セクシーだし、良識があって、思いやりまであるなんて完璧過ぎる♪」
「アンタは、黙ってなさいよ?」
「いや、嬉しい申し出だが、平等に6当分でいこうか?」
「分かりました」
「俺達は何度もオーガと戦闘しているので慣れている。天満さんは俺達が守るから安心して欲しい」
「それは頼もしいですね。ありがとうございます」
「天満さん。リーダーは既婚者ですからね、俺は独身ですから!」
「なんの話をしているんだ、お前は?」
「すみません天満さん。この馬鹿は無視してくれて良いですから」
「フフ、面白い方ですね♪」
「お、俺も独身ですからね?」
「私も独身ですー♪」
「アンタまで何言ってるのよ?」
「だって、天満さんなら女性でも良いかなって?」
「頭が痛くなってきた・・・天満さんごめんなさい。真面なのはリーダーと私だけみたいです」
「フフ、楽しそうなパーティで安心しました」
「馬鹿な事言ってないで、もうすぐだ。戦闘準備しとけよ?」
「「「「了解!」」」」
フフ、本当に面白いパーティに当たりましたね。
まずは、お手並み拝見といきましょうか。
ダンジョンへ到着すると、クリスタルで地下11階へ進み最初のオーガに遭遇したようですね。
都合の良い事に1体だけのようです。
「さあ、初戦だ気合入れて行くぞ」×リーダー
「おう、何時も通り盾が前後で挟むぞ」
「OK!」
何回もオーガ戦をしていると、言ってただけの事はありますね。
盾役が交互に入れ替わり熟練を思わせる戦闘で、徐々にオーガにダメージを重ねていき、危なげなく倒し切りましたか。
リーダーの指摘も的確で、アタッカー役の彼女達も見事な連携ですね。
「フ~ 天満さん<ヒール>ありがとう。やっぱ、回復職が居ると違うわ~」
「全くだ! それに天満さんの<ヒール>は、回復量が多いね?」
「ありがとうございます。皆さんも連携の取れた良い戦闘でしたよ」×リラ
「ありがとう。天満さんから見て、何か気付いた事があったら遠慮なく言って欲しい」
「そうですね・・・では、僭越ながらオーガの弱点は首の後ろなのですが、戦闘中は狙い辛いと思います。
なので、もう1つの弱点である、脇腹を攻撃すると戦闘が楽になるかと」
「「「「「ええっ!」」」」」
「オーガって脇腹が弱点なの?」
「はい、特に武器を振り上げた時が、狙い目かと存じます」
「なるほど! よし、次の戦闘から試してみるぞ」
「「「「了解!」」」」
次の戦闘が始まり、今日会ったばかりの私の助言を聞き入れてくれ、脇腹を集中的に攻撃し、先ほどの半分程の時間で戦闘が終了した。
あまりに早く戦闘が終了したので皆、戸惑いの表情をしていたが直ぐに喜びの表情に変わっていった。
「驚いたな・・・何度も戦闘したオーガに、こんな弱点があったとは」
「おい、これなら盾1枚で行けるんじゃないか?」
「ふむ、試してみる価値はあるだろう、天満さんありがとう」
「いえ、皆さんの実力です」
「よし、良い感じだ、次行こうか」×リーダー
「それでしたら、あそこの林に2体のオーガがいますので、試すには丁度宜しいかと」
「うわ~ 天満さんって目が良いのね、私には見えないんだけど」
「・・・俺にも林は見えるがオーガは見えない、とりあえず行ってみよう」
私の言う通り進んで行き、近づくにつれてオーガ2体が視認出来たようですね。
「うわ~ 本当にオーガが2体いた。凄いわ天満さん、凄い視力ね」
「・・・いや、あのオーガは、先ほどの位置からは完全に死角になっていた筈だ。何故分かったんだ?」
「フフ、女性に詮索するのは、野暮と言うものですよ?」
「・・・それは失礼した。忘れてくれ」
「さあ、行くぞ」
「「「「了解!」」」」
皆はコツを掴んだようでオーガ2体に盾役が1人付き、少し時間は掛ったが無傷で倒し切ったようです。
やはりリーダーだけではなく、他の皆さんも経験を積み重ねた冒険者なのが伺いしれますね。
「皆さん、お見事でした」
「ありがとう天満さん。先ほどから連戦なんだがMPは大丈夫かい?」×リーダー
「はい、MP枯渇するようであれば、報告するのは忘れてはいませんよ?」
「天満さんは、ひょっとして・・・いや間違いなく高ランクの冒険者ですよね?」
「フフ、別に隠している訳ではありませんが、自分から言う訳にも参りませんので御想像にお任せ致します」
「なるほど、重ね重ね失礼」
「いえ、お気になさらず」
「それよりも、ここからは3体以上のオーガが多くなるようです。念のためバフをお掛けしても宜しいですか?」
「えっ? バフって、ゲームのバフ?」
「はい、そうです」
「「「「「ええっ?」」」」」
「そ、そんなことも出来るの、天満さん?」
「フフ、とりあえず全員のステータス値を2倍に致します。一度体感なさいますか?」
「・・・それが本当なら、是非」
「分かりました」
私は検証し把握した<強化魔法>を、皆さんに掛けていった。
<鑑定>でステータス値を調べ、丁度2倍になるように調整していく。
私の経験上、5倍ぐらいまでが限界でしょうか。
それ以上になると、制御出来なくなる可能性が高いですね・・・
「うおお! マジで体が軽くなった・・・」
「うわわ! 剣が軽いよ、こんなに速く振れちゃう」
「こんな魔法、聞いたこともないんだが?」
「フフ、知っている事が全てではありませんし、見たことがあるものが全てではありません。世の中は広く深いものですよ?」
ゾクッ!
「・・・天満さんが信じられないぐらい綺麗なのが、分かったような気がするよ?」
「褒めても何も出ませんよ?」
「バフだけでも十分さ」
ステータスを2倍にした事で、動きに違和感があるみたいですが、徐々に慣れてきたのか戦闘スピードが格段に上がってきましたね。
やはり、順応力の高い良いパーティの様です。
「皆さん、少し宜しいですか?」×リラ
「ああ、リラさんのお陰で、すこぶる順調だよ」×リーダー
「それは良かったです。ですが、支障ないのかと思いましたが、やはり痛めている所が動きを阻害しているようですね」
「まさか、それが分かるのか?」
「はい、盾役の2人は手首を、女性の2人は膝や足首、リーダーさんは首を痛めてますよね?」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
「お前ら痛い所があれば、申告しろと言ってるだろ?」
「リーダーこそ、首を痛めてるって言ってるぞ?」
「あはは、凄いな~ 私の膝なんて殆ど分からない筈なのに?」
「フフ、思い切り戦闘出来るように、全て治してしまいましょう♪」
「「「「「えっ?」」」」」
私は軽度ながら皆さんが痛めている個所を、丁寧に<ヒール>で治していった。
「・・・手首が痛くねえ、嘘だろ? 特級ポーションでも治らなかったんだが?」
「強力な攻撃を盾で受け続けていたため、慢性的な怪我になっていたのでしょう。
そういう痛みは回復ポーションでは治りにくいですから。
皆さん、我慢はあまり良くありませんよ?」
「・・・軽い頭痛があったんだがスッキリしたよ、首が悪かったんだな。
しかし、俺達の戦闘を少し見ただけなのに大したもんだ、ありがとうリラさん」×リーダー
「フフ、お礼には及びませんよ、皆さんには稼いで貰わないといけませんので」
「そろそろ、ステータス2倍にも慣れたでしょう、3倍に引き上げますね」
「「「「「うはーーー!」」」」」
「マ、マジで?」
「あはは、結構スパルタだったりして?」
「うふふ、頑張るしかないわね」
怪我が治ったため本来のパフォーマンスを取り戻し、更にステータスを引き上げた事により、戦闘スピードが上がっていく。
既に4体のオーガ相手にも苦戦することなく、倒せるようになってきたようです。
「ねーねー、リラさんって回復職がメインじゃないの?」
「お前何を言ってんだよ? こんな凄い回復魔法とバフ貰っといて不服でもあるのか?」
「不服なんてある訳ないでしょー! だって、回復職なのに杖とか装備してないんだもの。
普通なら最低限の自衛もあるから、護身用の杖とか装備してるじゃない?」
「フフ、なるほど。それは盲点でしたね」
「ま、まさか、本当に回復職がメインじゃないのか?」×リーダー
「はい、私はどちらかと言えば前衛でしょうか。アタッカーが多いですね」
「「「「「ええっ!」」」」」
「リラさんって、アタッカーだったの?」
「私の武器は刀ですから」
「そ、そんなのどこに・・・」
私は<虚空界>から刀を取り出し、皆に見せて上げた。
「「「「「はああああああああっ?」」」」」
「こ、<虚空庫>?」
「冗談だろ? 俺、初めて見たぞ?」
「凄い、凄い、凄~い♪」
「・・・やはり、高ランクの冒険者だったみたいだな、想像してたよりかなり上だったが」
「えっ? ひょっとして俺達より強いのか?」
「馬鹿! 当たり前でしょ?」
「だ、だってよ、あんなに綺麗で細い腕なんだぞ?」
「見た目なんかで実力は計れないって事だ・・・」
「冒険者なのに、こんなに綺麗なんだもの、最初に気付くべきだったかもね?」
「フフ、誉めても何にもでませんよ?」
「なあ、参考になるか分からないが、少しだけ実力を見せてくれないだろうか?」
「お望みとあれば?」
「ああ、頼む」
「うわ~ 楽しみなんだけど?」
一番近いオーガを探すと、群れと言っても良い10体のオーガがいた。
「うわ~ 多すぎるね・・・」
「フフ、半分程残しましょうか?」
「「「「「えっ?」」」」」
「た、倒せると言うのか、オーガが10体だぞ?」
「問題ありません! では見ていて下さい」
「えっ? ええっ! リーダー止めた方が良いんじゃない?」
「いや、見ていよう。彼女がオーガの強さを見誤るとは思えない」
私は、散歩にでも行くかのように、巨大で恐ろしいオーガに近づいていく。
やはり、オーガが様子見などする筈もなく、10体のオーガが一斉に襲い掛かってきましたね。
フフ、こんな巨体から丸太の様な腕が振り下ろされたら、普通の者では恐怖を感じる事でしょう。
シャキンッ!
「「「「「えっ!」」」」」
「な、なんだ、何が起こっている・・・あのオーガの攻撃を躱したのは分かる。
だが、リラさんの動きが見えない、な なんてスピードだ。
リラさんがオーガの脇を通り過ぎる度に、オーガの首が地面に転がっていく。
いつ刀を抜いた? どうやったらあんなに太いオーガの首を綺麗に切断出来るんだ・・・」
「分かりやすく配慮したつもりでしたが、見えましたか?」×リラ
「い、いや、全く見えなかった・・・気を遣わせた様で悪かった」
「おい、お前見えたか?」
「リーダーが見えないのに俺が見える訳ないだろ?」
「それは、すみませんでした。手加減は難しいですね・・・」
「ど、どれだけ強いのよ、リラさん?」
「フフ、私が強いなど、とんでも御座いません。私など何百人居ても勝てない強者が存在致しますから」
「「「「「うはーーー!」」」」」
「大阪って怖いとこだな・・・」
「それよりも、良い物がドロップしてますよ?」
「えっ? うわっ! スキルオーブじゃない?」
「「「「なにっ?」」」」
「マジでスキルオーブじゃないか、って事は<腕力強化>スキルか?」
「嘘だろ? それも2つドロップしてる・・・」
「「「「お~~~♪ えええっ?」」」」
「いや、待て! それはリラさんの物で良いだろう」
「それもそうだな・・・」
「ん~ 確かにリーダーの言う通りね」
「いえ、それでは最初の取り決めを違えることになりますので、6当分に致しましょう」
「・・・10体もいたオーガでは、俺達では倒せなかったのに良いのか?」
「はい、御遠慮なく」
「リラさん太っ腹~」
「うふふ、ありがとう、リラさん」
「フフ、皆さんが誠実で私も嬉しいですから」
「それではステータス4倍に致しましょう。それで、きっとオーガ10体にも勝てる様になるでしょう」
「「「「「はあああああああああああ?」」」」」
「フフ、稼ぎましょうか♪」
「「「「「うはーーー!」」」」」
最終的にはステータスも5倍まで引き上げ、移動速度も上がったのでドンドンとオーガを殲滅していった。
気付けばSPオーブも6つほどドロップしており、オーガ素材も各自が用意した鞄に入りきらなくなった。
なので荷物は私が<虚空界>へ収納することにし、オーガを狩り尽くしていった。
途中隠し部屋も発見したので、宝箱も手に入れ全員から歓喜の声が、心地良かったですね。
もう、この階層にオーガが居なくなったのではないかと思うほど狩り尽くした頃、帰る時間になったようです。
「フゥ~ こんなにダンジョンを堪能したのは初めてだ。ありがとう、リラさん」×リーダー
「いえ、私も楽しませていただきました」
「ねーねー、リラさんのパーティって、全員リラさんぐらい強いのかな?」
「はい、リーダーは超越者と言っても過言ではありませんね。他の4人も、私と同等か、それ以上の実力者です」
「「「「「参りました!」」」」」
「フフ、ありがとうございました」




