第218話 これから売るのも買うのも億単位になりそうです
「うふふ、冗談はさておき、何を占って欲しいのかなコウタ君?」
「はい、あの俺とレイさんの2人でパーティを組んでいるんですが、今は初級ダンジョンの地下10階を探索中なんです。
これからの、お勧めダンジョンとか占って貰って良いですか?」
「なるほど、なるほど、頑張ってますね♪
ではでは、占ってみますね~ えっと、中級ダンジョンが良さそうですね~」
「おい、何時、占ったんだよ?」
「うふふ、それは、企業秘密です♪」
「ってか、初級ダンジョンの次は、普通中級に行くのが普通だろ?」
「中級って言っても、色々あるんですよ? お勧めは此処かな?」
ママさんはスマホに地図を表示し、指差して教えてくれた。
「そこは、西区北堀江中級ダンジョンだろ? 不人気すぎて過疎ってるダンジョンじゃねえか?」
「でも占いでは、そこが良いって出てるんですよ?」
「その中級ダンジョンの、1~10階で良い物が手に入るわ。
そこに満足したら、地下10階のボス、地下11・13・18・19・20階が良いみたいよ?
でも、地下10階のボス戦は、強い人の助っ人が居ないと危なそうね」
「そこへ行くと、良い事があるんですか?」
「うふふ、さあね♪ 当たるも八卦、当たらぬも八卦って言うでしょ?
今、コウタ君に言えるのは此処までね、続きは自分の力で此処へ来れた時に言うわ」
「分かりました。頑張ります」
「うふふ、コウタ君も良いわね~ 流石は・・・おっとっと♪」
「流石は、何なんだよ?」
「うふふ、なんでしょうね♪」
「全く、肝心の事は何も言わねえのかよ?」
「占いなんて、そんなものですよ?」
「こ、こら、腰に手を回してくんなよな?」
「クスクス♪ お姉さん、慣れてそうだけど?」
「ほっとけよ」
「うふふ、あっ! 皆来たみたいだから、入って貰いますね」
1人で俺達を接客してくれていたママさんは、他の女性も呼んでくれたのか、数人の女性達が部屋に入って来た。
驚くことに、その全員が先程見た女性達より遥かに美しく、グラスを落としそうになってしまった。
「・・・待て、ちょっとレベルが高すぎないか?」
「うふふ、分かります? 上階のママさん、全員呼んじゃった♪」
「初めまして。スタージョンでママをしている、アイナと申します」
「ハーベストでママをしている、アイカと申します」
「ハンターズでママをしている、モモカと申します」
「ブルーでママをしている、マイナと申します」
「コールドでママをしている、ジュリと申します」
「「「「「宜しくお願い致します」」」」」
上階のママさん達は俺を囲むように座ってくれたので、俺は視線のやり場に困ることになる。
なんてったって、全員が洗練された大人の女性であり、男なら絶対見てしまうようなドレスを着ているんだから・・・
ヤ、ヤバイ・・・メチャクチャ良い匂いまでする。
「おーい、コウター?」
「は、はい、も、もちろん分かってます」
「うふふ、怒っちゃ駄目ですよ? お姉さんは私が接待しますから♪」
「・・・しかし、ちょっとサービス過剰じゃねーか?」
「うふふ、そりゃ、私も手は抜けませんから」
「どんだけ、大物の手が入ってんだよ?」
「うふふ、大統領より大物だったりして?」
「マジかよ?」
「私にとってはね♪」
俺はナギ姉に此処を勧められたけど、やっぱりヨウ兄さんの力なんだろうなと、改めて凄い人だと思い知らされる。
そんな事を思っていると、沢山のお酒が並んでいる棚に、シオさんの所で飲んだワインを見つけた。
ちゃんと『霧のワイン』って書いてあるので、間違いないだろう。
「あっ! レイさん。此処にも『霧のワイン』置いてるみたいですよ?」
「・・・おいおい」
「へえ~ コウタ君『霧のワイン』飲んだ事あるんだ? 凄いじゃない」
「あれ、メチャクチャ美味しいワインですよね?」
「ちょ、ちょっと待て! コウタ。変だと思わないか? なんで、アレがこんな高級クラブに置いてあると思う?」
「そう言えば・・・あの、ちょっと聞きたいんですけど『霧のワイン』ってどれぐらいするんですか?」
「ん? 値段の事かな?」
「はい」
「うふふ、1本1億円よ♪」
「「はい?」」
「グラスなら1600万円ぐらいね」
「「ぐはっ!」」
「マ、マジですか?」
「お店で出す時はね。でも、コウタ君にならサービスしちゃうわ♪」
「ま、待って下さい! 遠慮します。全力で遠慮しますから」
「うふふ、遠慮なんてしなくて良いわよ」
ママさんは、1本1億円もするワインを簡単に栓を抜き、俺とレイさんに振る舞ってくれた。
以前シオさんの店で飲んだ時とは違い、値段を聞いてからは、手が震えてグラスが持てなかった。
「さあ、お姉さんもどうぞ?」
「・・・本当に払えねえぞ?」
「うふふ、コウタ君の彼女からお金なんて取れないわ。
良い機会だから、皆で飲みましょうか?」
「「「「「わあ~♪」」」」」
「そんなに喜ぶって事はママ連中も、気軽には飲めないって事だよな?」
「そうですね。私達も2度目なんですよ?」×アイナ
「今日は、コウタ君に感謝ですね」×モモカ
「うふふ、じゃ乾杯!」×スズカ
「乾杯~♪」×全員
俺は震える手を抑えながら、人生2度目の『霧のワイン』を飲んだ。
相変わらずとんでもなく旨い・・・しかし、この1杯が1600万円なのかと思うと頭がおかしくなりそうだ。
「くぅぅ! 旨いな! 頭が痛くなりそうだけどよ」
「うふふ、流石に世界で初めて発見された、ダンジョン産のワインね♪」
「そうだったのか・・・とんでもねえな」
「これ、ダンジョン産だったんですか? うはー、凄いな~」
「うふふ、コウタ君も頑張って、このワインを取って来れるぐらいの冒険者に成れると良いわね」
「こんな凄いワインなら、難易度が高そうですけど、頑張り甲斐がありますね」
「コウタなら可能かもな?」
「あはは、良い目標が出来ましたね、レイさん」
「期待してんよ♪」
しかし、高級クラブなんて初めて来たけど、メチャクチャ楽しくお酒を飲ませてくれる。
何時の間にかレイさんも笑いが絶えないようだ。ママさん連中もダンジョンに詳しく俺も勉強させられる程だった。
一体どれほど知識の引き出しを持っているのか、一流のお店でママさんをしているだけあり、プロなんだなと感心してしまう。
一番凄いのはスズカママなんだが、本当に18才なんだろうかと疑いたくなる。
直ぐに帰る予定だったけど、楽し過ぎて長居してしまった。
そろそろ帰る事になり、少しでもお金を払おうとしたが、結局1円も取ってくれなかった。
「また、来て下さいね」
「期待すんなよな、此処は敷居が高すぎだ」
「コウタ君、私達のお店も来てね?」×アイナ
「スズカママのお店は桁外れだけど、私達のお店なら安いからさ」×ジュリ
「はい、ありがとうございます」
ママさん連中は帰る時まで全員で見送ってくれ、俺とレイさんは気分良く店を後にした。
「凄い所だったな~ 男が通うのも分かるわ」
「あはは、皆さんプロって感じでしたね」
「ああ、それも一流のな、あのスズカって奴は特に怖いぞ?」
「レイさんでも、そう思います?」
「Aランクの私よりずっと強そうだったしな、だが怖いのは知識だな・・・
まるでダンジョンの事を全て知ってるのかと錯覚する程だ。
おまけに<鑑定>スキル所持者だろうな、アイツの前では丸裸同然って訳だ」
「うはー、マジですか?」
「深淵ってのは、やっぱり地下にあったって訳さ」
「冗談に聞こえませんよ?」
「冗談じゃねえからな♪」
俺とレイさんは、翌日から早速スズカママが占ってくれた中級ダンジョンへ行く事にした。
場所はレイさんが知っていたので迷わずに来れたけど、不人気と言っていただけあり人は少なかった。
俺はレイさんと共にダンジョンに入った瞬間、驚きの為に少し固まってしまった。
初級ダンジョンと違い中級ダンジョンの中は、どこまでも広い平原や森のようで遠くには山も見える、つまりダンジョン内なのに空気まで美味しく感じるような所だった。
「ふあ~」
「ふふ、驚いたか? 中級ダンジョンへ来ると皆驚くからな」
「はい、凄いですね~ とても、ダンジョンの中とは思えません」
「ダンジョンは色んなフィールドがあるからな、場所によっては過酷な気候や地形もあるそうだ」
「へええ~ それも楽しそうですね」
「ふふ、なんてったって冒険者だからな」
「レイさんと2人で色々なダンジョンに行くのが、今から楽しみです」
「だから、可愛い事言うなって♪」
レイさんは俺の頬を摘まみながら、少し照れているようだ。
「レイはん、痛いれふ」
「あはは、さあ行くぞ」
「はい」
俺は初めて来る、中級ダンジョンを楽しみながら探索していく。
初級ダンジョンと違い色々な種類の魔物が出現するが、レイさんと連携しながら次々と魔物を倒して行った。
初級ダンジョンにも出て来たゴブリンやオークが出現するが、やはり少し強いようだ。決して油断は出来ない。
そして、初めて見る形のドロップ品が出たので、何だろうと思っているとレイさんが教えてくれた。
「出るとは思っていたが遂に来たか、これが魔法スクロールだよ」
「これが、そうなんですか? やったあああああああ!!!」
「あはは、相変わらずの強運だな? 言っとくが、中級でも滅多に出ないんだぞ?」
「あ~ やっぱりそうなんですね、メチャクチャ高額らしいし?」
「らしいじゃなくて高額なんだよ? 普通なら飛び上がって喜ぶぐらいな。
コウタと居ると、レアドロップに慣れそうで怖くなるな」
「あはは、でも俺の一番幸運だったことは、レイさんに出会えた事ですよ?」
「・・・そーか、そーか、そんなにハグして欲しいのか?」
「むぎゅ! レ、レイさん、く、苦しいです・・・でも幸せかも♪」
「馬鹿野郎♪」
レイさんは照れながら思い切り抱き着いてくれたので、柔らかい胸の感触や良い匂いで頭がクラクラになりそうだった。
ずっと、このままでいたかったけど、残念ながら直ぐにレイさんは離れてしまったので、どんな魔法スクロールが出たのか確認しにいった。
「あっ! レイさん<生活魔法>みたいです」
「おっ! やったな、それメチャクチャ便利なんだぞ?」
「<クリーン>とかですよね? じゃ、レイさん。どぞどぞ」
「そんな簡単に譲るもんじゃねーんだが・・・困った奴だ」
レイさんは遠慮しながらも<生活魔法>スクロールを習得してくれ、俺に<クリーン>の魔法を掛けてくれた。
まるでお風呂上りのようにサッパリする。これなら冒険者が皆欲しがるのも頷けるな。
「ん~ やっぱり便利だよな。ウチのクランでも持ってる奴がいたが、私も欲しかったんだよ」
「レイさんが喜んでくれたら、俺も嬉しいですね」
「・・・いい加減にしないとキスするぞ?」
「本当ですか?」
「馬鹿野郎・・・ダンジョンから出てからな?」
「やったあああああああああ!!!!!」
「魔法スクロールが出た時より、喜んでんじゃねーよ♪」
「あはは、えっと帰ります?」
「大馬鹿野郎! 行くぞ」
「はい」
それからも、次々と魔法スクロールがドロップし、流石に俺も驚くばかりだった。
特に<回復魔法>や<解毒魔法>スクロールは、是非欲しかったのでメチャクチャ嬉しかった。
「なるほどな・・・あの占い、とんでもねえぞ?」
「俺も思ってました、回復系魔法がメインだったみたいですね」
「ああ、確かに優先して欲しいもんだからな、おそらくだが攻撃魔法もドロップするだろう。
此処は確かにドロップ品がしょぼくて人気が無いが、魔法スクロール集めには最適だな」
「人が居ないのが良いですよね~ こんなの人に見せれませんし?」
「それも見越しての占いだろうな、全く恐れ入るよ」
「また、あの店に行けるように稼がないとですね?」
「そー言う事だ、って占い目的だよな?」
「も、もちろんですサー」
「ギルティー!」
「そ、そんな~」
「ふふ、行くぞ」
「はい」
俺達は、今日から此処で魔法スクロールを集めまくる事になった。
初日から1週間が経ち<回復魔法><解毒魔法><快癒魔法>の回復系魔法を入手した。
<火属性魔法><水属性魔法><土属性魔法><風属性魔法>の4属性魔法もコンプリートした。
レイさんは頭を抱えていたが、俺としては嬉しい限りである♪
そして、今日はオークション日であり、俺達が出品したスキルオーブが出される予定だ。
ギルマスが用意してくれたマンションも今日から入居出来るそうなので、早めにダンジョンを引き揚げることになった。
中級ダンジョンから引き揚げギルドに素材を卸しに行く、もちろんオークションも終わっているので結果が楽しみだ。
ギルドへ着くとサワさんがVIPルームへ案内してくれ、俺とレイさんはドキドキしながら結果を聞くことになった。
「此度はオークションへの出品、ありがとうございました。
そして、おめでとうございます。
無事出品なされたスキルオーブは全て落札されました」×サワ
「「お~!」」
「高く売れましたか?」
「はい、上々の金額だと思われます」
「おいおい、勿体付けるなよな」
「うふふ、では詳細を御説明致しますね」
「「ゴクッ!」」
「先ず<敏捷強化>スキルの1品目が45億円で、2品目が53億円で落札されました。
<腕力強化>スキルの1品目が62億円で、2品目が競り合い78億円で落札されました。
<身体強化>スキルの1品目が35億円となり、2品目が41億円で落札されました。
合計314億円となり、ギルドへの手数料を引いて283億円が宮上様達の取分となります」
「「うはー!!!」」
「レ、レイさん冗談じゃないですよね? なんか桁がおかしいんですけど?」
「だから、スキルは桁外れだって言ってるだろ? まあ、私も冗談にしか聞こえねえんだが・・・」
「うふふ、ちゃんと現実ですよ♪ ではギルドカードへ入金させていただきますが、振り分けはどうなさいますか?」
「キッチリ、半分でお願いします」
「お、おい、コウタ?」
「駄目ですよ? 冒険者のルールなんですから?」
「うふふ、では、入金させていただきますね」
サワさんは俺とレイさんのスマホを預けると、キッチリ141億5000万円をギルドカードへ入金してくれた。
残高が有り得ない桁になっている。
「うはー、もう一生働かなくても生きていけますね~」
「ふふ、欲しいスキル買ったら直ぐに無くなるぞ?」
「そりゃ、そうですよね。俺達は頑張って自給自足で行きましょうか?」
「あはは、それしかねえし、それが冒険者の醍醐味ってやつだよな♪」
「うふふ、順風満帆で羨ましいですね」
「それと社長が仰っていた、マンションの手続きも終わっておりますが、この後御説明致しましょうか?」
「うはー、マジか? 楽しみだなコウタ」
「あはは、はい、是非お願いします」
「あっ! レイさんの荷物を先に取ってきましょうか?」
「コウタの荷物は、どうすんだよ?」
「俺のは既に全部持って来ましたから」
「どこまで便利なんだよ?」
「あはは、って言っても、俺の荷物はそんなに無いんですよね」
「まあ、男ならそんなもんか・・・じゃ悪いけど良いか?」
「はい」
俺は先にレイさんのマンションへ向かい、家具からベッドまで全部<虚空庫>へ収納してから、またギルドへ戻った。
既にサワさんとイツミさんが待機してくれており、ギルド所有のマンションまで徒歩で案内してくれるそうだ。
サワさん達に付いて行くと、そこには50階建てのマンションが聳え建っており、上を見ると口がポカンと開いてしまう。
「ひぇぇ~ 凄いな~」
「私のマンションとは、えらい違いだ・・・」
「うふふ、では最初に虹彩認識システムと顔認証システムを登録を致しますね。
この登録が終わりましたら、今後、自動的に認証致しますので、鍵の必要は御座いません」
「マジかよ? とんでもねえな・・・」
「うはー、まるで、未来のマンションみたいですね」
「ふふ、東京生まれの癖に田舎者みたいだな?」
「東京生まれでも、貧乏人ですからね?」
「あはは、私もだ」
それからサワさんとイツミさんは丁寧に登録してくれ、エレベーターへ乗り込むと、その高速エレベーターのスピードに驚き、更に驚くことになる。




