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第214話 家に女性を連れて行くのは照れますね


 俺とレイさんは順調に歩を進め地下4階のスケルトンを抜け、地下5階の転送クリスタルに触れてから帰る事にした。


 この日は、何とSPオーブを20個も手に入れ、レイさんと山分けにした。



「お疲れ様でした、レイさん」


「おう、今日も一緒にメシ行くか?」


「良いですね~♪ あっ!」


「ん? どうした、コウタ?」


「そういや、俺昨日から家に帰って無かったんだった・・・」



 プルル~!



「うはっ! 早速、母さんから電話だ・・・」


「なんだよ、連絡入れて無かったのか?」


「レイさんと、ダンジョンに行ける嬉しさで忘れてました・・・」


「クククッ! 早く出てやれよ?」


「はい・・・」



 俺は何の連絡も入れず外泊し、夕方までダンジョンに潜っていたので母さんには、かなり心配を掛けてしまったようだ。


 電話で散々怒られてから、今日は帰る事を告げ電話を切った。



「・・・すみません。今日は帰りますね、レイさん」


「ふふ、親に心配掛けるんじゃねーぞ?」


「はい・・・あの、その・・・実に言い難いんですが?」


「なんだよ? こええな・・・」


「母さんが、レイさんも家に連れてくるようにと・・・」


「・・・てめえ、昨日、何処に泊まったって親に言ったんだ?」


「え、ええと、クランの先輩の家にと・・・」


「まさか、私が女だって言ったんじゃねーだろうな?」


「い、言って無いですよ・・・唯、レイさんって言ったら女性でしょ? って言われました」


「この、大馬鹿野郎ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


「ひぃぃ! す、すみませんです」


「おま、おま、お前~ 此処で私が行かなかったら、何か引け目があると思われるじゃねえか?


あ、頭がいてえ・・・なあ? 私は一体どんな顔をしてお前の親に会えば良いんだ?」


「すみません。俺、今まで彼女も居た事なくて、家に女性を連れて行った事無いんですよ。


そんで、母さん喜んじゃって、是非家に連れて来いって煩くて」


「昨日は無断外泊した手前、断れなかったってとこか?」


「仰る通りで、流石レイさん」


「はぁ~ とりあえず、私の家に行くぞ」


「えっ?」


「こんな適当な服で、お前の親に会えるかよ? もっとマシな服に着替えてからにすんよ」


「すみません。でも、普段着で十分だと思うんですけど?」


「馬鹿、大人の女には色々とあんだよ。さっ、行くぞ」


「はい」



 レイさんの家に着くと、俺はリビングで待っているように言われた。


 レイさんが淹れてくれたコーヒーを飲みながら、しばらく待っていると、準備が終わったのかレイさんが戻ってきた。



「待たせたな、行くぞ?」


「うわ~♪」



 驚いた事にレイさんは、スーツに身を包み細くて長い脚は尚更長く見え、細く引き締まった腰に大きなバストが強調され、どこからどう見ても抜群のスタイルをした大人の女性だった。


 しかも、化粧をしているのか、クッキリとした大きな眼に長い睫毛、ほんのりと赤い口紅がメチャクチャ色っぽかった♪



「なんだよ?」


「レイさん綺麗です♪」


「ば、馬鹿野郎、私を褒めても何にも出ねえぞ?」


「あの、写真撮らして貰っても良いですか?」


「駄目に決まってんだろ? ほら行くぞ」


「ええ~ そんな~ 1枚だけお願いしますよー」



 俺は何度もレイさんに頼み込み、ようやく1枚だけスマホで写メを撮らしてくれた。


 こっそりと、スマホの待ち受けにしておこう♪


 レイさんは汗を掻かない様にタクシーで移動するそうだ、こういう所も大人なんだよな~


 そして、俺の家に着くとレイさんは若干緊張しているようだった。



「すみませんレイさん。わざわざ来て貰って、此処が俺の家です」


「入りずれえ・・・」


「あはは、そうですよね?」


「ええい、覚悟を決めるか、行くぞ」


「はい」



 俺は玄関の扉を開け大きな声で『ただいま』を言うと、直ぐに妹のナミが2階から下りて来た。



「おかえり~ コウ兄、昨日は心配したんだよ~?」


「ああ、わりい、連絡すんの忘れてたんだ」


「えっ? こ、こんにちわ?」


「こんにちわ」


「お、お母さ~~~~~~ん、コウ兄が凄く綺麗な彼女連れて来たよ~~~~~」


「たはっ! す、すみません、レイさん」


「ふふ、良いさ、元気な妹さんだな」



 ナミが母さんを呼びに行くと、続いて母さんも出迎えてくれた。



「まあ、本当に綺麗な女性ね、さあ上がって下さいな」


「お邪魔します」



 俺はレイさんを連れてリビングへ行くと、キッチリ父さんと弟のソウタまで揃っていた。


 テーブルには、お寿司が桶で並べられており、お客さんモードになっているじゃないか・・・


 う~ん、ナギ姉が居ないのがせめてもの救いか・・・



「あの、私は昨日からコウタさんとパーティを組む事になりました。久我麗と申します。


昨日は私が、お酒を勧めてしまい、申し訳ありませんでした」


「レイさんが謝る事ないですよ? 俺が勝手に潰れちゃって迷惑掛けちゃったんですから」


「そうよ、悪いのはコウタなんですから、レイさん気にしないで下さいね」


「此方こそ、コウタが迷惑をお掛けしてすみませんでした」


「にひひ、コウ兄。普段お酒なんて飲まないのに、レイさんみたいな美人と飲むお酒は美味しかったんでしょ?」×ナミ


「そう言う事を聞くなよな・・・」


「まさか、コウ兄の彼女って訳じゃないんだよな?」×ソウタ


「ば、馬鹿、レイさんは同じクランのAランク冒険者で、色々とお世話になってる女性なんだよ」


「うはー、そんな凄い人とパーティを組んで貰ったのかよ?」


「それを言うなよな、俺も驚いてるんだからな?」


「えっ? って事は?」


「はい、私の方からコウタさんへ頼み込んで、パーティを組んで貰いました」


「ええっ? レイさんみたいな美人なら、コウ兄みたいな新人じゃなくても選び放題なんじゃなかったんですか?」


「おいおい、兄ちゃんをボロカス言うなよな?」


「ふふ、話せば少し長くなるのですけど・・・


私はAランクになり、クランでもトップクラスの実力を手に入れ、少し己惚れていたんだと思います。


自分に釣り合うようなパーティメンツを探し求め、ずっとソロで活動しておりました。


ですがある時、とても美しい2人の女性がクランに現れ、超人的な実力を見せつけられました。


その2人に比べれば、私など虫けら同然に思えたほどです・・・


こんなに弱い私が、パーティメンツを選り好みしていたのが恥ずかしくなりました。


そして、初心に戻り、新人の指導をしながら、私と組んで貰える方を探していたんですが。


ふふ、人生とは解らないものですね。そんな時、私を遥かに超える才能に出会ったんです」


「まさか、それがコウ兄なんですか?」×ナミ


「そうです。コウタさんは、きっと日本でもトップクラスの冒険者になると思います」


「そ、そんな、買い被りすぎですよ、レイさん」


「うふふ、コウタ良かったじゃない? 高ランクの方に認められるなんて」×母


「そうだぞコウタ。そこは素直に喜んでも良いんじゃないか?」×父


「・・・こんな俺を認めてくれて、ありがとうレイさん」


「いや、私は思った事を素直に伝えただけだからな?」


「ねーねー、レイさんって彼氏とか居るんですか?」


「い、いや、彼氏なんて居ないけど・・・」


「うふふ、そうなんだ。良かったね、コウ兄♪」


「馬鹿! ナミ、変な事聞くなよな?」


「うふふ、さあ食事にしましょうか、レイさんも遠慮なく食べて下さいね」


「すみません、頂きます」



 レイさんは普段と違い、俺の家族に丁寧な言葉遣いで接してくれ、気を使って貰っているのが心苦しかった。


 これ以上レイさんに気を使わすのも悪いので、食事が終わると直ぐにレイさんを送ることにした。



「さっ、今日はダンジョン帰りで疲れてるから、そろそろレイさんを送って来るよ」


「そうね、レイさん、今度ゆっくりと遊びに来て下さいね」×母


「頼りない所もあると思いますが、これから宜しくお願いします」×父


「いえ、此方こそ、コウタさんにお世話になります」



 ナミとソウタには散々揶揄われたが、何故か嫌な気はしなかった。


 俺はレイさんと家を出て、歩いて送ることにした。



「ふぅ~ 柄にもなく緊張しちまったな」


「すみませんでした、レイさん」


「いやいや、私も楽しかったよ。送るのはここ等で良いぞ?」


「いえ、ちゃんと、家まで送りますから」


「ふふ、じゃ、ちょっとだけ飲もうか、実は飲み足りねえんだ♪」


「あはは、是非♪」


「今日はちょっとだぞ?」


「分かってますよ?」



 俺はレイさんの家で少しだけお酒を飲み、また明日ダンジョンに行く約束をして家に帰った。


 翌朝、少し早い時間に家を出て、初級ダンジョンへ向かう。


 ギルドでレイさんと落ち合い、今日は何処からスタートするか相談した結果、SPオーブ集めと訓練を兼ね、地下1階から始める事になる。


 昨日同様に、油断する事無く歩を進め、地下2階でまた<追加攻撃>スキルオーブを手に入れ、地下3階では<敏捷強化>スキルオーブを手に入れた。



「ぐはっ! お前のドロップ運は、どうなってやがんだよ?」


「うはー、今日は、昨日以上に絶好調ですね」


「しばらく、私の頭痛は治んねえな・・・」


「じゃ、<敏捷強化>スキルはレイさんから習得して貰えますか?」


「私は、さっき<追加攻撃>スキルを習得したばかりだろうが?」


「ん~ 先に経験豊富なレイさんが習得してくれた方が、色々とコツを聞けたりすると思うんですけど?」


「・・・お前、また簡単に<敏捷強化>スキルが手に入ると思ってるだろ?」


「なるほど。言われてみれば、そう思ってますね♪」


「はぁ~ 本当にまたドロップしそうで怖いんだがな」


「あはは、きっと、明日またドロップすると思うんで、どぞどぞ」


「全く、何て奴だ・・・」



 レイさんは渋々ながらも<敏捷強化>スキルを習得してくれ、その効果に驚いていた。



「くはっ! こいつはヤベエな・・・コウタの言う通り、慣れるのに時間が掛かりそうだぞ?」


「メチャクチャ速くなってましたよ? 確かに扱いは難しそうですね~」



 SPオーブも順調にドロップしており、レイさんもステータスを均等に割り振りするようになった。


 レイさん曰く、通常ではありえない早さでSPオーブが手に入るので、均等にステフリしないと体に馴染むのが間に合わなくなるらしい。


 そこにスキルオーブまで手に入るもんだから、嬉しい悲鳴と言う奴だろうか。


 地下4階のスケルトンでは、俺のバスターソードやレイさんの大剣と言った大き目の武器なので、小さい魔物より簡単に倒す事が出来た。



「ふ~ スケルトンは倒すのは簡単なんだが、武器が傷んでしかたねーな」


「あ~ なるほど。やっぱり、普通はそうなんですよね、俺のバスターソードは刃こぼれもしないのはおかしいのか・・・」


「やっと分かったか? だが、誰かに聞かれても黒鉄製って言っとけよ?」


「はい、分かりました」



 そして、地下5階のナイトウルフから、また新たなスキルオーブをゲットした。



「ぐはっ! また出たのかよ・・・」


「あはは、そこは素直に喜びましょうよ?」


「まーな、普通なら飛び上がって喜ぶところなんだけどよ、今日だけで3つ目だぞ?」


「でっ? どんなスキルだったんだ? 確か絶対取るように言われてたやつだろ?」


「そうでした。えっと、<気配感知>スキルですね。結構ポピュラーなスキルですよね?」


「ああ、だが攻撃系や防御系じゃなく、感知系のスキルか・・・


本来そのスキルは、魔物や人の気配を把握するスキルだと思うんだが、他にも重要な要素があると考えた方が良いだろうな。


コウタの知り合いだって言う冒険者が、ワザワザ助言までしたスキルなんだ。習得して徹底的に検証してみろよ」


「はい、分かりました。でも、明日またドロップしたら、レイさんも一緒に検証して下さいね?」


「分かってるよ。全く、その自信はどっから来るんだか」


「あはは♪」


「それとな、この階層のナイトウルフもそうだが、次の階層はブラックベアだ」


「そろそろ、連携攻撃の訓練もしていこう」


「分かりました」


「たった2人だが、連携することによって攻撃力は跳ね上がるんだ。基本的な連携からやるからシッカリ覚えろよ」


「はい」



 レイさんが教えてくれる連携は、どれも理に適った方法だった。


 ナイトウルフは、結構素早い魔物なのに簡単に討伐出来るようになった。


 複数体の魔物と対峙した時の対処法も指導して貰い、俺は感心しっぱなしだった。


 怪我をした時の為に幾つかのポーションも用意しているが、レイさんは徹底的に回避や防御に重点を置き、決して無理な戦闘はしないように教えてくれた。


 やはり、流石は高ランク冒険者だけの事はあり、レイさんの指導により俺はメキメキと強く成って行くのを感じた。


 地下6階に歩を進めブラックベアとの戦闘でも、立ち回りや連携を駆使して危なげなく倒す事が出来た。


 俺1人ならブラックベアみたいな大きな魔物相手には、ビビッて危険な目に遭ってたかもしれない。



「流石レイさん。メチャクチャ勉強になります」


「ふふ、可愛い事言うなって、コウタも素直に私の言う通り動いてくれるから凄くやりやすいぞ」


「レイさんに、そう言って貰えると嬉しいですね。俺、足を引っ張らないか不安で不安で」


「ふふふ、馬鹿野郎! コウタもかなり強く成って来たぞ?」


「本当ですか? 俺、喜んじゃいますよ?」


「あはは、ああ、喜んどけ♪ なんだったら、御褒美にメシ奢ってやっても良いぐらいだ」


「やたー! って、昨日奢って貰ったから、今日は俺が奢りますよ?」


「ふふ、じゃ今日は、安くて旨い飯屋に行くか?」


「大賛成です♪」



 今日もレイさんと食事に行ける事が決まった。


 俺は、はしゃぐ気持ちを抑えながら魔物との戦闘に専念した。


 魔物素材で鞄がパンパンになる頃、またスキルオーブがドロップしたようだ。



「・・・・・・・」


「そんな、ジト目で俺を見ないで下さいよー」


「今日、何個目のスキルオーブなんだよ?」


「えっと・・・4つ目かな?」


「いい加減にしないと、敬語で喋るぞ?」


「そんな~ 俺が凄い訳じゃないですよー」


「そろそろ自覚しろ? お前が凄いんだよ?」


「本当に違うんだけど、敬語は勘弁して下さいよ」


「ふふ、冗談だよ♪ でっ、どんなスキルなんだ?」


「はい、<腕力強化>スキルですね」


「くはっ・・・私がそれを手に入れるまで、どれだけ努力した事か・・・」


「えと・・・すみません?」


「馬鹿冗談だよ♪ そのスキルならコツを教えてやれるから習得しちまえよ」


「はい」



 荷物もパンパンだし、キリも良かったので今日はダンジョンを引き揚げる事にした。


 ギルドへ戻ると俺は何時もの様にサワさんかイツミさんを探すと、今日はサワさんを見つけたので、素材の買取りをお願いすることにする。


 サワさんは何時もの個室に案内してくれたので、レイさんと今日の素材を全部出していく。



「うわ~ 今日も大量ですね♪」


「はい、レイさんのお陰なんですけどね」


「うふふ、流石にAランク冒険者ですね。受付嬢としては嬉しい限りです」


「・・・なあ、昨日も思ったが、コウタは素材の買取りを何時も個室でやって貰ってるのか?」


「えっと、そうですね。スライムボールを大量に持ち込んでいたので、サワさんとイツミさんに無理を言って個室にして貰ってました」


「・・・受付嬢の中でも、トップクラスに綺麗な2人じゃねえか?」


「ご、誤解ですよ? 容姿で選んでないですからね? たまたまですよ?」


「うふふ、宮上様は受付嬢の間では、有名なスライムハンターなんですよ?」


「おわっ! そ、それは言わないで下さいよー」


「うふふ、申し訳ございません♪」


「まあ、1ヶ月もスライムばかり狩ってたら、そう呼ばれるのも仕方ないだろ?」


「そうなんですけど、恥ずかしいじゃないですか・・・」


「恥ずかしがること無いですよ? スライムハンターって呼ばれてた人で、凄く強くなった人も居るんですから」


「そうなんですか? じゃ、俺も後に続かないとですね」


「うふふ、とっても綺麗なお仲間も出来たようですし、もうスライムハンターは卒業ですね♪」


「はい、とりあえずは、レイさんに肩を並べれるぐらい頑張りますよ?」


「だから、可愛い事言うなってな?」


「うふふ、仲が良さそうで羨ましいですね」


「はい、査定が終わりましたよ。合計で30万円ってところですね」


「うはー、レイさんと折半しても普段の3倍儲けちゃった」


「ふふ、どうやら、晩飯にはありつけそうだな?」


「あはは、俺も安心しました」


「あっそうそう、言い忘れてましたけど、宮上様は今日からEランクにランクアップですね」


「おめでとうございます♪」


「うわ~ ありがとうございます」


「こりゃ、今日の晩飯は、お祝いも兼ねてになったな。おめでとさん♪」


「どもども♪ 今日はお酒が美味しくなりそうです」


「昨日みたいに潰れんなよ?」


「ぐはっ! それは言わないで下さいよー」


「あはは♪」



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