第210話 ナギサさんは優しいお姉さんです
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今日も朝からダンジョンに潜り、昼過ぎに帰ってきた。
もう、一度クリアしたことがある上級ダンジョンなら、半日でクリア出来るようになったので、1日に2ヶ所行けたりする。
でも、大抵は昼からのんびりする日が増えて来た。
最近はクランメンバーの皆も、僕の<転移魔法>で行ける所を増えやす為に色々な国へ旅行に行ってくれている。
お陰でドンドン転移出来る場所が増え、嬉しい限りだ♪
今から何をしようかと考えていると、ナギサさんは用事があるらしいので、各個人で好きな事をする日になった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<ナギサ視点>
「ナギサ、どこ行くのよ?」×アヤメ
「えっとね、弟のコウタが冒険者に成りたいって言うから、どっか良いクランを探そうかなと思ってね」×ナギサ
「ふ~ん、良いお姉さんしてるじゃない?」
「まっ! これぐらいわね?」
「ソウタ君は、冒険者に成らないの?」
「ソウタは、車にしか興味ないみたいなのよ」
「なるほどね、私も着いて行って上げよっか?」
「んふふ、優しいじゃない? お礼はキスで良い?」
「もう、馬鹿ね♪」
「って訳で、アヤメとお出かけしてくるね、ヨウ君」
「はい、えっと。これだけ渡しておきますね、ナギサさん」
「えっ! これって<激運>スキルオーブじゃない? ひょっとしてコウタに?」
「はい、出来たら説明は無しでお願いします」
「んふふ、分かったわ♪ ありがとね、ヨウ君」
「いえいえ♪」
流石ヨウ君♪ 私からコウタに幾つかスキルオーブ上げようかなって思ったけど、自分で取る楽しみが無くなっちゃうもんね。
ヨウ君って、本当に冒険者が好きなんだな~ コウタにも冒険者を楽しんで欲しいって気遣いを感じるわ。
でも、アヤメと二人でお出かけなんて久しぶりね、ちょっとした用事だったけど楽しくなりそ♪
「ところで、どこのクランを見に行くか決めてるのかな?」
「うん、最初は『グランドクロス』って、クランに行こっかな」
「あ~ 聞いた事あるわね」
「私が調べた所、中々評判の良い大きなクランみたいなのよ」
「なるほど、なるほど、下見って訳ね?」
「そそ、はい、アヤメも帽子被っといて」
「そっか、冒険者なら私とナギサの顔を覚えてる人がいるかもね」
「そー言う事、私も帽子と眼鏡で変装するからさ、アヤメは帽子とマスクのが良いかな?」
「そね、私は普段から眼鏡してるからマスクにするわ」
「んふふ、ではでは、しゅっぱーつ♪」
「あっこら! 腕組まないでよ、恥ずかしいでしょ?」
「え~ 昔は良くしたじゃない?」
「もう学生じゃないのだよ?」
「じゃ、ちょっとだけなら良いでしょ?」
「もう、ちょっとだけよ?」
「んふふ、は~い♪」
「なによ? 今日は可愛いじゃない」
「何時も、可愛いと思ってるくせにー」
「はいはい♪」
行先の『グランドクロス』は車で行くほど遠くないので、アヤメと二人でルンルン気分で歩いて向かう。
人混みを歩くとき注目されるのにも慣れてきたけど、アヤメと一緒だとガン見されちゃうな・・・
アヤメと馬鹿な話をしながら歩いていると、直ぐに着いてしまった。
「あった、あのビルが『グランドクロス』の筈よ?」
「もう、結局、腕組んだまま着いちゃったじゃない?」
「んふふ、どうせ注目されんだから一緒でしょ?」
「もう良いわ、でも此処までよ?」
「はいはい♪」
アヤメと二人で『グランドクロス』のビルに入ると受付があったので、とりあえず見学が出来るか聞いて見ることにした。
受付には若い男性が座っており、新人さんなのが伺いしれる。
「あの~ ・・・あの、あの~」
「・・・は、はい! す、すみません!」
「んふふ、見学希望なんですけど、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫でひゅ・・・あわわ、嚙んじゃった」
「あはは、慌てなくても良いですよ?」
「すみません、こんな綺麗な女性見た事なくて・・・」
「んふふ、リップサービス満点じゃない?」
「もう、リップサービスで決めちゃ駄目よ?」
「分かってるって、中を見せて貰っても良いですか?」
「はい、あ、案内します」
「えっ? 受付ほっといて良いのかな?」
「大丈夫です! 後でちゃんと怒られますから」
「「あはは♪」」
「面白い子ね?」
「んふふ、じゃ、お願いしちゃおうかな」
「はい♪」
私とアヤメは活発そうな若い男性に、クランの1階から案内して貰いながら、クランのシステムを教えて貰った。
流石に大手のクランだけはあり、武器や防具のレンタルや訓練設備が充実している。
男女混合のクランであり、すれ違う人々が私達に注目している。見学者は珍しいのかな?
2階に上がると訓練場になっており、多くの冒険者が模擬戦や武器の訓練をしていた。
「うわ~ 活気があるわね~」
「へえ~ 中々良い感じね」
「此処は主にFランクの訓練場になってます。たまに高ランクの冒険者が指導してくれるんですよ」
「なるほど。やっぱり、ソロでやるよりクランに入った方が安心ね」
「そりゃそうですよ、様々な特典もあるしパーティ編成までしてくれるんですから」
「ほほ~ ねーねー? 貴方から見て、このクランは居心地良いかしら?」
「はい、もちろんです! このクランに入って良かったと思ってますよ」
「ふむふむ、中々好感触じゃない?」
「そうね、1発目から良い所引いたかな」
「ですけど、申し訳ないのですが見学出来るのは、この階までなんですよ」
「あらら、そうなんだ?」
「はい、上階に行くほどF・E・D・C・B・Aとランクが上がっていくんですけど、上に行くほど待遇も良くなっていくんです」
「そのため、各階層のランクで模擬戦に勝たないと見学も出来なくなってるんですよ」
「あ~ なるほどね~ 確かにモチベーションアップに良さそうな制度よね」
「どするナギサ? もう少し上階も見とく?」
「そうね、せっかくだから見とこうかな」
「ええっ? すみません。今説明したとおり、此処から上階には行けないんですよ?」
「ちゃんと聞いてたわよ? 模擬戦に勝てば良いんでしょ」
「ほ、本気で言ってるんですか?」
「んふふ、もちろん本気よ♪ 誰を倒せば良いのかな?」
「うはー、貴方達みたいな綺麗な人が挑戦者だなんて・・・」
「おい、挑戦者だってよ?」
「へええ~ 久しぶりじゃない?」
「まさか、あの別嬪さんか?」
「うわ~ 綺麗な人ね、本当に挑戦者なの?」
「んふふ、挑戦者って言うんだ? ボクシングみたいで面白いわね」
「私がって言いたいとこだけど、今日はナギサの付き添いに徹しますか」
「んふふ、お任せあれ~♪」
◇ ◇ ◇
<グランドクロスAランク訓練場>
ドガッ! 「ぐっ、ま、参った」
「なんだよ、もう終わりか? じゃ、次の奴来い」
「勘弁してよ、レイと模擬戦したら潰れちゃうわ」
「ちゃんと手加減してやってるだろ?」
「そこら辺にしといてやれよ、レイと互角に模擬戦出来る奴なんて数人しかいないんだからよ」
「なあレイ。そろそろパーティを組んだらどうだ?」
「いね~んだよ。パーティを組みたいって思う奴が」
「若いのに指導してくれてるだろ? そっちで良いの居ないのか? 俺から見たら、そこそこの奴は居そうだけどな?」
「わたしゃ、先生に成りたい訳じゃ無いんだぞ? 最低でも、何れ私を超える可能性がある奴じゃないとな・・・」
「レイを超える才能かよ? お前、下手したら俺より強いじゃねーか?」
「そうだな、リーダーぐらいの奴どっかに居ねえかな・・・」
「無茶言うなよ? 俺はこれでもクランリーダーだぞ?」
「あはは、まあ、そこまで贅沢は言わねえけどな」
「俺達のパーティにローテーションで入るか?」
「いや、いいよ。リーダー達は固定パーティだし、面白みにも欠けるからな~」
「せめて、もう1人ぐらい強い奴が居たらな、幾ら何でもソロは危険だぞ?」
「分かってるよ。まあ、気長に探すさ。ありがとな」
「リーダー、リーダー居ますか?」
「なんだ? 騒々しいな」
「ああ、良かった。リーダー挑戦者です!」
「んっ? 挑戦者なんて珍しくも無いだろ? 入会希望者か?」
「いえ、見学者です」
「ほほ~ 見学で挑戦者なんて珍しいな?」
「リーダー、落ち着いてないで来て下さい。それがもうBランクまで勝ち上がって来てるんです」
「「なにっ?」」
「ウチのCランクまで倒したってのか?」
「まさか、他所のクランから殴り込みに来たんじゃねーだろうな?」
「いえ、そんな感じじゃないです。メチャクチャ綺麗な女性二人ですから」
「冗談だろ? たった二人で、Bランクまで来たのか?」
「模擬戦をしてるのは1人です」
「おいおいおい、見に行くしかねーな♪」
「あはは、良いな~ よし! 私も見に行くか♪」
「おい、レイ無茶するなよ?」
「クククッ! 分かってる。早く行こうぜリーダー」
◇ ◇ ◇
「えっと、次がBランクだっけ?」
「・・・い、一体何者なんですか?
此処のCランクって言ったら、上級ダンジョンを狩場にしてる猛者なんですよ?
なんで、簡単に勝っちゃうんですか?」
「んふふ、私が弱そうに見えたのかな? 駄目よ、人を見掛けで判断しちゃ」
「そんな事言ったって、貴女達みたいな綺麗な女性が強いなんて、思わないじゃないですか?」
「んふふ、そんなに綺麗って言われると、悪い気はしないわね・・・」
「ちょっと喜びすぎよ?」
「にひひ、まあ、良いじゃない♪ さっ、次は誰かな?」
「す、少し、待ってて下さい」
受付から案内してくれた若い男性は、模擬戦の段取りをしに行ってくれたようだけど、段々と視線が痛くなって来たわね。
此処まで勝ち上がって来る人って珍しいのかな~
「・・・本当にこの女性達がCランクを倒して来たのか?」
「はい、間違いないです。僕ちゃんと見てましたから」
「うわ~ 本当に綺麗な女性達ね、女の私から見ても素敵なんだけど?」
「全く信じられねえな、疲れてる様子もないじゃないか?」
「僕も信じられないけど、今までの模擬戦は全て圧勝でしたから」
「武器は何を使ってるんだ?」
「素手です」
「はっ?」
「なんでも、弓使いだから素手で相手するって言ってました。実際に素手で圧勝してましたから」
「なんだ、そりゃ・・・それが本当なら化物だぞ?」
「こ~んなに可愛い女性を捕まえて、化物はないでしょ?」
「・・・悪い、聞こえたか? 一応誉め言葉だったんだがな?」
「んふふ、まあ良いわ。Bランクは貴方が相手?」
「良いだろう。俺が相手しようじゃないか」
「俺は大剣使いなんだが、構わないよな?」
「もちろんよ。言っとくけど本気で来てね? 人を見掛けで判断してるとクランの程度が下がるわよ?」
「・・・凄い自信だな、本気で行かせて貰おう」
「んふふ♪」
んっ? 今部屋に入って来た二人、とっても強そうね、アヤメも気付いたかな?
あの二人の、どっちかがリーダーっぽいわね、さてさてお手並み拝見と行きますか。
「ば、馬鹿な・・・あれは・・・おい、本気で行けよ!」
「リーダー? はい、分かりました。おい、本当に本気で行くぞ?」
「んふふ、そう言ってるでしょ」
「・・・そんなに強そうなのか?」
「レイ・・・あの構えは見た事がある。確かダンジョン攻略部隊の女性が使っていた」
「なるほどな、そっち系のやつか」
「良く見とけよ、レイ」
「ああ、楽しみだな♪」
ん~ 本気で来てくれるのは良いんだけど、大剣を上段に構えちゃって隙だらけなんだよね~
ちょっと、遊んであげようかな~ 予想通り、上段に振りかぶった大剣を振り下ろしてきた。
それも、当たらない様に手加減してくれたようだ。
本気でって言ったのに、まあ素手の女性相手にだから仕方ないんだけどね。
見切って動かなくても良かったんだけど、ちゃんと回避行動をとって上げた。
「なにっ? 躱しただと・・・」
ゾクッ!
「えっ! リーダー? レイさん? どうしたんですか?」
「な、なんだ、彼奴は? 全身の毛穴が開いたぞ・・・おい、レイ見えたか?」
「嘘だろ? 全く見えなかった・・・それに、なんだよ、この寒気は?
ふふ、あはは、こんな凄い奴が居たのかよ♪
間違いない・・・あの女性は化物だぞ?」
「ああ、そのようだな」
「んふふ、貴方達やるじゃない? たった、あれだけの動きで理解しちゃったんだ?」
「なっ! 何時の間に?」
「ふふふ、貴女も尋常じゃなさそうだな?」
「んふふ、どうかしら? 貴女は嬉しそうね? 戦闘狂なのかな?」
「戦闘狂って訳じゃ無いが、強者には興味があるな」
「なるほどね、じゃ、見といた方が良いわ。遊んでるみたいだけど、もう終わりそうだからさ」
パンッ! 「うおっ! ば、馬鹿な・・・」
私が相手の大剣に手を添えると小さな炸裂音の後、木製の大剣が爆ぜ木屑へと変貌を遂げた。
模擬戦をしていた相手は、理解不能な攻撃に恐怖したのか、大量の汗を流し竦んでいる。
「どうする? まだやるかな?」
「い、いや、降参する・・・」
「寸勁・・・やはり掌空拳かよ、津覇立夏の同門か?」
「へえ~ 貴方、リッカを知ってるんだ?」
「あれって、掌空拳って言うんだ?」
「なんだと? 同門じゃないのか?」
「んふふ、残念ながら違うわ、この技は真似しただけだからね」
「・・・真似で寸勁を習得したって言うのかよ?」
「どうでしょうね?」
「さてと、次の相手はどっちなのかな?」
「いや、その必要な無いだろう。上階に案内しよう」
「あれれ? そっちの女性は、模擬戦しなくて良いの?」
「残念ながら、私では相手になんねえよ?」
「んふふ、良いわね貴女、気に入ったわ」
結構、強そうな二人だったのに模擬戦はなしか~
んふふ、やっぱり本当に強い人は人を見掛けで判断しないのね♪
私達は更に上階に案内され、Aランクのフロアでコーヒーを振る舞ってくれた。
何故か丁重に扱ってくれるのが不思議だけど、せっかくだから、よばれることにした。
「ところで、今日此処に来た目的は何なんだ?」
「このクランの見学に来ただけよ?」
「・・・本当にそれだけなのか? 入会したい訳じゃないんだろ?」
「んふふ、そうね。入会したい訳じゃないんだけど、ちょっと訳があって良さそうなクランを探してるんだよね」
「なるほどな・・・でっ? 此処はお眼鏡に適ったか?」
「んふふ、そうね。良いクランだと思うわ♪ 評判も良かったしね」
「褒めてくれるのは嬉しいが、あんた達みたいな強者が見学だけしに来たと言われても釈然としないんだが?」
「んふふ、でも、本当に見学だけだったりして」
「私からも質問して良いか?」
「ええ、良いわよ?」
「貴女達って、一見芸能人かモデルにしか見えないが冒険者なんだろ?」
「そんなに褒めても何にも出ないけど、確かに私達は冒険者ね」
「自分で聞いてて信じられないけど、冒険者ランクとか聞いても良いか?」
「ん~ そうね、貴方達の名前を教えてくれたらね?」
「私は、Aランクの久我麗よ」
「ふむふむ、貴方は?」
「俺は、このクランリーダーをしているAランクの鷹匠沖人だ」
「さあ、答えたわよ?」
「良いわ、私達はSランクよ」
私がランクを明かすと周りの人達がザワザワしだしたが、こういうのも気分が良いわね♪
しかし、改めて思うけど、冒険者にとってSランクって凄いんだよね。
私達はヨウ君に鍛えられて自然に成っちゃったけど、ヨウ君の凄さに感心しちゃうわ。
「Sランクだと?」
「マジかよ・・・」
「うわ~ 私Sランクの人初めて見たかも」
「うはっ! やっぱり、あの二人、Bランクの模擬戦クリアしたのかよ?」
「全然、疲れてなさそうだぞ?」
「おい、静かにしろ」×リーダー
「は、はい」×全員
「「・・・・・・・」」
「予想通りとは言え、本当に日本に7人しか居ないSランク冒険者に会えるなんて光栄ね」×レイ
「まさか、Sランク冒険者がこんな美人の女性だったとは驚きだな」×リーダー
「へえ~ 簡単に信じちゃうんだ? 嘘かもしれないわよ?」
「あいにく、人を見掛けで判断するような愚か者じゃないんでな」
「模擬戦であんな動きを見せておいて、信じない訳がないだろ?」×レイ
「んふふ、ますます良いわね♪ ところでさ、あそこに飾ってあるのってアダマン鉱石だよね?」×ナギサ
「あっホントだ! 凄いじゃない? アダマン鉱石を手に入れたんだ?」×アヤメ
「あれは、貰い物だ! 俺が手に入れた訳じゃない」
「どこに、アダマン鉱石をプレゼントする殊勝な人がいるって言うのよ?」
「それが、居たんだよ。バケモンみたいに強い少年にレアボスを譲ったら、くれたんだよ。
まあ、せっかく貰ったのに、武器に加工出来る鍛冶師が居なくて困ってるんだがな」
「・・・まさか、その少年って眼がクリンクリンの可愛らしい少年だった?」
「短剣、しかも双剣で、レアボスを瞬殺してたりして?」
「なんだよ? まさか、知り合いなのか?」
「うわ~ 貴方、凄いじゃない? 彼に認められたんだ?」×アヤメ
「凄い、凄い、このクランの評価が爆上がりしたわ♪」×ナギサ
「もう、此処に決めても良いんじゃない?」
「んふふ、そうね、そうするわ♪」
「・・・一体、何の話をしてるんだ?」
「んふふ、こっちの話よ」
「じゃ、私達はそろそろ帰るわね、コーヒー御馳走様♪」
「待ってくれ、なあ、アンタ本当は弓使いなんだろ?」
「そうね、私は弓使いよ?」
「少しで良い。頼む! 少しで良いから弓での実力を見せてくれないか?」
「んふふ、見せて上げたら?」
「もう、しょうがないわね。少しだけよ?」
「ありがとう、助かる」
私は<虚空庫>から愛用の弓を取り出し、リーダーさんに向かって構えた。
「お、おい?」
「にひひ、死にたくなかったら、動いちゃ駄目よ?」
「も~り~も~り~アロー♪」
「うおおおおおお!!!!!!!!」
私は時間にして2秒、いや1秒ぐらいかな? 一瞬で数千発の矢をリーダーさんの後ろにある壁に放った。
放たれた矢は、まるで濁流の様にリーダーを擦り抜け、後ろの壁に精巧な模様を描いていく。
「はい、お終い♪ 壁の修理代は置いといてあげるね」
「い、いや、良い・・・この壁は一生このままにしておく」
「んふふ、変な人ね? じゃ、また何処かで会いましょう」
私とアヤメは、手をヒラヒラさせてクランを後にした。
「俺は夢でも見ているのか・・・リ、リーダーこの壁に刻まれたマークって?」
「ああ、我がグランドクロスの十字架だろうな。
あの一瞬で、いったい何本の矢を放ったのか・・・
まだまだ、余裕がありそうだったし、どんな化物なんだよ?」
「・・・全く、恐ろしいな」×レイ
「あんな一瞬で放った矢で、此処まで精巧な十字架を壁に刻むなんてな・・・
どんな精密な射撃をしたら、こんな真似が出来るって言うんだよ?
なあレイ? あの女性達なパーティを組みたいと思うか?」
「私は先生に成りたくないが、生徒にも成りたい訳じゃないんだよ?
見ただろ? <虚空庫>まで持ってるんだ。荷物持ちにも成れやしねえ」
「ふふ、まあそうだな。頑張って何時かはSランクにと思っていたが、あんな超人達が住むところだったんだな」
「その、超人達を超える少年にも会ったんだろ、リーダー?」
「ああ、彼女達の反応を見たら、あの少年は格上なんだろうな。
フゥ~ 全く・・・世の中は広く果てしなく深いな、何にもしてないのに汗だくだ」
「あはは、私もだ♪」
「しかし、私は今まで何をしてたんだろうな。
自分はこんなに弱っちいのに、相手に条件なんて付けるなんてよ。
ちっと、真面目にパーティメンツを探すか」
「おっ! 良い傾向だな?」
「揶揄うなよ? 私は、しばらく新人の面倒を見ることにするよ」
「ああ、宜しく頼む!」




