初恋の姫君は、竜の神殿にいる 32
(綺麗な……おかしな少女だった)
(愛され王弟殿下って、いったい何のことだ……)
(あの子は大丈夫なのか? あれはあの子の縁者が召喚してたのか……? 物凄い……魔力だったが……)
大人のフェリスのなかに、戸惑う少年の記憶が降ってくる。
(あんな不躾な魔力の持ち主に呼び戻されて、あの子は大丈夫なんだろうか? とても……お人好しそうだったが……)
不満げな少年の記憶が、生まれ来る。
過去のフェリスが、レティシアと出会った記憶が、織り込まれて来ている……。
(可哀想な竜の仔。まだ早いわ。あの子はこの界にいない。……もう少しかかるわ。あの子がこちらに来て、生まれるまで)
(あの子はいずれやって来る。あなたのもとへ。……もう少し、もう少し待ってて)
(皆して何を言ってるんだか……。誰も、僕のもとへなど来ないよ)
自嘲気味に笑うその美しい孤独なフェリス少年の声を聴いたなら、きっと愛しのお人好しの婚約者殿は、またぞろ、危険も何も顧みずに、過去へ飛んでいってしまうだろう。
フェリスはそういう女の子に、愛されてるから。
(……ちゃんとごはんをたべてください! わたしっ、きっと、フェリス様といっしょに美味しいごはんを食べるために、いつか、ここに来ますから……! 待ってて……!)
(……待たない。こんなとこ、こないほうがいいい……)
捻くれ者のその少年は、そのあと苦手な父も失い、唯一の後ろ盾を失い、さらに微妙な立場となり、……そして小さな手でシュヴァリエとディアナを守りながら、育つ。
「……レーヴェ、……記憶が……」
「ああ、いま混ざったのか? 可愛かったろう、レティシア。可哀想だな、ちびっこフェリス。待たないとか言いながら、胸の奥に初恋を抱えて、ずいぶんとレティシアを待たなきゃならん。罪作りだわ、うちの娘」
「……それでも幸せです、きっと」
子供の自分に尋ねてみないとわからないけど、遠い未来に、レティシアの気配を感じる世界で生きる方が、フェリスならば幸せな気がする。
いくつもの偶然が重なって、フェリスはレティシアと出会う。
幸せなことばかりとは限らず、レティシアとの縁談話が義母マグダレーナの心をひかなければ、フェリスとレティシアが婚約者として出会うことはなかっただろうと……。
「レーヴェ、今日は、レティシアが、いま、僕の傍らにいてくれることを感謝しながら、祈りの書を読みます」
「そりゃあずいぶん、圧が強そうなお祈りだ」
毎日、あの子といるのか……、ずるいな、大人の僕は、と、レーヴェ神殿で一人、古い魔法の書に埋もれる少年から、苦情が来そうだ、とフェリスは思った。
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毎年、彼の誕生日ごろに、近所の桜が満開となります♪
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コミック三巻表紙❤
五歳で、竜コミック連載