初恋の姫君は、竜の神殿にいる 12
「こちらとしてはガレリアの商人に遺恨があるわけではないので、ディアナ以外の国とも、貿易が不利になっているというのは気の毒ですね。……ディアナに関しても、皆がどのように反発して、ガレリア側に規制をかけているのか、婚前休暇中でちょっと把握できてませんが……。兄上……我らが陛下の名に泥を塗ろうとしたのですから、ディアナで忌み嫌われるのは当然だとは思いますが」
「レティシアを攫ったのも、効いてたぞ。小さい娘を攫うなんて、ガレリアの恥だ! て、大司教の馬車に野菜ぶつけられてた」
三界の何処にでも自由に存在するレーヴェが、からからと笑う。
「それは地上の何処でも、万死に値する罪だと思います」
個人的な腹立ち全開でフェリスは即答した。
「……カルロ大司教が、これで大司教職を罷免に追い込まれれば、少々こちらとしては気が楽なのですが。あの方が反ディアナ、反レーヴェの急先鋒で、リリア神殿全体がそういうつもりでもないようですから。……ディアナからガレリアに僕がリリア僧達を魔力で戻したときも、ほっとしてる者もかなりいました」
故郷に帰れて嬉しい。リリア様の言葉が通じるところに戻れた、もうこれでディアナで嫌われる工作をしなくていいのだ、よその神を貶さなくてもいいのだ、と安心していた者もたくさんいた。
必ずしも、先鋭的な指導者の意志が、その集団全員の意志とは限らない。
「それはむつかしそうかな。ヴォイドとカルロは、いまのとこ、ディアナへの野心て、利害の一致で結ばれてるからなあ」
「……僕たちにとっては愛してやまないディアナですが、客観的にみると、ディアナなんて手に入れても扱いづらいばかりだと思うんですが」
「わかってるから、ヴォイドはリリア僧に、リリアへの改宗、頑張らせたかったんじゃないのか? オレがディアナっ子にいまでもモテててすまんなって話だけど」
「……普段のうちのおじいさまは僕の書き物机でごろごろして、レティシアにもらったいちご食べてるような人ですが、レーヴェ竜王陛下は偉大ですので」
「どういう意味だよ!?」
「言葉のとおりです。ディアナ王家の威信は、千年、レーヴェの人気のもとにありますから。……そんなことはさせませんが、まかり間違ってヴォイド殿がディアナを奪ったとしても、そうなるとディアナの諸侯も黙ってないと思います。もっともレーヴェ竜王陛下の血を濃く引くディアナ王家に傅いてるだけで、よそから来た田舎者に下げる頭はない、という方が多いと思いますよ、諸侯も民も」
「そうなのか? それは、ディアナのみんな、いつまでもオレのこと好きすぎじゃないか?」
「……いまも昔も竜王陛下は偉大なのです。子孫の前でもちゃんとしてください」
「そんなむつかしい顔するな、フェリス。レティシアにもらったいちご一個やるから」
「ちょ、レーヴェ……!」
レーヴェにほらといちごを唇に放り込まれ、レティシアの捧げたいちごなら落とせない! と咀嚼しつつ、そうか、暴動が起きたくらいでは、カルロ大司教は罷免にならないのか、とフェリスはちょっと残念に思っていた。
「どうせなら、レティシアにいちご食べさせたい!」(from 竜王陛下)
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