表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫が好き!  作者: 山岡希代美
第2部 それでも、猫が好き! 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/38

5.蘇る悪夢



 少女がハッと何かに気付いたように、進弥の腕を掴んで揺すった。

「ねぇ! さっきのメール、続きがあったんじゃないの?」

 言われてみればそんな気がしてきた。少女に覗かれて慌てて閉じたので、ろくに確認していない。

 進弥は先ほどのメールを、もう一度開いた。よく見ると横にスクロールバーが出ている。やはり続きがあったのだ。

 親指でスクロールさせると、大量の空白行の後、文字が現れた。



―― ごめん。帰ってきて。 ――



「やっぱり! 彼女が謝ってるのに、あんた無視しちゃったのよ」

 再び進弥の隣に座った少女が、当たり前のように手元を覗き込みながら、進弥の腕をバシバシ叩く。

「おまえが覗くから、よく見れなかったんじゃないか」

 ムッとして反論するも、少女はお構いなしに促す。

「いいから早く連絡しなさいよ」

 なんでおまえが仕切るんだと思いつつも、進弥は真純の番号を呼び出して発信した。

 固唾を飲んで見つめる少女を横目に応答を待つ。繋がった途端メッセージが流れた。

「え、なんで?」

 進弥は一度電話を切り、もう一度かけ直す。ところが、繋がった途端、またメッセージが流れた。

「繋がらない……」

 電話を握りしめて呆然とつぶやく進弥に、少女が呆れたように言う。

「もう。無視するから怒ったんじゃないの?」

 それなら、まだいい。

 進弥の胸に不安が広がっていく。

「オレ、帰らなきゃ」

 進弥が立ち上がると、少女も立ち上がった。

「うん。あたしも帰る」

 一緒に土手を降りて、コンビニの前で少女と別れた。反対方向に歩いていく少女を、少しの間見送った後、それに背を向け進弥は駆け出した。

 自分の態度に怒って電源を切っているだけなら、まだいい。

 だが、以前のように誰かに連れ去られて、連絡の出来ない状態にあるのだとしたら――。

 そうでない事を祈りつつも、胸の不安はどんどん膨らんでいった。




 家にたどり着き玄関の扉を開けると、一階の灯りは消えていた。家を出る時からそうだったので、それは問題ない。

 真純は二階に上がろうとしていた。自分の部屋にいるのかもしれない。

 進弥は二階に上がり、真純の部屋の扉をノックした。返事はない。怒っているなら当然な気もする。

 ゆっくりとノブを回してみる。すると、あっさり回った。中に真純がいるなら、鍵が掛かっていると思っていた。

 不安と共に、胸の鼓動が激しくなってくる。

「真純さん……」

 声をかけながら、恐る恐る扉を開く。中を覗くと灯りは消えていた。一通り見回して、ドクリと鼓動が跳ねた。

 ベッドは平らなままで、眠っているようには見えない。つまりここにはいない?

 壁のスイッチを探り、思い切って灯りを点けてみる。

 部屋のどこにも真純の姿はなかった。

 進弥はすぐに、階段を駆け下りた。二階には他に、進弥の部屋しかない。家の中にいるとしたら、一階のどこかだ。

 トイレも風呂も灯りは点いていない。入浴中とかではないようだ。一階の灯りを次々に点けながら確認していく。

 リビング、キッチン、ダイニング、真純の仕事部屋、テラス、どこにも真純の姿はない。テラスを出て庭を見渡したが、そこにも真純はいなかった。

 もう一度電話してみるが、やはり不通のままだった。

 進弥は力なくテラスにしゃがみ込む。真純はいったいどこへ――。

 すっかり無縁になったと思っていた、半年前の悪夢が進弥の脳裏に蘇った。




Copyright (c) 2011 - CurrentYear Kiyomi Yamaoka All rights reserved.



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ