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063話



「……おぉぉ……い。……お前らぁ……この山に……何の用ですかぁ……ハァ」


ーーもう何度目になるのか。


 山の入り口で出会ったソイツ(・・・)は頂上付近になっても、同じポーズと同じ台詞を繰り返す。


……まさか、ここまで着いてくるとは。


 その根性に尊敬半分、呆れ半分。


 しかし、当の本人は肩を上下に揺らしながら言う台詞も途切れ途切れになっており、かなり疲弊いている様子。


「こやつ、やっぱり馬鹿じゃのぅ」


「筋金入り。なのです」


「さすがにここまで付いてくるなんて、予想の斜め上にいっていますわ」


「・・・・・・」


 僕と同じような感想を言う女性陣とは違い、1人厳しい顔のゲイツさん。


 彼だけは、此処まで来るまで幾度となく僕に「彼の言い分を」とか「彼の真意を」とか対話を進言してきたのだけれど。


……正直、関わりたくないんだよねぇ。


「……い…い加減……答えて…く…れ……よぅぅ……グスン」


あ、心が折れた。

そして、泣きが入った。


「あ~あ。泣かしてしまったのじゃ……カナタが」


「ーーえ!?僕の……せいだよね。うん」


 素直に反省。


「……じゃぁ、ゲイツさんお願いします」


「ーーうむ!任されよ!」


 僕のパスを意気揚々に受けたゲイツさんは、右腕で目擦っている彼へと近付いて行く。


 また、スルーされるのかと絶望的な表情を浮かべている彼の前にゲイツさんが立つ。


 その瞬間、彼の表情が一変。

何かを期待するような顔をゲイツさんに向ける。


「中々に現金なヤツじゃの」


「子供。なのです」


「この場合は、無邪気なのでは?」


……いや、サクラ違うから。


 それにしても、此処まで執拗に追いかけている彼の目的は何なのだろう。


 幾度となくスルーしまくった僕達に対して怒りを表すことなく、ましてや攻撃という暴挙にも出ずに、ただひたすらに追い越しては仁王立ちスタイルを崩さなかった。


……挙げ句には、泣いちゃうし。


 本当に、目的が分からない。


 ひょっとして、僕達が知らないだけで、彼の行動はこの山に入る時の通過儀礼的なものだったかもしれないという思考に至る。


……あぁ、そういう可能性は失念していたなぁ。


そうだったら、何か申し訳ないと思う。


 2・3分で済む事を、1時間まで延ばしてしまったのだから。


 どうにも、なるべく他者と関わりたくないという僕の後ろ向きな考えが、今の状況を生み出してしまった結果だし。


 ……だって、この世界に降りてきてからというもの、他者と関わると決まってトラブルばかりだったし。


 生まれ変わる前よりも、随分人間不振に拍車がかかっている気がする。


「ーー直さないとな」


 僕の反省な呟きに「「ん?」」と約2名が反応を示すが、それには苦笑で返すしかない。


「お主、先程から付いてくるが何用かのぅ」


「……だから……この山に」


「儂らは、アルバ共和国に行く為にこの山を越える必要があるだけじゃのぅ」


「……アルバ共和国に」


 やっと、僕達の目的が分かったね。

 納得してくれた表情を見せてくれた彼に僕もやっと解放されると安心する。


「ーーそれじゃあ、俺と勝負だな!」


…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………はい?


どうしてこうなった?

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