第25話:月面到着! だがクレーターだらけで拭きにくいので、月を『真珠』に変えてやる
「……おい、シブキ。……なんだよ、この床(月面)。……掃除人の神経を逆撫でするような、ボコボコ加減だな」
衛星軌道上のデブリを一掃し、そのままの勢いで月へと降り立った俺。
人類が数十年かけて到達した場所に、俺は特製軍手とモップ一本で立っていた。
『マスター。……これは「クレーター」と呼ばれる、隕石の衝突跡です。……数億年分の「磨き残し」ですね。……非常に、不衛生です』
「……不衛生どころじゃない。……これ、埃が舞い上がりまくりだろ。……ルンバもこれじゃあ立ち往生するぞ」
俺の目の前には、広大な静かの海。
だが、そこは静かどころか、細かい岩石の粒子が静電気でまとわりつく、掃除人にとっての「地獄の現場」だった。
「……ムサシさん。……悪いけど、この『クレーターの縁』、全部削って平らにして。……あ、ついでにそこら中に落ちてる宇宙飛行士の忘れ物(残骸)、全部不燃ゴミとして一箇所にまとめて」
「御意ッ!! 佐藤殿、ついに『月面大抜刀』の時ですな! 拙者の剣、真空を切り裂き、この月の『角』を落としてみせよう!!」
ムサシが『斬鉄丸』を抜き放ち、月面を時速数百キロで駆け抜ける。
低重力の月面で、ムサシの剣閃は地上の数倍の鋭さを増し、巨大なクレーターの縁を次々と「カンナがけ」のように削り取っていく。
「総帥! 地上の天文台から悲鳴のような通信が来ています! 『月が四角くなっている!』『形が変わっている!』って!」
「……四角くはしてないだろ。……『平ら』にしてるんだ」
エレンが地球からのホログラム通信で叫んでいるが、俺は止まらない。
俺は仕上げに、シブキが生成した『超高濃度・ワックス魔法液』を月面全体に散布した。
「……シブキ、噴霧開始! ……俺は、この『月という名の巨大な真珠』を磨き上げる!」
俺はモップを円を描くように振り回した。
「奥義……『月面・ポリッシャー回転』!!」
モップが月面を叩くたびに、衝撃波がレゴリスを吹き飛ばし、代わりにワックスが地表をコーティングしていく。
数分後。
ボコボコだった灰色の月は消え去り――
そこには、太陽の光を100%反射し、宇宙の闇の中で「白銀の真珠」のように輝く、完璧にフラットな天体が出現していた。
『……美しい。……マスター、これならどこを歩いても滑らか(スムーズ)です』
「……よし。……これでようやく、窓越しに月を見ても『あそこの影、気になるな』って思わずに済む」
その時、地上のつぶやいたーは、かつてないパニックに陥っていた。
『【速報】月が、光りすぎて……直視できない!! 目が、目がぁぁぁ!』
『「月にはウサギがいる」どころじゃない。……俺たちの顔が月に映ってるぞw』
『月をポリッシャーした男、佐藤カズマ。……もう神じゃなくて、宇宙の管理者だろ』
『現在の月の地価:あまりに綺麗すぎて、NASAが「住みたい」と移住を検討中』
「……さて。エレン副総帥。……次は何だ? ……あ、火星? あそこ、赤いよな。……錆てるのか?」
「……総帥。……火星はサビじゃなくて酸化鉄の色です。……磨かないでくださいね、絶対ですよ!?」
――だが、カズマの「サビ取り剤(サンポール特製)」を握る手は、既に次の惑星へと向けられていた。
第25話をお読みいただき、ありがとうございます!
月を「鏡面仕上げ」にしてしまったカズマさん。
太陽光を反射しすぎて、地球が夜でも「昼間みたいに明るい」という副次的な光害が発生していますが、本人は「スッキリした」と満足げです。
次回、第26話。
「火星のサビ取り開始! だが、火星人が『赤くないのは火星じゃない!』と抗議に来る回」
「月のクレーターをカンナがけw」「火星はサビw」と思った方は、
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太陽系の掃除、どこまで行くのか! 応援よろしくお願いします!




