あとがき
ども、夢乃です。
ある日、夢を見ました。
──霧の深い中を、書店を目指ざして歩いている自分。頭のどこかで(ああ、これは夢だ。前にも見たことがあるな。探してた絶版本があったっけ)と思っている。書店の中には売り物の並んだ書棚の奥に、使われていない棚がある。あそこに、家にある本を置かせてもらえないかな、そう思った私は店員に頼み込む──
その夢を元に書いたのが、この小説です。
心から欲しいものが必ず置いてある、夢のような書店。しかも購入したものは、現実でも手に入る。そんな書店が現実にあったらこんなに嬉しいことはありません。現実ではなくて、夢の中ですが。
主人公は、現実の世界で喉から手が出るほど欲しいけれど手に入らないものを、夢の中に出てくる書店で手に入れます。本はもちろん、収納場所や、疎遠になった友人との関係まで。しかし、それは本当に夢の書店で手に入れたのでしょうか。買っていたものを忘れていただけ、仕舞い込んだ場所を忘れてしまっただけ、友人とはどこかですれ違って自分が気付かなかっただけ、かも知れません。きっと、事実を知っているのは彼女だけでしょう。
ところで。現在ではネット通販が発達しているから、このような夢の書店は不要かもしれません。書棚が埋まったらレンタルボックスがありますし、昔の友人と再会したければSNSもあります。高度に発達した物流とネットワーク、それこそが現実の“夢の書店”なのかもしれません。・・・と言ってしまうと、夢も何もありませんが。
さて、小説『夢の、書店。』はこれにて閉店です。
けれど、いつかまた、夢の書店でお逢いしましょう。
それでは。




