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第4話・一緒に映画へ

夏休みも残り3日。宿題も終わり僕は朝から部屋でゲームをやっていた。ネットで攻略法を調べそれを黙々とやるだけだ。さすがに夏休みの残りをゲームをやって過ごすのは嫌いだ。僕はどこか行こうか考えていた。だが今日、涼は用事があるとかで朝から居ない。しのぶちゃんは旅行で現在不在で青葉さんは家族で出かけると言っていた。となると残りは美羽か。でも最近ほぼ毎日電話している気がするが……

 僕はベッドの上に置いてある携帯を手に取り美羽に電話をかけた。

 美羽はすぐに電話に出てくれた。

「もしもし? 僕だけど今いい?」

「はい、いいですよ」

「今日みんな居なくてさ。どこか行きたい場所とかあるか?」

 美羽は少し悩み何かを思い出したかのように話を切り出した。

「えっと、映画とかはどうですか?」

「僕はいいけど何か見たいものでも?」

「最近テレビで宣伝している不思議な少女の物語のを見たいんですが」

 僕はその内容を聞いて思い出した。確か幽霊になった少女の話だったはず。人気急上昇中の若手女優がヒロインを演じているとかでいろいろな番組でも宣伝をしていた。確かにあれは少し気になる。

「あれか。気になっていたから行ってみるか」

「駅前の映画館でやってますか?」

「ちょっとまって」

 僕はパソコンで駅前の映画館の上映情報を検索した。だがその映画は人気があり地元の映画館ではまだやっていない。県内の上映映画館を調べてみると中心市街地の映画館では上映しているみたいだ。

「駅前の映画館ではやってないみたいだな。ほかの場所なら上映してるけどそこだと電車移動になるんだよな」

「私は電車でも良いですよ」

「そんじゃ待ち合わせは駅の改札口前にあるベンチに11時で良い?」

「わかりました」

「それと昼は向こうで食べるか?」

「せっかくですからそうしましょう」

「そんじゃまた11時に駅前で」

「はいそれではまた」

 そう言って電話を切った。

 そういえば美羽と電車で出かけるのは初めてだ。なんだか緊張してきた。なんでだ? 美羽とはよく出かけているはずなんだが。まぁ気のせいだろう。僕はネットで映画館の上映時間を細かく調べた。見るとちょうど13時過ぎからやるみたいだ。その映画館は昔行ったことある場所だがあまり場所を覚えていない。僕は地図を見て場所を調べた。

 そして時間までゲームをやったりして時間を潰し少し早めに家を出た。

 今日も一段と暑いな。道路の先が歪んで見える。駅前のコンビニで飲み物を買い駅の改札口前にある椅子に座って待った。

 日に当たらないだけで結構涼しく感じる。そろそろ時間になるころに美羽がやってきた。

「お待たせしました~」

 珍しくワンピースではなくフリルの付いたミニスカートだ。でも全体的に色は白色が多い。なんだか天使って事を意識しているかのような服装だ。手には可愛らしい手提げバックを持っていた。

「そんじゃ行こうか」

「はい」

 切符を買って改札口を通った。電車はちょうどの時間にホームに入ってきた。

 やっぱり人が多いな。座る場所は……ないか。入口の近くで手すりに掴まった。

  道中美羽は物珍しそうにほとんど外を見ていた。

「なんか楽しそうだな」

「あまりあの街を出たことがなかったので他の場所に行くは毎回楽しみなんです」

 美羽は嬉しそうにほほ笑んだ。やっぱりこの笑顔を見るとなんだか落ち着くな。

「夏休み入っていろいろ出かけたよな」

「いつもいろいろ誘ってくれてありがとうございます」

「そんな礼なんて。僕も美羽と居るのが好きだし」

「え?」

 一瞬間が空いた。なんかすごくはずかしいセリフを言ったような……すぐに何か言わないと。僕は咄嗟に考えた。

「あ、えっと……ほらみんなも楽しんでるからさ」

「そ、そうですよね」

 30分ほどで目的地の駅に着いた。改札口を通ると美羽はすごく驚いていた。

「わぁ~すごく広くて大勢人が居ますね」

「新幹線も停まるし駅前には有名なお店もいくつかあるからね。どこかで昼食べるか」

「そうですね」

 駅から地下街に入った。地下街にはいくつかのお店が並んでいる。そして地上が暑いせいか地下を通る人が多い気がする。

 少し進むとすぐに上がる階段がいくつかあった。僕は途中にある地下の通路図を見ながら目的地に向かった。

 もうそろそろ地上に出るか。階段を上がり地上に出ると商店街がある場所に出た。やっぱり地上は暑いな。空からは太陽の日が降り注ぎ地面からは熱気が立ち込めてきた。

「暑いけどやっぱり商店街は賑わってるな」

 それでもやっぱり人は多い。

「あれ? 道路を人が歩いていますよ。危なくないですか?」

 見てみるとレンガで出来た道路を人が歩いている。それにしても車が1台も通らない。僕はあたりを見た渡すと信号機は停まっていてその下には看板が設置されていた。そこには“8月27日~8月31日は歩行者天国”と書かれた張り紙が貼ってある。

「今日は歩行者天国みたいだな」

「歩行者天国って何ですか?」

 いろいろ知っている美羽でもこういうのは知らないのか。僕たちはあえて道路のところを歩き歩行者天国について説明した。

「歩行者天国っていうのは車を通行止めして道路を歩道にすることなんだよ。こっちでもたまにあるよ。駅の北口にある商店街とか」

「そこまでして何かやったりするんですか?」

「毎年祭りのとき夜店が出たりしてるよ」

「お祭りですか~。花火大会のときはすごく楽しかったのでまたお祭り行きたいです」

「確か夜店は―――」

 僕は携帯で地元の商店街のホームページににアクセスした。見てみると祭りがやる日にちが堂々と載っていた。しかも祭りの日って―――

「今日じゃん。あっぶねー、これは毎年行っているから行かないと。美羽も行くだろ?」

「もちろんです」

 凄くワクワクしてきた。通称“レンガロード”と呼ばれる商店街。範囲は結構広く催しものがあっちこっちでいろいろやっている。音楽を演奏したり、地元の人たちが踊ったりする。去年はミニ牧場が来たりしていた。今年はどんなのがあるんだろう。僕は懐かしい記憶を掘り起こしていた。

「去年は涼とコーラの売ってるお店で一気飲み大会したんだよな。懐かしいな」

「今日みんなは来ますか?」

「しのぶちゃんは旅行で居ないから涼と青葉さんにメールしてみるか」

 僕は今日祭りがあるという内容のメールを作成して涼と青葉さんに一斉送信した。するとすぐに1通メールが来た。

「お、もうメール来た。えーっと青葉さんからだ」

「これますか?」

「夜はそのまま外食して帰るから無理だってさ」

「残念です」

 涼からのメールはまだ来ていない。用事って一体なんだろう?

 歩行者天国を映画館のほうに歩いているとファミレスの文字が見えた。他の飲食店は寿司屋や牛丼屋、ラーメン屋などだ。あとはおなじみのファーストフードか。

 美羽に聞いてみるか。

「ファミレスとファーストフードどっちがいい?」

 美羽は少し悩んだがすぐに答えが出た。

「それじゃファミレスで」

「わかった」

 商店街にあるビルの2階にそのファミレスがある。

 店内に入るとお昼の時間帯だけあって混んでいた。入口で待つとすぐに男性店員がやってきた。

「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「あ、はい」

「それではお席のほうにご案内します」

 男性店員はすぐに席に案内をしてくれた。どうにか席が空いてたみたいだ。

 僕と美羽は席に着き、メニュー表を見た。

「結構種類あるな」

「迷っちゃいますよね。あ、これ美味しそう」

 美羽はメニューに釘付けだ

「やっぱり僕はこれにしようかな」

 僕はぺペロンチーのを選んだ。スパゲッティが好きで行くファミレスでは大体頼んでいる。さらに辛いのも好きだからぺペロンチーのはストライクだ。美羽は何を選ぶのだろう? 美羽はメニュー表をじっと見た後ようやく決まったみたいだ。

「それじゃ私はこれを」

 美羽が選んだのはカルボナーラだ。この夏場にご飯物を選ぶのはちょっときついか。

 僕はテーブルの上にある呼び出しボタンを押すと女性店員が来た。

「ご注文はお決まりでしょうか?」

 女性店員はメニューを入力するであろう端末を持っている。

「えっとペペロンチーノとカルボナーラで」

 僕がメニューを伝えると女性店員は端末を操作したあとメニュー名を繰り返した。

「ペペロンチーノが1つ、カルボナーラが1つ、以上でよろしいでしょうか?」

「はい」

「少々お待ち下さい」

 女性店員お辞儀をすると厨房のほうに向かった。

「映画までまだあるな。食べたらどこか寄ってみるか? 僕はどこでもいいよ」

「それじゃ向かいの百貨店行って良いですか? この前CMやってて気になっていたので」

「良いよ。そんじゃそこ寄ったら映画館向かうか。少し早めに行って席確保したいからね」

「そうですね」

 美羽と話していると先ほどの女性店員が料理を運んできた。

「お待たせしました。ペペロンチーノとカルボナーラです。以上ので御注文の品はよろしいでしょうか?」

「はい」

「それではごゆっくり」

 女性店員はテーブルの上にある筒にレシートを差し込んでいった。

「美味しそうですね」

「そんじゃさっそく食べるか」

「はい」

 スパゲッティを食べた。やっぱりぺペロンチーのは美味い。美羽もカルボナーラをおいしそうに食べた。

 僕は先に食べ終わった。そのあとゆっくり食べていた美羽も食べ終わった。

「美味しかったです」

「今度またどこか食べに行くか。次はみんなを誘ってさ」

「また新しいところに連れて行って下さいね」

「おう、そんじゃそろそろ百貨店行くか」

「はい」

 会計を済ましファミレスを出た。

「奢ってもらっちゃってすみません」

「いいよこれくらい」

 ちょっと格好つけて奢ったが結構厳しかった。今月は買い食いは控えなければ。

 僕と美羽は目の前にある百貨店に入った。入口には化粧品コーナーがあり地下にはスーパーがあるみたいだ。美羽は案内表を見ていた。

「何か気になる場所でもあったか?」

「この服屋に行ってみたいです」

「それじゃエレベーターで行くか」

 エレベータに乗りファッションフロアに着いた。このフロアにはいくつかの服屋があり有名店がいくつか出店していた。

「わぁ~」

 美羽は眼を輝かせていた。やっぱり女の子はこういうところ好きなんだな。美羽は何かに導かれるかのように一つのお店に入って行った。

「これ可愛いです。こっちもこのリボンが」

 美羽はいろんな服を手にとって見ていた。僕はただそれを横で見届けるしかない。しばらくすると美羽はある1着を見続けていた。手に取っていたのは水色のフリルが付いたミニスカートだ。

「ん? 美羽どうした?」

「これが気になっているんですがスカートの丈が短い気がして」

「実際に試着してみたら? 奥のほうに試着室あるみたいだし」

「そうですね。ちょっと試着してきます」

「僕はこのあたりにいるよ」

「わかりました」

 美羽はミニスカートを持って試着室へ向かった。

 その場で携帯をいじって待っていると女性店員がやってきた。さすが服屋って感じの自由な服装だ。

「いらっしゃいませ。今1階ロビーでカップル限定の抽選やっていまして良ければ彼女さんとどうぞ」

 そう言って女性店員は1枚の抽選券を渡してきた。

「あ、はい」

  チケットを受け取ると何か引っかかる。僕はさっき女性店員が言った言葉を思い出した。確かカップル限定で彼女さん―――って…… ちょっ! 僕はすぐに訂正をした。

「ベ、別にかにょ、彼女じゃ!」

 やばい、噛んだ。ものすごくパニックになってしまっている。女性店員は「頑張ってください」と言ってほほ笑んでいる。しかもそのタイミングで美羽が試着室から戻ってきた。先ほどのミニスカートとさらに1着の黄色い服を持っていた。

「ミニスカとこの服も買おうと思うんですが……ってどうしました?」

 咄嗟に抽選券をポケットにしまった。

「いや、なんでもないよ。向こうの服とか可愛いんじゃないかな」

 そう言って僕は美羽を連れてその場を逃げた。周囲を見渡すと結構カップルが多い。美羽は気にせずに服選びを続けた。

 その後美羽は先ほどのミニスカートと黄色い服を購入した。

「両方買っちゃいました。やっぱりここは良いですね」

 美羽は大きな袋を持った。

「また今度時間があるときに来るか。今度はみんなと一緒に」

「そうですね」

「袋持つよ」

 僕は手を差し出した。

「え、でも」

「引きずりそうになってるじゃん」

 美羽が袋を持つと身長的に袋が地面に付きそうになっていた。せっかく買った服も汚れてしまう。僕は代わりに袋を持った。

「ありがとうございます」

「軽いからいいよ。そろそろ向かったほうがいいかな」

 僕は時計を見ようと携帯をポケットから出そうとした。

 するとポケットから1枚の紙が出てきて宙を舞った。この紙って……。脳裏に先ほどの記憶が過った。それは先ほどもらったカップル抽選回のチケットだ。チケットはゆっくり地面に落ちた。

「ん? 何か落ちましたよ」

 美羽は落ちたチケットを拾おうとした。僕はそれより早く拾って誤魔化そうとしたが一瞬出遅れ先に拾われてしまった。

「えっと、さっき店員さんが渡してきてだな」

 美羽はチケットをじっと見たまま動かない。どうしたんだ? そっと美羽の顔を覗き込んでみると目を輝かせていた。僕は美羽の持っているチケットを良く見てみると1等は巨大ぬいぐるみらしい。

「これほしいのか?」

「欲しいです! 抽選やりに行きましょうよ」

 カップルがどうこう考えていた自分が恥ずかしい。僕と美羽は1階のロビーに向かった。そこにはガラガラ抽選が行われていた。因みにガラガラ抽選とは玉の入った入れ物を横に付いているハンドルで回して中の玉を出すものだ。見たところまだ1等は出てない。

 僕と美羽も列に並んだ。と言っても並んでいたのは2組だけだったのですぐに順番が回ってきた。

「次の方どうぞ」

 受付の人にチケットを渡した。

「美羽、回していいよ」

「あ、はい」

 美羽がガラガラのハンドルを持とうとしたとき受付のお兄さんが「あ、二人一緒に回して下さいね」と言った。

 一瞬何かと思ったがすぐに理解した。美羽はすでにハンドルを握り準備万端。

「えっとそれじゃ……」

 僕は美羽の手をそっと包んだ。小さくて柔らかい手だ。緊張の中ガラガラを回した。そして出てきた色は銀色だった。

「おめでとうございます。2等の限定ペンダントです」

 渡された箱には羽根の形をしたペンダントの写真が印刷されていた。これが入っているのか。

「1等じゃなくて残念だったな」

「でもこれはこれで嬉しいです」

 ほんと嬉しそうだな。美羽は箱を手提げバックに入れた。

「よし、映画館行くか」

「そうですね」

 僕と美羽は映画館に続く道を歩いた。10分ほど歩くと見覚えのある懐かしい建物が見えてきた。外観はきれいになっているがデザインは昔とあまり変わっていない。

「ここに来るのも久しぶりだ」

 入口横にあるチケット販売で今からみる映画のチケットを2枚購入した。入場まであと10分はあった。映画館のロビーにあるソファーで少し時間を潰そう。

 美羽は先ほどもらったペンダントの箱をさっそく開けていた。

「わ~、綺麗です」

「今付けてみたら?」

「そうですね。それじゃ――――」

 美羽はペンダントを首にかけた。

「ど、どうですか?」

 ペンダント付けただけなのになんかさらに可愛く見えた。僕は一瞬見とれてしまった。

「翼君?」

 美羽の声で我に戻った。危ないところだった。

「うん、凄く似合うよ」

 美羽は凄くうれしそうだ。

 入場時間になり2番スクリーンと書かれたドアを開け入った。中は結構広く徐々にいろいろな人が入ってきた。

 早めに入った僕と美羽は中央の一番良い席に座れた。前過ぎても逆に見にくいからこのあたりがちょうどいい。

 しばらくすると会場にブザーが鳴り響き暗くなってきた。いよいよ映画公開だ。映画前のCMが流れそのあと本編が始まった。

 映画は約110分だ。物語はあっという間に進んでいった。ヒロインの正体を主人公が知ったシーンは切ないな。なぜか他人事じゃないような気がしたが。

 そしていよいよラストシーン。美羽はすでに涙をぽろぽろ流していた。確かにこの内容は切ない。

 そしてエンディングが流れ最後に少しシーンを挟み映画は終わった。

「ラスト凄かったな」

「あの二人出会えて良かったですね」

 美羽はハンカチで涙を拭いていた。

 映画館にある売店でお互いに1冊ずつパンフレットを買い僕たちは映画館を出た。

「さてまだ夜店まで時間あるけどどうするか」

「もう少しこのあたりいろいろ寄ってみましょ」

「だな」

 僕と美羽は少し回り道をしてゆっくり駅へ向かった。すると僕の携帯が鳴った。

「メールだ。えっと……お、涼からだ」

 内容を読んでみるとちょっと不思議だ。

「桜木君はなんて?」

「うん、一緒には回れないけど夜店には居るってさ」

「どういう意味なんでしょう?」

「よくわからないな。とにかく行けば居るってことか」

「そうですね」

 その後夜店の時間までいろいろなお店を寄った。夕方になると少しは涼しくなってきた気がした。

3話掲載から3週間が経ちました。

なかなか話がまとまらずすみません

次回は商店街の祭りの話です

実際にある地元の夏祭りを思い出しつつ書いていきます。

それではまた次回お会いしましょう


ツイッター:#huzizakura

ブログ:http://huzizakura-nikki.blog.jp/

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