42 秋の花火
大学へ戻り、武尊に改めて謝罪をしたソラ。武尊もソラへ謝罪していた。
「悪気がないとはいえ、失礼なことを……」
「冗談だったんだけど、ソラちゃんがそんなに気にするなんて……」
「二人とも、もういいから! それより花火どこで見ますか?」
モモが口を挟む。
文化祭終わりの定番、夜の花火である。
「屋上は?」
「鍵閉まってると思う」
「じゃあ教室は?」
「どこ空いてるか分からんな」
話し合った結果、大学の外の公園へと向かった。ベンチが空いている。
「ここなら空いててゆっくり見られそう」
武尊がブランコに座る。
「私も乗る!」
モモが隣のブランコに乗って漕ぎ始めた。
「うわ、結構怖いかも……」
二人がはしゃいでいる。
ソラはベンチでカイの隣に座る。
「カイさん、あの」
ドーーン!
その時、大きな音が響いた。
「始まったね」
「はい」
皆、花火を見上げる。
色とりどりの光が夜空を彩っていく。お盆に愛媛で見た時、カイと見たいと思った。今日は一緒に見られている。その事実に、ソラはとても嬉しくなった。
帰り道、カイと武尊が二人を送ってくれた。
「それじゃあ、私こっちだから」
モモが分かれ道で手を振る。
「俺、モモちゃん送るわ」
武尊はそう言うと、モモを追いかけた。
「カイさん、あの……さっきは、ありがとうございました」
二人になり、ソラはさっき言いかけた言葉を口にした。ソラはカイへ頭を下げる。泣いてしまったことが恥ずかしい。
「いえいえ、気にしないで。花火きれいだったね」
カイは気にしていない様子である。
「はい。一緒に見られて良かったです」
ストレートな物言いに、照れるカイ。
「ソラちゃんは正直だね、俺も一緒に見れて嬉しかったよ」
微笑むカイ。
「カイさんは本当に優しいですね」
ソラも微笑む。
「ん? 俺が言ってること本気に取ってないでしょ?」
カイがソラを睨む。
「そういうわけじゃないですけど、合わせてくれてるのかなって」
「心外だなぁ。こんなにソラちゃんの事思ってるのに」
「ふふふ。ほらまた」
ソラが笑っている。
立ち止まるカイ。
「カイさん?」
急に止まったカイを振り向くソラ。
「……本当だよ?」
真剣な表情でカイが言う。
「俺、ソラちゃんが好きだよ」
夜の涼しい風が吹く。
ソラは立ち止まったまま、しばらく動けなかった。
◇
翌日は日曜だが、大学では文化祭の片付けに追われていた。
「なぁ、カイ聞いてる?」
カイは終始ボーッとしている。
ついに、言ってしまった……
しかしあの後、返事を聞く勇気が持てず、戸惑うソラを送り届け、足早に帰宅してしまった。
何と言うヘタレ具合か。
武尊がカイをつつく。
「何かあった?」
「え? あーうん。何でもない」
何でもありすぎるだろ? 分かりやすい奴だな。
武尊は苦笑した。
「まぁ、頑張れよ」
カイの肩を叩くと、武尊は別の解体へ向かった。
明日はバイトの日だ。
勢いで言ってしまった事を少し後悔するのだった。
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