表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議なカフェ  作者: 紙絵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/50

40 秋

 今日は常連のミーちゃんと、最近たまに見る白と黒の猫がお店で眠っていた。


「お疲れ様です」


「お疲れ様」

 カイと目が合う。自然と顔がほころぶ二人。


「今日はお客さん、もういるんですね?」

 ソラがエプロンを付けながら話しかける。


「うん。気温も下がってきたし、昼間も猫達、出歩けるようになってきたからね」


「今度、武尊が神社で舞を踊るらしいよ」

 昨日愚痴っていた武尊を思い出す。


「へぇ、武尊さんって踊れるんですね! 意外です」

 ソラは正直である。

「カイさん、武尊さんと仲良しですよね?」


「まぁね、小さい時から一緒にいるからね」

 何か思い出すように上をみる。


 ◇


 小学校は俺と武尊は別のクラスだった。俺は小さい頃から可愛かったし、頭も良かった。立ち居振る舞いも子どもっぽくない俺は、人気者になるのに時間はかからなかった。


 学校に慣れてきた頃、帰り道に武尊を見つけた。


「おぉーい、武尊!」


 俺は他の友達二、三人と一緒で、武尊は一人で歩いていた。


「一緒に帰ろう?」


 そう声をかけると、武尊はみるみる瞳に涙が盛り上がった。無言で頷く武尊。


「ごめん、俺ここで。また明日な!」


 驚いた俺は他の友達と別れて、武尊と二人になる。よく見ると服が汚れている。靴も濡れている。


「カイ……おれ」


「誰にやられた?」

 俺は頭に血が昇った。


「何でもないよこれくらい」


「駄目だ。許さない。誰か言って!」


 しかし、武尊は頑なに名前を言わなかった。

 その日から、行きも帰りも、俺は武尊と帰ることにしたし、休み時間も時々様子を見に行った。


 それが良かったのか分からないが、武尊への嫌がらせは収まった。武尊自身も元気になっていった。


 ◇


「アイツのあのキャラは防御だから……武尊は普段軽いけど、芯は繊細だからね。ちゃんと舞の練習もしてるんだよ」

 懐かしそうなカイ。


「神社での舞、うまくいくといいですね!」


「そうだね」


 明日の満月に思いを馳せる二人なのだった。


 ◇


 夜の神社に優雅に舞う人影。

 神社の赤に、白の袴、まなじりを紅く描かれた狐の面。厳かな雰囲気の中、見守る人々。


 今日は中秋の名月。幸運にも秋晴れで、満月が大きく綺麗に見える。


 舞が終わると、参列者に御神酒が配られる。


 その舞い踊った人物は、静かに控え室へ戻り狐の面を外す。


 暑い、疲れた、酒飲みたい……


 その思いを口にするのはまだ憚られる。何故なら近くに長がいるからである。


「武尊、大役お疲れ」


 六十代半ばの厳しそうな顔つき、紫の着物姿の女性が大きく頷いている。


「はい。ありがとうございます」


「お前ももう二十歳か。そろそろ身を固めねばな」


「身を固める……?」


「ふふ。妻を見つけるという事だ。現代だと早いかもしれんが、昔は二十歳じゃ遅いくらいだった」


 一体いつの時代の話だ!


 心の中で突っ込みを入れる武尊。


「まぁ、せいぜい頑張れ」


 捨て台詞を吐いて部屋から退出する長。


「はぁー」


 武尊は大きく息をはいた。

 窓から見える月を見る。スマホを取り出し、思わず写真を撮った。


 これを、最初に見せたいと思えるような人に会えれば……モモを思い浮かべて首を振る。

 いや、あの子じゃない。


「誰かいないかなあ」


 一人呟く武尊であった。

読んでいただき、ありがとうございます。

感想、反応いただけると大変嬉しいです。

評価、レビュー、ブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ