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不思議なカフェ  作者: 紙絵
第一章

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3/21

日常

「おはよー。バイトどう?」

朝登校するとモモが話しかけてきた。

「おはよ。うん、まあ。いいバイトだよ。」

無難に答える。ウソを付くのは苦手だ。

「イケメンいる?」

目をキラキラさせている。女子高生らしく恋愛とイケメンに目がない。

「うん、イケメンなのかな…」

甲斐さんを思い出しながら答える。

「ソラが認めるなんてよっぽどじゃん!身長どれくらい?何歳?彼女いる?」

矢継ぎ早の質問にたじたじするソラ、

「身長…けっこう高いんじゃないかな。年齢は私達のちょい上位で…彼女は知らない。」

「えええ、見たいー!バイト先行っちゃダメ?」

「だめだよ。」

顔や態度には出ないが内心焦るソラ。

「そんなぁ、私もイケメンとお知り合いになりたい〜」

残念そうなモモ。

「なになに何の話?」

横から高橋君が話しかけてきた。

「んー、どこかにイケメンいないかなって話」

モモが答える。

「えー、ここにいるじゃん?」

高橋君が自分を指して言う。

「高橋はお笑い担当でしょ?」

モモが笑いながらツッコむ。

おちゃらけ担当の高橋君。イケメンというよりは愛嬌のある顔をしている。


それにしても、動物が話すなんて…

なかなか面白い現象だったな。

放課後が楽しみになるソラだった。


バイト先には先客がいた。

「やっほーソラちゃん、元気?」

ミーちゃんが話しかけてきた。相変わらずである。

「ミーちゃんは飼い猫なんですか?」

ソラは猫と会話してみた。

「ううん、飼われてたり、野良になってみたり色々。今はこのお店の近くで、おじいちゃんと暮らしてる〜」

そんな自由な感じなんだ。

「ミーちゃんって何歳?」

「それは、内緒!」

ミーちゃんはゴロゴロしながら答えてくれない。

猫は長く生きると猫又になるって聞いたことあるな。

「それは残念です。」

2人(?)のおしゃべりを甲斐さんが見ている。

「すごいね、もう慣れたんだね!」

怖がったり、現実を受け入れられず逃げ出すこともなく、普通に会話するソラは珍しいらしい。

「そいえば猫友達から聞いたんだけど、この辺りで野良猫を捕まえてる人間がいるらしいんだよ」

猫友達…

「捕まえてる?市の人とかってこと?」

甲斐さんが不思議そうに訊ねる。

「どーかな?捕まると戻って来れないって言ってて、怖いよねー」

怖がっているようには見えないが、

「俺も捕まらないように気をつけなきゃ〜。じゃあそろそろ行くわ。おじいちゃん待ってるし」

ミーちゃんは猫らしい素早さで猫用ドアから帰っていく。

「気をつけてね!」

甲斐さんが声をかける。

そういえばお客さんが猫の場合、お金取れないし、このお店ってどうやって成り立ってるんだろう?


「気をつけてね!」

ソラもミーちゃんと同じく甲斐に声をかけられて退勤する。


ソラが出たのと入れ違いに、お店の前に車が停まる。車から降りてきた人は甲斐さん位背が高い。綺麗な横顔が見えた。大きな段ボールを抱えている。


兄が植物やら猫の餌やら持ってきた。

「ここ置いとくぞ」

「ああ。」

また沢山あるなぁ。

兄は会社員として働いているが、このお店のオーナーでもある。代々橘家が継ぐお店の一つを、早々に受け持ったばかりだ。

「バイト雇ってるんだって?」

カウンターに寄りかかって話す。

「うん。」

「大丈夫なのか?」

この場合の大丈夫なのかは、身内以外の人にここを知らせて大丈夫なのか、だ。

「まあ、そこは勘で。」

「お前が言うならそうなんだろうけど。なんでまたバイトなんて?」

もっともな事を言ってくる。それが兄というものなのかもしれない。

「俺が忙しい時、今ここ閉めてるだろ?それが困るってミーちゃんが嘆いててさ。」

「あの我儘猫」

言いながら兄の目は優しげだ。

「じゃあ帰るけど、乗ってくか?」

「んー、もう少し残ってから帰る。後、最近野良猫が保護されてるって話とか聞いてない?」

「いや、市ではないな…何か問題か?」

甲斐はミーちゃんの話を伝えた。

「ちょっと調べてみる。」

「頼んだ。」

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