22 お見舞い
カイは生まれつき勘がいい。
この力のせいなのか、半年に一回くらい眠くて堪らなくなる。
今朝は起きられなかった。お昼過ぎに一度目を覚ましたが、また睡魔が襲ってきた。
玲央の車で、橘家に到着した。立派な門を抜けて、大きな日本家屋に目を丸くする。
「大きいお家ですね!」
「昔からあるからね。カイは離れの部屋だから、こっちだよ。急に来てもらってごめんね」
「ほんとに迷惑じゃないですか?」
眠くなるだけと説明されたが、体調が万全じゃない時に行ってもいいものか……
「大丈夫大丈夫! きっと喜ぶよ」
「カイ、起きてる?」
玲央が声をかける。返事はない。
「開けるよ?」
ドアを開ける玲央。小綺麗な和室の部屋である。丸窓に障子の襖、ちゃぶ台、縁側がある。奥の部屋のベットにカイさんが寝ている。
「あれ、まだ寝てる」
玲央は寝ているカイを揺する。
「カイ、そろそろ起きて? ソラさんに来てもらったよ」
布団がもぞもぞしている。
「んー」
カイさんの声がする。何故だかドキッとした。
「ソラさん、ちょっと待っててくれる? 飲み物とか取ってくる」
そう言うと玲央はどこかへ行ってしまった。
「お邪魔します……」
恐る恐る部屋へ入る。ちゃぶ台の前に座る。
「ソラちゃん?」
「はい?」
もぞもぞ起きるカイ。座っているが、まだぼーっとしているようだ。
カイがソラを手招きする。カイの元へ近づくソラ。
「カイさん、大丈夫ですか?」
カイがソラの腕を掴む。驚くソラ、そのまま引っ張られてベットの上に座ってしまう。
「あの!」
突然の行動に驚くソラ。カイは手を離さない。
「一緒に寝よ?」
カイがソラを抱き寄せる。心臓が飛び出そうになるソラ。
「あっあの!」
カイは座ったまま目を閉じて船を漕いでいる。
これ、寝ぼけてる!
「カイさん! 起きてください!」
話しながらも心臓が飛び出しそうなソラ。
「……へ?」
「起きましたか?」
目をぱちぱちするカイ。
「ソラちゃん? なんでここに……」
ソラを抱きしめながら質問する。
「あの、カイさん離してください……」
我に返るカイ、ソラを解放する。
「ごめん! 俺、寝ぼけてた?」
睨むソラ、カイから見ると上目遣いのそれは、悪いがかわいいだけである。
「心臓に悪いです……体調大丈夫ですか?」
息を整えてソラが質問する。
「うん。眠いだけだからね。今日、充分寝たから明日はバイト行けると思う」
「それなら安心です」
微笑むソラ。
「……ソラちゃん、わざわざありがとう。兄貴に言われて来たの?」
「はい。迷惑じゃないか心配だったんですけど」
少し心配そうなソラ。
「嬉しいよ、来てくれて」
カイさんが優しく微笑む。
ドアをノックする音。
「飲み物お待たせ。お、起きた?」
玲央が帰ってきた。
◇
翌日のお店、カイは出勤していた。
今日は、はじめましての猫が来て昼寝している。
窓を開けると、ウグイスが窓枠にとまった。
「ここが噂のお店か」
ウグイスが話す。
「噂って?」
楽しそうに会話するソラと、それを見守るカイ。不思議なカフェは今日も心地良い空間である。
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