バイト探し
ソラは求人募集をスクロールする。最近はもう日課になってきている。
高校に入ったらバイトしてお金を稼ぐ!
なぜなら、ゲームを思う存分買う為に!
犬飼ソラは、ゲーム好きで引きこもりがちの高校一年生だ。友達と遊びに行くだの、彼氏を作って〜だの、興味がない。
おしゃれにもさほど興味がないので、肩までの髪の毛は染めた事がなく、引きこもりがちなので色白であり、猫目である。
またこの会社出てるな、
この求人は釣りかな、
これは経験者募集だし、
ん?
未経験者歓迎の文字が見えた。
お店の雑務
履歴書不用、面談のみ、住所…
家の近くだ、こんなお店あったかな。
近いことはメリットだし、時給も悪くない。
履歴書不用も面倒くさがりの自分には魅力的だ。接客も笑える自信がないので「雑務」と裏方っぽい仕事は嬉しい。
まぁとりあえず応募してみよう。
細かいことは後回しにしがちな性格である。
翌日メールで連絡があった。
ご応募ありがとうございます。
一度面談にお越しください。お日にちは…
初めての仕事である。少し緊張しながらメールを送る。
「おはよー真剣に何してるの?」
モモが話しかけてきた。クラスで同じ中学出身者はモモのみだ。彼女は明るい性格で男女共に友達が多い。
「応募したお店に連絡のメールを…」
文章に悩みすぎて眉間に皺がよる。
「すごい顔してるよ」
「は!」
今日の夕方面談が決まった。
放課後、住所を頼りにお店を見つける。
地図ではこの辺りのはず…
きょろきょろしていると目の前のお店から人が出てきた。
「面談予定の、犬飼ソラさんですね」
驚いて固まる。
「はい、そうです!」
「どうぞこちらへ」
背の高い女性はソラをお店に促す。
目の前にあるのにお店に気づかなかった?
この人私が応募したってよくわかったな。
お店の中に入る。
優しい光が入り込んでいる。
観葉植物が多い。意外と明るい。
「こちらにお掛けください」店の一角に机がある。机の上にも小さいサボテンが置いてある。
「ありがとうございます」丸椅子に腰掛ける。
向かい側に女性が座る。
「緊張しなくていいですよ、あなたは採用です」
「へ?」
私何もしてないけど、なんで?
「第一印象で決めました。仕事内容お話ししますね」
ほんとに?もうそれ面談でもない気が…
「…このお店の植物の管理、掃除、時々来店される方の対応、時間は…」
朝から緊張していたソラは力が抜けた。
どんどん進む話を聞いて、女性の顔を見る。
女性にしては声が低いな。
あれ?
女性のような美しさだが、よく見ると…
「男の人だ」
呟いていた。
「あれ?女の人だと思ってたんですか?」
男性が目を見開く。
「すみません!失礼なことを口走りまして!」
やばい、恥ずかしさで体温が上がる。
「気にしなくていいですよ、自己紹介遅れてすみません。
橘甲斐と申します。それでは今日はこのくらいで、明日宜しくお願いしますね」
低姿勢でお店を出る。
「失礼します…」
やってしまった感が拭えない。トボトボ帰っていくソラ。
「女性か…」
180の長身、目鼻立ちの整った顔、さらさらの短髪。
このルックスでキャーキャー言われることはあっても、女性と言われたことはない。
甲斐は楽しそうに笑った。




