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振り返りもせずずんずん進む相棒にようやく気づいたグレンは慌ただしく走り出して、それから思い出したように振り向いて「それじゃあ、おれはこれで」と言い残す。
あの二人はなんだか、凸凹のような、似たもの同士のような。奇妙な関係……という表現は、シブキたちも含め、すべての龍と龍使いに当てはまるのやもしれないが。
異獣の消滅を確認して、静まり返っていた市街地に少しずつ人が現れつつある。
このままでは、李渦公園の時のように騒がれかねない。それはいい加減避けたいと思って、シブキと勇輝は互いに顔を見合わせた後、賑わいが戻る前に帰宅しようと歩き始めた。
帰路につきながら、シブキはまた顔をしかめて呟く。
「……にしてもやっぱり、引っかかるな。波動が乱れて視えなくなる……か。おまけに勇輝んとこに突っ込んできたクレナイスズメ、どう考えたって普通のスピードじゃあなかったし……」
「嫌な予感がする、な」
シブキの言葉を引き継いで、勇輝が言う。
「なんだよ、お前もか。っつーと、気のせいじゃすませらんねーよな」
「どちらにせよ、俺たちのやることは同じだ。考えても仕方ないことをいくら考えたってどうにもならない。今は支部の解析班に任せるしかないさ」
「ま、そりゃそうだ。俺らがうじうじ悩んでたってしゃあねーか。ありがとな、相棒」
「お前を支えるのが俺の役目だ、気にするな」
少し思い詰めていたのかもしれない――あの時と同じように思えたから。だとしても、自分たちにできるのは目の前の敵を倒すことだけだ。
心配事を振り払うように、シブキは夕暮れの空を見上げる。
カラスが二羽、はるか上空を横切っていった。
クレナイスズメ発生の翌日、繁華街が賑わう土曜の昼。
龍使協会日本支部ビル二階、支部長の招集を受けたシブキと勇輝が待合室の扉を開けた。
部屋には昨日会ったばかりの龍と龍使いが二人待っていた。日向とグレンだ。
シブキたちは六つ用意された席のうち、隣合う二つにそれぞれ腰掛ける。
「よう、グレン、日向。支部長は?」
「情報部から報告があって、そっちに行ってる。そろそろ戻ってくる頃だと思うが……ああ、ほら」
ついさっきシブキたちが入ってきた扉のノブがまた回り、柚木が顔を出す。少し神妙な表情をしているようにも見えたがそれは一瞬で、シブキと勇輝を見るなり、いつもの爽やかな笑顔を浮かべた。
「やあ、お待たせ。勇輝くん、シブキくん、突然呼び出してしまってすまないね」
「いえ」
柚木が扉を閉めたのと同時に、グレンの視線がきょろきょろと彷徨った後、柚木に合わせられた。
「律也、ヒョウ兄さんは?」
「ヒョウには情解課に残ってもらってるよ。何やら強い異獣の反応を検知してるみたいでね。僕もつきっきりってワケにはいかないから、彼に任せてきたんだ」
「……最近、多いな」
それまで黙っていた日向が口を開く。部屋の空気が少しぴりついた。
柚木も真剣な様子で、しかしなるべく緊張感を与えないよう穏やかな口調で「ああ」と肯定する。
「今日君たちを呼んだのはその件もあるんだ。先日、クレナイスズメの討伐を頼んだだろう?」
「おかしな波動のヤツがいたアレか」




