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ないチチびいき  作者: クロード・フィン・乳スキー
新世代篇 前編

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(貧)NEW GENERATION 第4話 大平野カクシコの虚乳

「あーら、呼んだかしら?」


 引き戸を開けて勢いよく入って来た者の顔を、うおるは事前に知っていた。


 彼女こそは、監視対象の大平野カクシコである。


 制服がきつそうだった。胸に巨乳らしきものをぶらさげていた。偽物であることはすぐにわかった。中太麺のように(ちぢ)れた黒髪を颯爽(さっそう)と揺らしながら、薄暗い部室に入ってきた。


 うおるは、任務を円滑に進める都合上、彼女に好印象をもたれる必要があった。しかし、うおるが()びを売りつける前に、板橋部長が、厳しい口調で言うのだ。


「うるせえ、呼んでねえ、帰れ」


「ちょ、ちょっと部屋に入るくらいいいでしょ。挨拶くらいさせなさいよ」


「いやだね。うおるは、もうわたしたち胸囲育成部のものだし、あんたのところには、別のイケメン枠が入ったんだからいいでしょ。節操なくヒトの部室まできて勧誘してんじゃないのよ」


「なあっ、まだ何もしてないじゃないの!」


「うおるは、胸囲育成部を選んだんだからね、あんたじゃなくて」


「そんな言い方しなくてもいいじゃん!」


「てか、あんたさあ、また今日も巨乳で恥ずかしいと思わないの?」


「わかってないわね。ド貧乳のまま何も手を打たないでいるほうが恥ずかしいわよ。育つ見込みもないものを、育成? 可哀想すぎて、笑えないわね!」


「見込みがないだぁ? なんでわかんだよ、そんなの」


「あたしには()えるのよ。あなたたち三人は、今後まったく育つことのない――」


 そこまで言いかけて、大平野カクシコは目を見開いた。視線は前玉うおるの胸に釘付けだ。


 視線に気付いた前玉うおるは、首を傾げる。


 言葉を失っていたカクシコは、やがて誰にも拾えないような小さな声で、呟くように、


「なに。あなた。その。極上の貧乳。世界最高じゃん」


 前玉うおるは深く頷いた。


「あなたに()()えるのね。貧乳オーラが」


 うおるが堂々と言ったところ、カクシコは声を震わせながら、


「で、でも、うおるとか言ったっけ? あなた、まな板まなまの『胸囲育成部』に入るってことは、巨乳になりたいってことよね! こっ、この、あたしのお胸様のように、豊満なボディを手に入れたくないかしら!」


「あの、カクシコ先輩。その胸、偽乳(ぎにゅう)のようだけど。どうして貧乳を隠しているの? お父さんが悲しまない?」


「なっ、あなたに関係ないでしょう!」


 うおるは冷静に返す。


「それに、情報によると、あなたは、『ないちち賞賛部』というグループの部長を名乗っているそうね。それなのに、部長が率先して胸を盛り、貧乳(ないちち)卑下(ひげ)しているのは、理解しがたいのだけど」


 その言葉に、板橋まなまが笑いを(こら)えきれなかった。


「ぷぷぷ、胸に突き刺さる言葉だなぁ、カクシコ。肉が薄くて痛いところを突かれたってところか!」


「ッ、あっ、あんたらぁ~。おぼえてなさいよ! 絶対にゆるさないんだから!」


 大平野カクシコは、涙目で部屋を飛び出していった。


 前玉うおるは、「敵対は望ましい展開なのかな」と不安げだった。


 板橋まなま部長は、ざまあ、とでも言いたげな愉悦(ゆえつ)の空気を隠さなかった。


 そして、比入ひのでは廊下に身を乗り出し、去っていく背中を、寂しそうな表情で見送っていた。




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