90.帰国へ
機械仕掛けの竜を破壊した事は問題になったが、膨大なアダマンタイトが得られた事でほぼ相殺され、三日間説明に追われただけで開放された。何よりドワーフ達が知りたかったのは、ミスリル合金をアダマンタイトに変える方法だったようで、変質したのは偶然であることを納得してもらうのに時間がかかってしまったのが原因だが。
そして戦いで血を流しすぎた事もあるのですぐオーディン王国に戻らず、休息を兼ねてドワーフの国に留まり鎧のオーダーした。機械仕掛けの竜の賠償でほぼ相殺されたとはいえ、約50kgのアダマンタイトが褒美として与えられたためだ。
私が手書きで書いたモノや意見を参考に、ドワーフ達が二週間掛けて作り上げられた鎧一式は、前世で着ていたものに酷似していた。無骨でアダマンタイト色である黒のフルプレートメイル。
「よし、動いてみろ」
装着が終わり、ドワーフ達が見ている前で体を動かす。
純アダマンタイト製故に薄く軽い作りでも、ミスリル合金を超えるほどの硬度を持つ素晴らしい防具、オーディン王国でも騎士団長クラスが身につけているモノと同等の代物になる。
「腕部の稼動テストだ。 受け取れ」
ドワーフに投げ渡された大斧を片手で受け取る。その腕の動きを見たドワーフは苦い顔をしてため息を吐いた。
「肘の稼動が良くない。 手直しするからまた明日こい」
自分自身では余りに気にはならないが、ドワーフの目から見ると稼動が余り良くないようだ。何日も掛けて試験と手直しを繰り返し、一週間ほどでようやく出来上がった
「後は少しずつ身にならせ。 ワシらにはこれ以上できんからな」
ドワーフ達も出来に満足し、ようやく鎧の調整は終りとなる。
結局2週間近くドワーフの国 ウルツァイトに滞在してしまったが、鎧は身に装着している感覚が殆ど無く、俊敏な動きにも柔軟な動きもにも対応し、関節の稼動に違和感さえない。
やはりドワーフ以上の鍛冶師など存在しない。見た目も正当な騎士とまでは行かないが、貴族として問題のない防具はこれで用意が出来た。あとはこれに合ったマントと剣くらいだが、残りは王都で用意しても問題は無い。最悪追加の装飾くらいなら、王都の鍛冶屋にでも頼めば良い。
メアリを連れてオーディン王国行きの魔導蒸気機列車に乗り込み、数ヶ月ぶりに王都へと戻った。
白瀬という男は、年数から計算して私が使命を与えられる前に自害していた。私の使命を果たすため、倒すべき転移者は
あと2人。
これをもって2章を終了いたします。
3章は1~2週間間を空けてから投稿を再開いたします。
タイミングは活動報告をご確認ください。




