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異世界に転生者は不要   作者: 赤崎巧
2章 各領地への遠征開始
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66.面倒な奴

 翌日、正式にB級冒険者として認められ、発効されていたライセンスの変更がギルドにおいて行われた。

 B級冒険者はC級に比べて権利が大きくなる。もちろん実力も認められるため、各依頼の報酬もそれに比例して大きくなり、収入もC級と比べて桁が違う。


「お断りします」


 B級ライセンスを得てから5組目のパーティーへの加入を断り、ため息をついた。さすがに勧誘が多過ぎる。


「あの、今度ご一緒に食事しながら」


「申し訳ありませんが、そういったお話はお断りさせて頂きます」


 一人で行動しているのもあるが、金や権利目当てで近付いてくる冒険者の数が多く、気が参ってくる。

 せめてエルとリーアナが居れば精神的に楽なのだが、今はラクシャとサーシャたちの元に居るので完全に一人。依頼中ならまだしも、ギルドに赴いたり食事をしているとき一人なのは本当に辛い。


「この前は散々世話になったなぁ」


 声に振り返ると先日床に叩き付けた男だ。取り巻きは止め様としているので、実力差が判っているようだが、当の本人がこれでは仕方ない。


「また床板に頭でも埋めたいのですか?」


「てめぇ、喧嘩売ってんのか! 雑用しか出来ない雑魚がよぉ!!」


 雑用とて立派な依頼、私はD級から始めてはいるが、大体の冒険者は最初に雑用をするし、中には本業の傍ら雑用依頼を受けているEやF級の者もいるくらいだ。

 先日の奇襲を避けられなかった事から考えて、せいぜいCマイナス程度の実力しかないように思えるのだが、もしかして私と同じB級冒険者なのだろうか。


「それならば立ち会ってみますか? これ以上ギルドの中を壊して修理費は」


「上等だ!」


 腰に下げていた剣を抜くと、まだ話の途中だと言うのに剣を振り上げる。血気盛んなのは臆病な冒険者よりはややマシな程度ではあるが。


「《ウッドドール:ギネカ》」


 床板を取り込みながら木の人形が身を起し、男の両腕を掴んだ。ゴーレムではなくドールなのでさほど力はないが、少々振り回されながらも剣を自由に振らせないようにしている。


「《ウッドドール:ギュネー》」


 二体目のウッドドールを作り出すと、二体掛りで男を床に押さえつける。


「奇襲を掛けて、力の弱いウッドドール二体に押さえ込まれて、それでもまだやりますか?」


 ギネカとギュネーは炎の舞姫と同じく、兄セズが契約した精霊ではあるのだが、余り用途がなく譲渡契約によって引き継いでいた。ゴーレム系に属する精霊ならまだ主戦闘にも呼び出せたのだが、人形であるため力にも強度にも優れないので、木材や石材では戦闘用途には使えなかった。


「あの、穴が開いた床を元に戻してもらえませんか」


 ギルド職員が困った表情でそう話し、意識を床に向けると結構な広さの穴が開いてしまっている。周囲の冒険者達も喧嘩はともかく、開いた床は面倒そうに迂回して歩いている。


「すみません。 すぐ元に戻しますので」


 ギネカとギュネーを送還し床を元の状態に戻す。


「くそっ! ぜってぇぶったおしてやるからな!!」


 自由になると男は床から立ち上がり、こちらを見ながら捨て台詞を残してギルドを出て行く。取り巻きの2人は勝てない事位は判っているのか、こちらに何度も頭を下げてから後を追って行った。

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