41.ダンジョンの鍛冶師 前編
何体かレッサードラゴンやオーガを倒し、ダンジョンを徘徊していると、初めて通路ではなく扉のある部屋を見かけた。
こういった部屋には何かしらの、魔の力が宿ったアイテムがあるのだが、それに惹かれた強い魔物がいるため注意が必要だ。
ゆっくり扉を開けて中をみるとそこは倉庫。しかし武器だけではなく炉や金床が置かれており、何かしら知性が高い魔物がいるようだ。
「侵入者?」
「まずは様子見」
「殺しちゃえばいいよ!」
声のほうを向くと、三者三様というか三顔三様、顔が全て女性のオーガ亜種が、部屋の奥にある椅子に腰掛けていた。
オーガ亜種の腰布だけと異なり、きっちりと服らしきものを着用し理性が見て取れる。まともにやって勝つには相当リスクを負わなければ無理だ。
オーガ亜種のユニーク種、知性が人並みに高く、敵とすればB級に匹敵する恐ろしい相手だ。ダンジョン内の一室を設けていることを考えても、かなり特殊なように見える。
刺激しないよう剣を取り出さず、酒樽を倉庫から出しその場に置くと、三顔が一様に見る。今にでも酒樽に手を出しそうな表情だ。
「酒と交換で剣を打ち直して貰えませんか」
炉があり金床がある部屋。それならと思ったのだが、酒樽をじっと見た後警戒を少し解いてくれたのか、椅子から立ち上がると酒樽を掴む。
「まずは酒だね?」
「話は酒が先」
「もっと酒をよこせ」
ラクシャ達用にと買っておいた大樽を合計3個ほど空け、一応に満足したのかその場に座ると左の3腕をこちらに開いて向けた。
「それで?」
「どれを打ち直して欲しい」
「とっとと出せ」
バッテリングラムを両手でもったまま差し出す。第一右腕で持ち上げ、第二右腕とあわせて軽々と振り回してみせる。
残った6本の手で叩いたり撫でたあと、金床の上に置いて考えるように首をかしげていた。
「ただの鉄作りにしては丈夫?」
「人にしては良い出来。でも人には大き過ぎる」
「屑鉄」
金床の上に置いてハンマーで軽く叩き、何かを確かめているようだ。しかしその表情はあまり良くない。
オーガの視点から見て色々足りていないのだろうか。
「一からやり直し?」
「魔鉄を混ぜて打ち直し」
「設計思想から直す」
こちらを振り向かず炉に火を入れると作業を始めた。その表情は真剣そのものでこちらが何か言う隙はない。
「二日掛かる?」
「明後日追加の報酬を持ってきて」
「酒だ酒」
それからこちらに意識を向けることはなく、そのまま炉を調整したり道具を用意したりと忙しくしており、邪魔しては悪いと静かに部屋を後にしたあと、レッサードラゴンとオーガを狙い続けた。
投稿更新を忘れてました。 執筆の遅れではなく失念ですので、明日も投稿はあります。




