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マーヴェラスだぜ!

ここは崖と谷に囲まれた『ロックエリア』……デコボコした岩地を首に青いバンダナを巻いた少年が走っている。


「ハァッ……ハァッ……あっ!?」  


少年が石につまずいて転んだ。



ハンマーを持った身長三メートルはありそうな『竜族』の男が現れ叫んだ。


「やっと追いついたぜ……手こずらせやがって!人間がぁ!大人しく食料になりやがれ!」



「……くそっ!」


『人間族』の少年『シン・ブルースフィア』は怪しげな武器屋で破格の安さで手に入れた細身の剣を抜いた。

 

「お前、そんなんで俺様に太刀打ちできると思ってるのか?」


「うるせぇぇ!やらなきゃわかんねーだろ!」


ガキン!少年の剣は竜族の堅い鱗に傷一つつけられずあっさりと折れた。


「はい。終わった……俺の人生……」


「安心しな……お前は俺の血肉になって生き続けるんだ……」


竜族の男は小柄なシンを一呑みにできそうなほど大きく口を開いた。


(マジで詰んだ……)


シンが死を覚悟した瞬間……


「うるせぇなっ!」


という声が崖の上から聴こえてきた。


「……誰だ!」


「誰だ!じゃねーよ!やかましーんだよ!俺の昼寝を邪魔しやがって……」


「うおっ!」


シンの前に男が降ってきた。

右目には眼帯、背中には大剣……はだけた胸元に埋め込まれた青い宝石……異様なオーラを放つ男だった。


(こいつ……崖から飛び降りてきた!?嘘だろ!?数十メートルはあるぜ!?)


「な……なんだ貴様は……人間ごときが竜族にデカい口を……」


そう言いながらも竜族の男は後ずさる。

男から発せられる異様なオーラに怯えているようだった。


「ちくしょう……ウオォォォッ!」


竜族の男は雄叫びをあげた。


「だからうるさいと言っているだろう!」

 

「デカい口叩くのもこれで終わりだ……向こうを見ろ!」


「あん?」


ズン……ズン……地鳴りのような音をたてて竜族の大軍がこちらに向かってくる。


「どわー!や……やべーよ!コイツ仲間を呼びやがった!誰だか知らんがおっさん!逃げよーぜ!?」


「誰がおっさんか!何ビビってんだお前?ひーふーみー……かったりぃ。たかだか数十匹の竜族相手に何で逃げなきゃなんねぇ?俺がスカーレットとワーストの城に乗り込んだ時はもっとやばいモンスターがわんさかいたんだぜ?」

 

「スカーレット?ワースト?なに言ってるかわかんねーよ!」


「わからない……?時代は変わったな……」


「てめぇら!舐めやがってぇぇ!おいみんな!クソ生意気な人間族だ!喰ってやろうぜ!」


「って……だぁぁぁ!今度こそしんだぁぁ!」


「うるせぇ!パーティータイムだ馬鹿やろう!恐怖を楽しめ!」


男は大剣を片手で抜いて構えた。












☆彡


「すごい!本当に動いてる!」  


「マリ。当たり前だろう?それがアニメだからな」


と言いつつ愛之助も興奮を隠せない。

『謎の誘拐事件』から一年後……

『異世界最強マーヴェラス……の弟子』はアニメ化された。


ネットでしか試聴できない五分アニメだがやはり自分のキャラクターが動いているのは感慨深い。



「やったー!倒したー!」


「そりゃそういうシナリオだからな。うむ」 


主人公『シン』の師匠となる最強キャラ『マーヴェラス』が竜族を一太刀のもと葬った。


(うぅむ……我ながら爽快なシーンだ。さぁいよいよマーヴェラスの決めゼリフだ!)









『マーヴェラスだぜ!』


(ん?) 


「騎士……?」



(どうかしているな……)



愛之助は目をこする……アニメのマーヴェラスの爽やかな笑顔と騎士の気持ちの悪い笑顔がダブって見えたのだった。







次回作『異世界最強マーヴェラス……の弟子』をお楽しみに!


おちまい

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