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ガールズ・バトル・パーティー  作者: 自粛城男
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9/9

⑦.5 文字に残しておきたくて

8月××日

いよいよ今日がわたしたちのメタニカの初ライブだ。

そして最初で最後のライブだ。

ある事情、どうしようもない理由から留美さんがメタニカにいることができなくなった。

続けようっていう出す人は誰もいなかった。

メタニカは5人でメタニカなんだ。


いよいよライブのスタートだ。

1曲目はアニメのタイアップの曲のカバー。

イントロはなくて、わたしの歌いだしから始まる。

イヤモニからクリック音を流れる。

声量に自信がないからPAさんに言って、私のボーカルの返しを目いっぱい上げてもらっている。


よし、歌いだしは完璧だ。

ベースとドラムが入ってきた。(とそう思う)

このまま頑張って、、


あれ??


なんとなく客席の様子が変だ。


何が起きたんだろう。


もしかして?


多分、あたし、みんなとずれちゃっているのかな?


でも、どうすればいいのかわからない



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いち早く異変に気付く留美


・・・ああ、麻衣子さん完全にずれてるわね、こっち(バンド)のテンポと・・


・・・本人はまだ気づいていないのね。多分、こっちの音は聞こえていないわね。・・・


・・・さて、どうするのかしら、止める?あ、でも私が決めることではないか・・・



留美は、華麗なターンを決めて、ドラムの三葉うさぎのほうに向きアイコンタクトを図る。


・・・うさぎ、どうする?このまま続ける?・・・


言葉を交わさなくても気持ちを通じ合える仲間たち


・・・留美、このまま続けるよう・・・


・・・うさぎ、じゃあ、私がなんとかするわ・・・


今度は、留美は、筒ヶ谷桐子と目を合わせる


・・・留美、わかった、このまま続ければいいんだね・・・


桐子は、うなづく。


富家満智七海もわかったとアイコンタクトを送る。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、留美は、麻衣子の横に。



・・留美さんが私にジェスチャー?・・・


・・耳を触って?離すしぐさ?・・・


・・え、留美さん何?イヤモニを外せってこと・・


・・そんな事したらわたしリズムがとれなくなるよ・・・


・・でも、今は、留美さんを信じるしかない・・



わたしは、イヤモニを外す。


・・・ドラムの生音、アンプから出てるギターとベース音・・・


・・・ごちゃごちゃになって何がなんだかわからない・・・


・・・桐子ちゃん、なんでそんなにアンプの音上げるの!・・・


・・・うさぎちゃん、おかずが多いよ、そのリズム複雑すぎだよ!・・・


・・・七海ちゃん、この曲ならそんなウォーキングベースなんかしなくていいじゃん!・・・


・・・みんなが悪いんだよ!もうだから仕方ない!・・・


・・・あっ留美さんが、優しい顔で、私を見つめている・・・


・・・優しい目、いままで見たこともない留美さんの目だ・・


・・・私のほうを見てと言っているように・・・


・・・安心する・・


そして、留美さんは私にバイオリンを向ける


・・あ、この弓の動き!・・・


・・まるで指揮者のようなこの動き!・・・


・・4拍子だ!私にもわかる・・・


・・音は全然聞こえてこないけど・・・


・・留美さんの弓の動きが、その音は、聞こえてこないけれど、段々とリズムになって聞こえてくるみたい!・・


・・あ、それに合わせて、いままでバラバラに聞こえてきた音が!・・


・・ひとつのハーモニーになってくる!!・・


・・これがメタニカのハーモニーなんだ!!・・


・・間違っていたのは私だ・・・


・・バンドなのに・・・


・・みんなの音を聞いていなかったのは私だ・・・


・・もうすぐBメロが終わる・・・


・・でも、大丈夫だ・・・


・・今はちゃんと聞こえる、メタニカのハーモニーが・・・


・・Bメロ最期のロングトーン、ここが最後のチャンスだ・・・



そしてサビに突入する。




「うぉおおおおおおおおおおお!!!!」




観客の歓声が上がる。


「まじか?!立て直した!」

「えっ、なんでどうして?」

「これ演出?いや、こんなの狙ってできるはずがない!」

「なんだ、単なる奇跡か!」

「凄い、めちゃ奇麗なハーモニーになってる!」

「俺、きょうからメタニカ推しでいきます!」

「くそおお、メタニカ解散すんな、ばかやろう!」


感動に涙を流している観客もいる。


SNSにも驚きと賞賛と感動の言葉が絶え間なくあふれている。



・・もう涙があふれそうだよ・・・


・・でも、泣いちゃだめだ・・・


・・みんなが助けてくれた・・・


・・この曲も、次の曲も、最後までちゃんと歌いきる・・・


・・だから今、泣いちゃダメなんだ・・・



麻衣子の透明感ある歌声が、響いていく。


そしてそのステージは、メタニカの最期のステージは多くの人に感動を与えて幕を閉じる。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ステージが終わった楽屋裏。

楽屋裏には、ドールズたちが駆けつけていた。


「留美さあああああん、わたし、わたし、」

涙を流しながら留美に抱き着くましろ。

「あ、麻衣子も頑張ったね、まー、ゆーても、俺もまじやばいかと思ってたけど」

「留美!かっこよかったよ、男前だったよ」

麻衣子を強引につき飛ばして、留美に抱き着く桐子。

「桐子、お前はうざいわ、離れろよ。」

「いや、この手は離さないから♪」

「何故、途中から歌う?まあ、これで俺も、もう、こんな格好しなくていいかと思うとすっきりするわ」

「わたしたち、本当に今日で最後なんだね」

「三葉、仕方ねえだろ、法律なんだし」


「派遣形態等による音楽演奏サービス等に際しての複数演奏者等の構成等に関する法令。」

一般的に「ドールズ法」と言われている法律では、男女混合のバンド編制が禁止されている。


「まあ、俺もメタニカがなくなっても、バンド続けるからお前らもバンド続けろよな」

「『ひるまり』だっけ?留美さんの新しいバンドの名前」

「ああ、明日から練習と曲作りに入るよ」


「じゃあ、桐子ちゃんとうさぎちゃんはうちにおいでよ」

楽屋にきていたパなんとかの丸川綾香が提案する。

「ギターの姫子ちゃん、ドラムの真美ちゃんがうちを脱退するんだ」

「えっ姫子さんはわかるけど、真美さんも?どうして」

「桐子さん、自分、実は男娘なんすよ」


えええええええええ????


「いままで隠していましたけど、そろそろやばいかなと」

「じゃあ、『ひるまり』に加入すればいいのに、ちょうどドラムいないし」

「富家満智さん、そういう話もあったんすけどね、でも自分、長いこと男娘やってるんで、髪きったくらいじゃ、見た目変わんないすよ、メイクしなくても可愛いっすし。まあ、自分も、パなんとかの印象が薄くなっていけば、そのうちに参加するかもしれないすけどね。」


「アザリアは、富家満智七海を指名するわ」

「明菜そうだね。俺もそれがいいと思うよ」

「富家満智さんがほうが、律子よりうまいと思うわ。」

「あちゃああ、まあ、それは、そうだね」



・・・あーあ、これでまた私は一人か・・・


そういってうつむく麻衣子。


「麻衣子、あなたはなんで笑顔じゃないの?」

「弓巻さん、それはその・・・」

「じゃあ、常に笑顔ができるようになるまで、こうしていなさい。」


パチッ


そういって指を鳴らし、黒服に合図を送るこころ。


「きゃああ、やめてください」


悲鳴を上げる麻衣子。


「うん、サイズもぴったりだわ」

「儚いね」

「ふぇー、心美ちゃん、ちょっと強引だよ」

「あれ、麻衣子ちゃんどこ?」


そこにいたのは、白いクマの着ぐるみだった。


「倉木麻衣子、あなたは2代目マイケルに任命する。世界を笑顔にする手伝いをなさい」



こうして、私の新しいバンドでの日々がスタートする。

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