決まりだね! 君たち
憲太はおもわず愛里に駆け寄っていた。彼女の身体は激しく痙攣していた。愛里の肌は焼けただれたかのように赤くなり、物凄く熱を発していた。
「フォッシャーさん、これは?」
憲太はあたふたしていた。するとフォッシャーは淡々といった。
「これか? ほら、風邪を治す薬は苦いものだし、熱が下がる前はさらに熱が出るだろ? これは劇薬みたいなものさ、身体を作り変えるものさ」
作り変える? それっていったいなんなのか分からなかった。もうちょっと説明してくれと言いたかったが、臥せっていた愛里が顔をあげると元の顔になっていた。彼女は鏡を見ると嬉しそうにしたが、変な事を言い出した。
「フォッシャーさん。なんとなくわかりました。わたしって・・・あなたと同じなのですね」
愛里はなにかを悟ったようであった。それは憲太も同じだった。あんな気色悪いモノを服用しても良い効き目があるなんて、普通の人間ではないと。
「そうだよ、君も憲太君も・・・そういうことさ。じゃあ、決まりだね! 君たち」
なんら説明らしい事を語っていないのにフォッシャーの勢いに思わず二人はうなずいてしまった。これから何が起きるというのだろうか? そう思っていると思わぬことを言い出した。
「そうそう、愛里くん。ひとつ忠告するとあんまり怒ってはいけないよ」
「どうして?」
「君の場合は感情の激しい起伏によってこれが呪詛が発動するんだよな。発動したら一つ目少女になってしまうから。それと、仕事によってはさっきの姿になってもらうからね」
「はあ?」
愛里はあっけにとられていた。どうも完全に克服したわけではないんだと。
「そういうことさ、でもさっきの薬を飲めば戻るから心配ご無用!」
「それじゃあ、わたしって興奮したら、さっきの何とも言い難い苦痛を受け入れないと元に戻れないってことですか!」
愛里が興奮しそうになったので、フォッシャーはなだめていた。そんなことをしたら一つ目少女になってしまうと。そのあと、フォッシャーは二人に雇用契約書を差し出して署名捺印させた。これで二人はフォッシャーの謎の職業「妖怪料理人」になった。ここから二人のトンデモない経験が始まった。
なんと三年ぶりの続編です。三年前に個人的に不幸がありまして、憲太たちのことを忘れておりました。ようやく憲太たちが戻ってきてくれましたので、再開します。次章では妖怪専属の料理人としての活躍をやりますので、ご期待ください。




