それにしたってどういうことだ?
ここ半月で起きた事を思い起こすと、変わったことばかりであった。回転すし屋をリストラ、しかも自己都合退職でクビになって、なぜかクビになった人間の送別会を開いてもらったり、馴染み客だったフォシャーさんが妖怪だったり、俺がネットに元の勤め先の不正を暴露したと追及されたり、自分に妖怪の血が流れていて、その原因はお袋が八百比丘尼の子孫だから・・・
「お袋、長寿の理由が八百比丘尼だというのはわかった。でも、それなら単に長寿なだけだろ? なんで親子揃って妖怪という事になるのだ?」
そうお袋に聞くと、何故かお袋は仕方ないわねえといった表情をした。
「お前にどうして言わなかったかというと、お前が知らない方がいいと思ったからだ。まあ、長寿ならそのうち科学技術が進歩して誤魔化せたと思ったけど。しかたないわ。それは八百比丘尼が長寿になったのは妖怪の人魚と一体化したためだよ。風説では人魚の肉を食べたからとされているけど、実は人魚が八百比丘尼の元になった人間の娘の身体を食べ乗っ取ってしまったんだ。でも、その時にその娘の精神力が勝って意識だけ元の娘のものに書き換えられた。本当は人魚の化身ということなんだ。だから私たち親子は妖怪の血を受け継いでいるのだ。でもね人魚の妖力によって長寿だけど残念ながら不老ではないわ。まあ生きていくのは呪いというわけなんだ」
「てっことは、俺は呪われているわけなんか? でもそんなこと教えてくれないなんて悪くないか? お袋!」
「ごめんごめん。まあ長寿だからと言って無茶苦茶な人生を送ってもらいたくなかったからだ。でも、お前は高校を卒業してからフリーターになるわ、就職したと思ったらリストラされたりするから、人と違って破天荒な人生を送っているけどもね。まあ、そこんところは父さんと一緒だね。そうそう実は八百比丘尼は生きているのだ。まあ、本人は木乃伊のように朽ちかけている姿を見せたがらないけど、知っているだろ、その人の事を」
「まさか、お袋のひいひいばあさんだという碧島に住むババアか?」
「そうだろう。お前気がつかなかったんか? 私が戸籍上52歳でそのひいひいばあさんが何歳かという事を」
「しかたないだろう、何度聞いても耳が遠いのか歳を言ってくれんからな、あのババア、シワだらけだし即身仏のようにひからびたかのように動かないし」
「まあ、今年1238歳だったかな? わたしも子供のときに見たときと変わっていないし。まあ、ああやってゆっくり動く事でほぼ永遠に生きれるそうよ」
「1238歳? でも八百比丘尼は八百歳という意味じゃないの」
「ああ、それねえ。聞いた話では八百歳まで生きたところで死んだ事にしたからだそうよ。それが戦国時代の話で、それからずっと碧島で隠者として永遠の生の苦しみを味合うそうよ。でも最近ではテレビにラジオを見たり聴いたりするのが楽しくって仕方ないといっていたけど」
「なんか長生きというのも面倒くさそうだな。それよりも俺、プー太郎だろ今! 取りあえず、あのクソ会社の有給休暇が終わるまで遊ばせて欲しいけど、あとはなんとかするから。お袋!」
「ようやく、次のことを考えてくれるようになったのかい、憲太! まあよい、お前寿司が握れるだろうしネタもさばけるだろう。そしたら紹介したい職があるから、その時が来たら連れて行ってやる!




