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魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
65/145

vsルシファー

 相手がどのような攻撃を仕掛けてくるか、分からない以上、こっちから下手に動くわけにはいかない。

 戦いには紳士もへったくれもない。弱いものが負ける。それが真理だ。

 俺だって、今までに胸はって勝ったと言えるような勝負は数えるほどしかないのかもしれない。

 ただ、泥臭くても、卑怯でも勝てば、それは勝利となる。どんなに後味か悪くても、自分が負ければ、残るのは惨めさだ。

 前にロロちゃんに言ったこととは矛盾してしまうかもしれない。でも、あの子には、挫けずに進んでもらいたい。

 今回負けるようなことがあれば、ロロちゃんはルシファーのことを信じていけるのだろうか。

 今までに培った俺たちとの絆はなくなってしまうのだろうか。

 そんなことはしたくない。これからも、ロロちゃんと旅を続けるために、俺は剣を取る。


「なかなかにいい面構えのようだな」


「ごあいにく、戦いの時までヘラヘラしながら戦えるほど強くないんで。姿勢だけでも、立派に見せとかないとな」


「それがハリボテかどうか、確かめさせもらおう」


 ルシファーは杖を構えた。そういえば、魔法使いの国にいたんだ。リーチェルさんを狙ったのも、高度な魔法を操るためだろう。ただ、リーチェルさん自身が有名な資産家だからといって、高度な魔法が使えたかどうかはイコールではないが。


「マギア・イクリプス‼︎」


 魔法を唱えると同時に、その波動を俺たちに向けて放ってきた。

 広範囲系かよ……!

 だが、俺たちより前に立ちはだかって、その魔法を相殺した姿があった。


「ほう。私の魔法を止めたか。やるではないか」


「この魔法……闇属性の魔法ですね?」


「それって、人では使うことができないって……」


「ふふふ。その通りだ。私が使う魔法系統は闇属性!今のはほんの小手調だ」


「マギア・イクリプス……確か、相手の力を奪う魔法ですね?」


「厳密には、奪うではなく、一定時間消失させるだけなのだがな。勝負事に綺麗事も何もあるまい」


「ええ、そうですね。綺麗に勝ちたいなんていうのは、幻想ですから。どんな手を使っても勝てばいいんです。……たとえ、この手を汚してでも」


 ウィナの目が冷たいものになっていく。スイッチが入ったのだろう。ああなると、よほど止められる奴はいない。魔王ですらも、相殺するので手一杯だったはずだ。

 あの時より、ウィナはさらに魔法に磨きをかけ、強くなっている。

 このルシファーがどの程度の強さかは知らない。

 だが、ウィナにばかり任せているわけにもいかない。


「俺たちがいるのも忘れるなよ」


 スターと共に、剣先をルシファーに向ける。

 ルシファーはニヤリと悪趣味な笑みを浮かべた。


「さて、その虚勢がいつまで張れるかな?」


「さあな。だが、お前も悠長に話してていいのか?まあ、こちらとしてはその方がいいんだが。お前が何を意図して、俺たちに戦闘を仕掛けてきたのか聞きたいところだしな」


「意図……か。意図というなら」


 俺たちの方を向いて話していたかと思うと、急に後ろを向いた。

 そして、背後から攻撃を仕掛けようとしていた、アリスとロロちゃんをけん制する。


「ふむ。突っ込んではきていなかったか。だが、私が移動していたのを見過ごしていたとでも?」


 今まさに、攻撃をしようとしていた二人は武器を構え直す。

 ただ、戦力的にニ、三で別れたために、向こうの方が防御力の面では脆くなっている。

 それはルシファーも重々承知だろう。ただ、ロロちゃんのことを知っていることを鑑みれば、ロロちゃんに対して何か施したいというところか。


「散らばってしまっては、全体に攻撃するのは面倒だな。勇者たちに攻撃することはやぶさかではないが、姫に攻撃をすることは私の本意ではないのだ」


「じゃあ、ロロちゃん爆弾を使うか」


「私を特攻攻撃に使うなー!」


 聞こえていたらしく、反対側から猛抗議される。いや、俺だって最終手段だと思ってるぜ?手立てがない場合にはなりふり構ってられないからな。


「ロロちゃん大丈夫だ!ロロちゃんを投げられるのは俺ぐらいしかいない!」


「そーいうことを言ってるんじゃない!」


「茶番はいいか?」


「気張ってばっかりじゃ、こっちとしても体力がないのばっかりなんでね。少しぐらい休み休みやっていかないとな」


「なめられたものだ」


「とりあえず弱点はわかった」


「ほう?」


「憑依するには、憑依する媒体の体力が必要だ。要するに、ある程度痛めつければ、お前は憑依してるのが困難になる」


「ふ。先の戦いで学んでいるようだな。ただ、知り合いの親だ。貴様に手を出すことができ……」


 スピードが戻ったためか、下肢がしっかりしたようで、踏ん張りが良く効く。

 ルシファーが話してる間に、とりあえず遠距離攻撃を仕掛けた。


「貴様に躊躇いはないのか!」


「いや、仮にも戦いに卑怯も何もないと言ったのはお前だぞ。俺は俺のルールに従ってやるだけだ」


「貴様のルール?」


「知り合いだろうがなんだろうが、害をなすならぶっ倒す!(女の子を除く)」


「女子には手を出さぬか。いい心構えだ。たとえ親でもその精神を貫くとでも言わんがごとくだ」


「親父なら、やれるものなら亡き者にしてるよ」


「ここまで親をないがしろにする子もいたもんだ……」


 関心されてしまった。


「まあ、そろそろ雑談はやめようか。さて、私を楽しませてくれ!」


 と、言われたものの、俺自身未だに戦闘能力が向上したとは言い難い。

 特攻して倒せる敵ならいいが、今の戦力では逆に返り討ちなのが関の山だろう。

 ただ、魔法主体というのならば、あの詠唱速度の速さといい、距離を取りながら、相手に攻撃を加えていくのが、主な攻撃となるだろう。

 俺たちが潜り込める隙があるならば、魔法を回避し、次の魔法を使うまでのタイムラグの間だが、そういった隙を見せるようにも見えない。


「スター。ちょい耳貸せ」


「なんですか。作戦会議なんて今更ですよ。しかもてきをしょうめんにして。もっと、臨機応変に適宜自分でやっていくべきだと思います」


「そう言うな。すぐ終わっから」


「……言ってみてください」


 抵抗するだけ無駄だと踏んだのか、諦めて耳を傾けた。

 俺は、作戦を伝え、即座にダッシュに切り替える。

 スピードが戻った今なら、撹乱も可能だろう。ただ……


 ブンッ


 剣の扱いが、元に戻ったわけでもなく、前より上達したというわけでもないので、基本的に速さについてこられるのなら、避けることはたやすい。

 ルシファーがどうなのかは知らないが、基本的に魔法使いというのは、攻撃や防御を捨てて、素早さに重点を置いているのだ。先手や回避が取れればそれだけ自分にチャンスが回るとの云々。

 要約すれば、俺の剣はルシファーに避けられたということだ。

 だが、それも計算済みだ。

 体勢を崩した状態で2撃目は避けられまい!


「マギア・インパクト!」


「ぐおっ」


 俺に向けて、魔法を放ってきた。

 ただ、詠唱してる時間もなかったためか、威力は弱く、多少飛ばされただけだ。

 だけど、これで十分だ。


「食らえ‼︎」


「甘い‼︎」


 スターの攻撃も避け切り、体勢を立て直す。

 だが、スターとルシファーの頭上に巨大な火の玉が落下してきていた。


「お、おいおい。味方ごとこれかよ」


 火の玉はその場に出現させたらしく、重力に逆らうことがない。

 人が使う魔法に、人に対する害はない。それを見越した上での魔法だ。

 ルシファーがそれを知ってるかは知らない。

 だが、リーチェリさんの知識としてそれは知ってるものなのかもしれない。

 だが、既に2メートル付近まで迫っている。テレポートでも使えない限りは、避けるのは不可能だ。

 テレポートにも長い詠唱が必要であり、そもそも使える人自体が少ない。7大悪魔とでもなれば使えるのかもしれないが。

 火の玉が地面に衝突し、その勢いで衝撃波を放つ。

 おいおい、あいつの言葉じゃないが、火の玉自体に害はないとはいえ、その副作用に害があるんじゃないのか?


「チィッ、なかなかやるではないか」


 なんか余裕ぶってるけど、頭が切れたらしく、血がダラダラ垂れてますけどあなた。

 どうでもいいけど、血も赤色なんですね。

 まあ、人の体使ってるから、赤色じゃなかったら、それはそれで問題なのだが。


「いかんな。これでは契約に反してしまう」


「契約?」


 そういえば、一応憑依するにも乗っ取られる側の同意が必要なんだったか。どうして、リーチェルさんも悪魔との契約に同意したのか。それが自分にも利があることだったんだろうか。

 でも、今はそれは後回しだ。

 一瞬、風が吹いたかと思うと、リーチェルさんの体は横たわっていた。

 そして、一度目を上に向けると、翼を生やした見た目は、それこそ悪魔と形容するに相応しい姿だ。


「さて、第二ラウンドといこうか」


「…………」


 やっぱり一筋縄ではいかないか。

 空を飛ぶ以上は、その動きを止めていく必要がある。

 ただ、マモンのようにアホではなさそうなので、下手したらずっと、上空で攻撃を放ってくるかもしれない。

 そうした中での対処法があるんだろうか。

 いや、あいつらではきっとわからない。だから、俺とウィナでそれを先導してやらないと。

 ウィナと視線を交わして、俺は剣を握り直し、空へ目を向けた。











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