#2 走る意味
あるとです。
GT7にアプデが来たので、すぐ遊びました。
トゥインゴのウインカーって、
涙袋みたいで可愛いですね。愛着湧きます。
まぁ、すぐに魔改造したんですが……。
富士見台展望台駐車場。ジュンの向かったこの場所に、ついさっきすれ違ったばかりのS13シルビアが止まっていた。(さっきのだ……ん?)
R32のヘッドライトがS13に当たると、暗くてよく見えなかった車の詳細が鮮明に見えた。(暗くてよく分かんなかったけど、ワンビアだったのか、このS13。)
ワンビアとは、シルビアのボディに、180SXのフロント部(左右フェンダーやフロントバンパー、ボンネットなど)を移植したニコイチカスタムの事である。
ジュンは、そのS13の真隣に車を停める。エンジンを切って一息つくと、ワンビアのオーナーであろう男がジュンのもとにやって来た。
もっとも、この駐車場にはこの2台しかいないので、ワンビアのオーナーで確定だが。ワンビアの男はR32の窓をノックする。
(若いな……俺より年下っぽそ。それに、なんかイケメンだし、モテんだろうな。)ジュンが窓を覗かせるワンビアの男に対する第一印象はそれだった。
「地元の方ですよね、ここら辺に自販機ってないですかね?喉乾いちゃって……。」ジュンが窓を開けると、ワンビアの男はジュンにそう聞いた。
「自販機ぃ?自販機は麓にしかないと思う、俺はいつもそこでしか買ってねーから分かんねえや。」「そうですか……分かりました、ありがとうございます。」
ワンビアの男は軽く頭を下げ、車に戻ろうとした。「パワー出てるんだな、そのS13。CAエンジンにしては、中々なもんだろ。いくつ出るんだ?」
が、ジュンはわざわざ車から降りてまで、彼の歩みを止めた。ついさっき走っただけで、彼のワンビアに興味が湧いたのだ。
たった一瞬で、レベルの高いドライバーだとわかるほど、走りも車も、完成度が高いものだと見抜いたのだ。
「……300馬力以上。ターボの過給アップやECUの書き換えだけじゃなく、燃焼効率のいいのカムシャフトに変えて、7800回転まで回る高回転型エンジンにチューンしたんです。」
ジュンの想像通り、エンジンのチューニングメニューとしては完成度が高い。ノーマルでも200馬力に満たないCA18DETを、300馬力以上にまで引き上げていた。
「中々のスペックだな。でも、そのパワーバンドじゃ足が追いつかないはず。やっぱサスとかいじってんだろ。」
「そりゃそうですよ。250馬力あたりで、ストリート用のスポーンサスペンションに変えましたね。アライメントも取りましたし、パワーをきちんと路面に伝えられる。」
淡々と語るワンビアの男。ジュンは腕を組みながら、ゆっくり頷く。「……じゃなきゃ、あのコーナーの安定感は出ねぇだろう、納得だ。」
「この峠みたいな、中低速コーナーが連続する場所じゃ、このシルビアには絶対勝てない。実際、ホームコースの第二いろは坂じゃ、今のところ"無敗"ですし……。」
無敗。ワンビアの男は、そうしれっと言ってのけた。(すげ、言い切りやがった。でも、今の話とさっきの走りを見た感じ、あり得る話だな。)
普通なら、ハッタリか自慢にしか聞こえないような事。が、彼の走りを間近で見たジュンは、その事が本当の話だと分かる。
『走り屋の言葉の全ては、走りに映る。例えどんな奴が何と言おうとも、言動が走りに勝ることはない。』
岡本が過去にこう言っていたのを、ジュンはよく胸に刻んでいた。だからこそ、彼の話を信じていた。
「……アンタはこのもみじラインでも、その無敗の記録を更新し続けるつもりか。」
「……正直どうでもいいんです、最速だなんてのは。」ワンビアの男は、あっさりと言い切った。「……どうでもいい?」「はい。」男は頷く。
「俺は、勝ち負けとか記録とか、そういうのどうでもいいんです。俺は、走るからこそ分かる事、走らなければ分からない事。
走りつづけて何かが分かれば、自分の為になれば……俺はそれでいいんです。」迷いのない、男のその言葉。ジュンは数秒、何も言わずにその言葉を受け止める。
「……俺には無理だわ、それ。」ジュンはポケットに手を突っ込み、少しだけ笑って言った。
「負けたくねぇし、負けたままってのも嫌いだ。この前、すげー速いランエボとバトって、結局ボロ負け。
でも、そのまま終わっていいかって言われたら、俺はそれ絶対無理。また走りを鍛えて、その内リベンジ挑もうと思ってる。」
ジュンはまっすぐ言い切った。その目には、男と同じように迷いがない。「勝たなきゃ満足しねえからさ、俺。」
「……いいと思います。迷いや無駄が無い心構えは、僕は好きですよ。」一瞬だけ間を置く。「……自販機は麓にあるんですよね?」
男は改めて、ジュンにそう問い直す。「あぁ……麓だ。」ジュンは、この先何が言われるのかを確信しながらも、男の言葉を待つ。
「そこまで、バトルしません?ついさっき、まだ五分程度の実力で走ってたでしょ、本気を見せてほしいんです。そっちのRこそ、ただ者じゃ無さそうだし……。」
「……いいのか、今の俺で?」ジュンは静かに問い返す。すると、ワンビアの男はほんの少しだけ笑って言った。
「今の状態じゃ、僕と戦っても十分に相手できないと?いいえ、十分ですよ。僕は自分よりも速い相手にしか挑まないので……。」
男の言葉の意味を察するジュンは、少し照れくさそうな顔を見せるが、すぐに自分が浮かれていることに気づく。
「……分かった。その挑戦、受ける。」そう答えた時、ジュンの目は澄んでいた。覚悟とバトルに対する興奮。
ジュンは、久しぶりにレベルが同じそうな走り屋が現れて、心の底から嬉しかったのだ。「……そういや、名乗り忘れてましたね。香取宏一です。」「内山准。」
2人はそれぞれ短く名乗る。間を置き、ジュンは車に戻る。「さ、始めるとすっか。その300馬力のパワーが伊達じゃねーって事、キッチリ見せてもらうからな。」
「……上等。」香取も車に戻り、エンジンをかける。(行くぞワンビア……GT-Rは今までに何度も負かしてきたんだ。
コースが違う事に対するギャップは、多少程度の問題。この位、なんてこと無い。)香取先行。ジュンも異論無し。
2台が縦に並ぶと、バトルの舞台は完全に整った。(……ここは俺のホームコース、ここを一番よく分かってんのは俺だ。外部の走り屋ごときに負けてんじゃねぇぞ俺!)
ジュンは自分自身を鼓舞し、士気を高めていく。(いつでも来い!)そしてワンビアのブレーキランプが消えた時、ワンビアは軽くホイルスピンさせながら駐車場を飛び出した。
直後に続いて、ジュンのR32も道路に飛び出す。400馬力近い出力を発揮するジュンのチューンしたRB26による後輪へのトラクションを、アテーサETSによる配分制御で見事に発揮する。
(立ち上がりと高速域ではコッチが有利だ、手っ取り早く片付けておくのがいい……が、そんなんじゃちっとも面白くねーし楽しくもねー。ヤるなら、C-7以降一択だッ!)
第1ヘアピン。香取のワンビアは、FRゆえにリアが軽く、軽快な動きが可能。トルク配分をリアルタイムで制御するGT-Rよりも、余裕をもってコーナーを曲がれる。
GT-Rも、ストレートではFRに近い後輪中心のトルク配分が保たれるが、コーナーでの角度のキツさに合わせて、フロントへトルクが分けられていく。
これがアテーサETSによるトルク制御の構造である。ヘアピンとなれば、配分率は最大の50:50。4輪の全てが路面を蹴り上げる。
が、それまでの一瞬の過程により、コーナーを曲がるテンポが遅れる。一瞬とはいえ、相手を突き放すには十分なほど。
それに加え、GT-Rの車重は重い。アテーサETSによるフルタイム電子制御と、サイズの大きいRB26エンジンは、車のより重くしている原因となっていた。
香取のワンビアが1110kgなのに対して、ジュンのR32は1300kgを軽く超えるどころか、1400kgにまで突入している。ここまで差が大きいと、コーナリングのスムーズさへの影響は大きい。
(クソッ、やっぱヘアピンはキチぃな。FR先行だと、いつもここで離される……が、もう一つヘアピンとその先のS字を抜ければ、高速区間に出る。
本領発揮できるのはそのタイミングだそれまでなんとか堪えてくれ、R!)コーナーを立ち上がり、再びヘアピンへ。
車体にかかる横Gとロールに耐えながら、2台はまたコーナーを立ち上がって、エンジン全開。
立ち上がり加速と最高速だけは、ジュンに勝てない。だからこそ香取は、今相手がヘアピンに苦戦しているうちに、相手とのギャップを広げておきたかった。
香取はR32のエンジン音が後ろから近づいてくるのがよく聞こえている。直管ではないものの、排気ガスの吹き抜けはいいR32のマフラー。
威圧的な音を奏でるRB26は、香取にプレッシャーを与えるには十分。2台の間に、より緊張が走る。
(左を抜けてすぐに右コーナー、その先はコース最長のストレート。上りだったらそこで決めてんだが、今回はそうはいかねえ。俺らはバトルをしてんだからなッ!)
キャラの簡易的な愛車紹介コーナー。
第一弾は、ジュンのR32。元ネタは某Dの板金とアンダー王。
カラーリングはガンメタ。
エアロパーツなどは彼のR32そのまんまだと思っていいです。
ホイールは彼のと違ってLM GT4を履いてます。
マフラーは特注のワンオフです。
以上、あるとでした。




