15 スー、テル、テラ
「――っ、白髪?」
「……ステラ?」
軽くカフェイン取ってもうちょっと仕事してから寝よーって思い、転移したのは台所。
しかし驚くことに、そこには水を飲むステラがいた。
「え、何で起きてるの?良い子はもう寝る時間だよ?」
「……たまたま眠れなかったのよ」
……おう、つい今日同じ言い訳を聞いたばかりなのですけども。
「……っ、何?」
「何ってことでもないんだけど……?」
あ、一応米印入れておくとしゃがんだだけです。
それ以外何もしてないです、はい、誓って。
……本当だからね?
少ししゃがんで目線を低くして、ニコって微笑んだ。
ちなみに人工の、営業スマイルの方。
「今、何時だと思う?」
「……わ、分からないわよ」
「…………ふーん?」
じいっと澄んだ若葉色の瞳を見つめていると、段々気まずくなったのか目線が逸れていく。
「正解はね、11時。……子供の就寝は9時なはずなんだけど~?」
「……」
ステラは目を逸らしたまま答えない。
……なんか尋問見たいになっちゃったな?
「まあいいや、はい、ぎゅーしよ」
「……は?」
「あ、久しぶりに聞いたかも、心から出た疑問の声」
「……??」
なんか滅茶苦茶に混乱されている。
いかにも、な、どういうことって顔だ。
……私が聞きたい。
え?な、なんかしたか、私?
この、短時間より短瞬間の方が正しいくらいの時間で?
(まあいいや)
ただでさえ脳は疲れているのに、緊急でもないこと考えていられるか。
よってこのもやもやは、置いといて。
「ステラだから……愛称はテラ?スー、スタ、テル、エル、エラ……何が良い?」
「???」
ん、なんか疑問符が増えたような気が。
「……あ、別に今すぐ決めろって言ってるわけじゃないからね?これにしろって言われない内は色んなので呼ぶだけだし!しばらくすれば私の中でパッとする奴に定まってるんだろうし?」
「……」
ステラの横で声を意図的に弾ませながら言うと、ステラはちょっと躊躇いながら、かなあ?
ゆっくりと声を発した。
「……情報が、多過ぎると思うの」
「ん、そっかあ」
「それと、まず離れてくれないかしら?」
「……え~?」
抱きついてみて驚いたけど、意外にステラと私って身長差ないな。
……ちょっと、ヒールを履くことを検討しないといけないかもしれない。
……いや、身長ね、別に“外見変更”で伸ばせるんだけど、ね。
…………1センチ刻みなのだ、あれ。
“君も”なのかは分からない、けど、別の人になりきる時しか使えないのは、多分共通認識で合ってると思う、というか信じてる。
「あなた、何しに来たの?叱りに来たんじゃないの?」
「?……いや、違うけど?」
「……?」
そう言いながら離れてみて、ステラ……どうしよ、とりあえずスーかな。
……うん、スーが数回瞬きをしていたことに気付いた。
「私はね、この後もお仕事するから、眠気覚ましに紅茶取りに来たところだったの」
「……」
台所の下の棚を開けて、一つ、水筒を取り出した。
……えー、ご覧ください。
なんとですねこちらの水筒、前世で言うところのレアメタル、希少金属が用いられておりまして。
ん、金属の名称?
……さあ、なんだったっけな?
確かね、ミーの指名だった気がする。
メノウがこれって希望して、特にこだわりもないし、ってことでこの金属が選ばれたような、気がする。
……やめよ、説明とか無理だった。
「……忙しいの?」
「うーん、忙しいというより……最近なあ、遊んでばっかだったから、仕事が山ほどあってねえ」
「……そう」
「んよしっと、じゃあ、早く寝るんだよ、スー?」
わしゃわしゃと髪を触り、もう一回微笑んだ。
水筒を持ち、一人、台所を出かけてから、誰かに後ろへ引っ張られたのに気づく。
……まあ、言うまでもなく犯人はスーであった。
後ろを振り向いてみれば、ステラは考え込んでいるのか俯いている。
「?……どしたの、テル?」
「てる……?いえ、あの、だから、その……えっと」
「……?」
「忙しいのにベルを助けてくれて、ありがとうって……言いたかったの」
俯いたままで、しかし確かにそう言ったのが聞こえた。
……ふと、ピンク色の髪に遮られつつも、ステラの耳が赤くなっているのを見てしまって。
「……」
「――っそ、それだけ!おやすみなさいっ!!」
バタバタと音を立てながら階段を上がっていくステラ。
……は?
…………は!?
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