14 お詫びでトントン
「「??」」
いや、分からん。
とてもとても真剣に思い出しているんだけど……?
「――あ、思い出した。……あれかな、第二王子に会わせてってやつ」
「それだよ。もしかして、本当に忘れていたのかな?」
ちょっぴり恨めしそうに睨まれた。
これには流石の私でも罪悪感が湧く。
……うん、流石に私でも罪悪感くらいは湧くんだよ。
「……うーん、あの、もう会っちゃったんだよね」
「…………ん?」
うわ、聞き返されたし。
言い直すの気まずいって、もう。
「いやね、王子の方が押しかけて来て……で、もうお話もしちゃったんだよ」
「……つまり、私のここまでの労力は無駄だったと?」
「え、いやそういう訳じゃ……」
その時、パチッと目が合った。
何か、別に無駄にはなってないとか、押しかけて来たのはあっちだとか、そんな言い訳を述べようとしたのだけれど――。
「……ごめんなさい」
なんか、伯爵ってこう、謝らないとって思わせるような、一種のカリスマを持っている気がする。
王妃様やルークは、他でもない私が甘いっていうので理由が付くのだけど、うーん……?
……まあでもそもそも、自分が悪いと思ったら誤れる系の9歳児だからね、私は。
「まあいい。こちらでその時間は有効活用させてもらうとしよう」
「うん、ごめんね……」
「……さあさあ、帰りたまえヴィー!」
少しの沈黙の後、何を思ったのか伯爵は唐突にそう言った。
「……え、私まだ用あるから、無理」
「?何の用だい?」
「……んーと、これ」
“クローゼット”から数枚の紙を取り出し、机に置く。
伯爵はそれを手に取って、納得した様子を見せた。
「なるほど、営業許可証か。そういえば確かに、まだだったね」
「うん。というか、これのために来たんだよね、私」
「……ふむ……」
……時間かかりそうだな?
「じゃあ、私帰るね。それは信頼できる人に預けて送り返してくれれば良いから」
「了解した」
「……」
コトン、と机に物が置かれる音がして、伯爵は書類から顔を上げた。
「……それは何だい?」
「うーん、お詫びかなあ……?」
置いたのは私で、置かれたのは一つの瓶である。
「養子君にでもあげて。これでトントンだとは思わないけど……」
「仮にそう思っていたなら私は君の正気を疑っていただろうね」
間髪入れずにそう返されて、いや私が悪かったんだけど、それはそうなんだけど、少しぴきっときてしまった。
「そういうとこだよ本当!!」
何なんだあいつとか思いながら逆ギレして、私は転移した。
読んでくれてありがとう!
いいね、ブックマーク、コメントなど、このお話を少しでも面白いと思ってもらえたら(主に作者のやる気アップに繋がるので)、評価の方よろしくお願いします。




