3 「また来る」(王妃様視点)
「あのね、私がここに来たのはね!この人を届けてって言われたのもそうなんだけどね!?もう一人の偉い人から、王妃様を殺してって言われたの!」
「「「……」」」
純粋な、どこか誇らしそうな笑顔でそう言った彼女にその場は静まりかえりました。
「理由を聞いたらねっ、王妃様がぼろぼろになってくれれば、これからが楽になるらしいの!」
「……」
その時の私は酷く冷静で、殺人宣告を受けているというのにどこか他人事として考えていたのでしょう。
恐怖はあれど、どういう訳か驚きの延長で済んでいたのでした。
「……答えよ、第二側妃。貴様はこやつの仲間なのか?」
「――ッ、いいえ!!どうか、わたくしの話を聞いてください陛下!わたくしは確かにキャロ暗殺ギルドへ出向きましたが」
「――偉い人はこの人に護衛を頼まれたの!でも急に忙しくなったから、帰ることになったの!だけどね、この人の部下が依頼は終わってないって我が儘を言ったから、しょーがなく私が一緒に来たの!!」
第二側妃様は陛下に被せるように話し出し、それに被せるようにシフォンという少女は話しました。
彼女の発言には、そもそも言語として意味の分からない部分が多々あります。
……ただ、私はそれ以前に。
「ご質問よろしいでしょうか、シフォン様?」
「……いいよ!何でも聞いて!!」
「ありがとうございます。……では、シフォン様の上司の方はどのような人なのでしょうか?」
話を聞く中で、彼女にとっての偉い人が二人いるように思えてしまったのです。
シフォン様はにっこりと嬉しそうに微笑みました。
緑色の二つに束ねられた髪の片方をくるくると弄びながら、楽しそうに笑いました。
陛下までもが黙り、静寂の訪れたその場でしたが……私の目には、ただなんと答えようか迷っているように見えました。
「うんとねっ?多分、王妃様は気付いてるんだろうけどね、それでも、これは言っちゃいけないことだから!それに、言えないことだから、言わない!」
……言えないこと。
私の中で、その言葉が引っかかりました。
「……それにねっ、安心して!?あのね、王妃様のこと、殺すのは駄目なの!怒っちゃって、大変なことになっちゃうの!」
一同は困惑していました。
わざとなのか、それとも生まれ持ったものなのかは分かりませんが……、貴族として生きてきた、建前上綺麗になっている言葉以外を聞いたり話したりしてこなかった貴族達からすれば、彼女の言葉は悪い意味で斬新で、理解するのに時間を要しました。
「だからね!また来るよっ!!」
「……え、」
そうしている間にも、彼女は彼女の中で先に完結させたようで、そう言って数秒経たずに消えてしまいました。
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