表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
還流の勇者伝説  作者: なつき
薔薇の都
6/8

都市を抜けて

都市を抜け、亡びた理由を聞きながら。二人はお別れです。

「――かつてこの都市に、僕は訪れた事があったんだ」



 街の出口で振り返りながら。ルーティスはみさきに話した。



「あの時は知っての通り疫病が蔓延していてね。僕は街の人達を癒し続けていた。

 ……でもそれだけじゃダメだから。疫病を鶏卵に培養して、ワクチンと呼ばれる免疫を上げる物を作り出した」



 そこで一旦ルーティスは言葉を切り。 呪文を唱えた。



「それで……どうなったの?」



 唱え終えた時に先を促すみさき。でも……何となくは気づいていた。



「……悪魔の技術だと、僕は裁判にかけられて、結果は……『死刑』さ。後は聞いた通り、酷い処刑方法だったよ」


「……」



 魔法が効果を及ぼすまでの間に話してくれたルーティス。彼に返す言葉も、みさきには無かった。



「別に彼らを恨んではないさ。知らない事って怖いからね。ただ……、その後戦争に使われたのが許せないね」



 憤慨しながら、ルーティスはため息をつく。



「この街……どうして滅んだのかな?」


「決まってるさ、疫病の培養に失敗したからさ」


「……」



 みさきは黙って、風の吹き抜ける都市の跡地を眺め続ける。


 その時魔法の効果が目の前に、老若男女様々な名前が彫られた巨大な石板を召喚させた。



「……これは?」


「慰霊碑だよ。みんなの墓碑代わりに置いておこうと思ってさ……」



 そう呟いて、ルーティスは片膝をついて祈り始めた。それを見て、みさきも静かに鎮魂の黙祷を捧げる。

 しばらくの間二人は、祈りを捧げ続けていた。



「さて、と。僕はこっちだ。じゃあね! みさきお姉さん!!」



 立ち上がったルーティスは元気に挨拶をして、逆方向に進む。



「えぇ、またね! いつかまた会える日があったなら!!」



 みさきは叫んで、別の道を進む。


 ふと風が。みさきの髪を踊らせる。


 もう一度あの少年に、会えるような気がして。みさきは立ち止まって空を見上げた。



「薔薇が咲いた♪ 薔薇が咲いた♪ 真っ赤な薔薇がたくさん咲いた♪ 抱えて贈ろ、みんなに贈ろ♪」



 そしてみさきは双眸を閉じて後ろに手を組んで歌う。それは道化師(クラウン)の大事なお仕事の一つ目。この歌を後世に残して語り伝えて、歴史を遺しておくべきだ。


 それが一番、必要な事なのだから。




 ――道化師(クラウン)のみさき。後にこの少女は伝説の地『アブサラストの平原』に来訪し『神の力』を手に入れて。常に嘘をつく『狼少女』と呼ばれるようになるのは、まだまだ先のお話である。

暗いストーリーですが完結しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ