表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守護狐の千年物語  作者: オリオン
第1章、妖狐錫音のとある1日
12/41

崎神族の幹部達

一瞬で変貌した景色に栗牧は動揺を見せるが

錫音の方は、あまり表情に変化は無かった。

このように招かれることは慣れているのだろう。


「おぉ! こりゃ凄い!」

「……鈴亭、こいつは間違いなく栗牧だな?」

「えぇ、疑う余地などありません。

 彼女は栗牧、誘いの妖狐です」

「おやおや、栗牧も有名人になってたとは。

 所で、殺気が恐ろしいのですけど……

 こんな幼気な幼女を警戒しすぎですよー」


動揺しながらも、飄々とした態度は崩さない。

彼女の性格は、この程度では怯えにはならない。

少なくとも今、彼女の味方には錫音が居る。

自身は決して嘘を吐いている訳でも無く

錫音が自身に敵対する理由もないと確信してる彼女は

この場面においても、怯えなどはあまり見せなかった。


「……その妖力、非常に高い。

 流石は妖狐族。三大悪鬼の1人、玉緒たまおまえ

 起源に持つだけはあるな」

「ありゃ、そりゃ流石に知ってますよねぇ」


玉緒の前、新亭が始まる前の時代、旧亭時代において

人類の頂点である帝を操り

世界で暴れ続けた凶悪な悪鬼である。

世間では玉緒の前は最強の陰陽師、安野柄清流が

数多の犠牲を払い封じたとされている。


「当然ながら、栗牧の起源は玉緒の前にある誘いの力。

 知ってるとは思いますが、錫音お姉様は

 玉緒の前にある守護の力が起源です」

「無論理解してるさ。彼女が悪鬼では無く

 あやかしとなってくれたことは

 本当に幸運だったと思うよ」

「まぁ、私があやかしじゃなく悪鬼だったとすれば

 絶対にあなた達に倒されてると思うけどね」

「相変わらず謙遜するねぇ、錫音は」


小橘が非常に親しい雰囲気で錫音の言葉に応えた。

その会話を聞いて、栗牧も少しだけ反応する。


「おや、随分と錫音お姉様と親しい雰囲気ですねぇ。

 まぁ分かってましたけどね、栗牧も。

 錫音お姉様もあなた達に敬称を付けてませんでしたし?

 もしかして、錫音お姉様と親しいのですか?」

「そうだな、錫音とは長い付き合いだ」

「うん、あやかしの国の最初期から私は居るからね」


このあやかしの国を作り出したのは目の前の5人だが

あやかしの国、最初の住民は錫音である。

それ故に、錫音は崎神族と同格の扱いをされている。


「しかし、あなた達の見た目は個性があまりありませんねぇ

 仕事着だからですか? 皆、陰陽師みたいな格好ですね」


崎神族の5人の服装は完全に一致していた。

陰陽師の装束と同じ格好をしている。

ただ、色だけはそれぞれで別々になっている。

宝龍の狩衣は白色であり、袴の色は赤色。

完全な陰陽師という服装であったが

烏帽子等は無かった。


髪の毛の色は黒く髪の毛は短い。

容姿は幼げな雰囲気を持っているが、その眼力は

他の崎神族とは比にならないほどに鋭かった。

人と同じ様な耳を持っては居るが

ハッキリと目立つ、白く長い角が生えてもいる。

手の甲には僅かに白い鱗が見えている。

恐らくは名の通り、本来は龍なのだろうと分かる。


「これは私達の主、清流様の衣服と同じだからな」

「色は違うがね」


次に喋ったのは、同じく龍の様な姿をしている男性だ。

服の色は白では無く、薄緑色の狩衣と薄茶色の袴。

宝龍は黒い髪の毛に白い角が生えていたが

玄王は高齢の男性のような雰囲気を持ち

髪の毛の色は白くなっている。

手の甲には緑色の鱗の様な物が見える。

この鱗は恐らくは亀の甲羅なのだと分かる。


宝龍とは違い、背の高い大人ではあるが

その眼光は宝龍ほどには鋭くは無い。

むしろ、優しげな雰囲気さえ見えた。


「清流は玉緒の前を封じたとされる陰陽師ですよね?」

「うん、あなた達の起源を封じた人物よ」


非常に独特な服装をしている少女、彼女は小橘だ。

陰陽師と同じ様な服装をしてはいるが

狩衣は黒と白が交差して蜘蛛の糸のようになっている。

身長は宝龍の次に低いように見えた。

真っ黒い烏帽子も被っており、髪の毛の色は黄色である。

袴は一色であり、土色の袴を履いている。

瞳の色は赤く、あまり鋭い雰囲気は無い。

若干微笑んでるような雰囲気から

あまり栗牧に敵対心は無い様だ。


「……鈴亭、良いのか? この娘」


栗牧をジッと見て、小さく呟いた男性、彼が龍風だ。

少し若い雰囲気を持ち、緑色の狩衣を着ている。

袴は灰色であった。

髪の毛は少しボサボサとしている薄緑色であった。

身長はあの5人の中で最も高い。

手には緑色の鱗があるが、玄王とは違い

鱗は小さく、おそらくは龍の鱗なのだろう。

頭に宝龍と同じく角がある。

瞳は黒色であり、彼からもあまり威圧感は無い。


「そうですね……誰も殺しては居ませんでしたし」


龍風の問いに答えたのが鈴亭。

彼女はあの5人の中で唯一、狼の耳の様な物が見える。

白くの長い髪の毛と耳を持っており、

狩衣は灰色、袴は茶色である。

烏帽子は被っては居ない。

手には薙刀が握られていた。

瞳の色は薄茶色である様だった。

少し遠目で見ただけでも、僅かに八重歯が見えている。


「だが、こいつが原因で九つの珠尾が出来たんだ。

 あまり、歓迎したい相手では無いな。

 錫音にも声を掛けてるようだしな」

「え? あなたが原因なの?」

「まさかまさか、栗牧は姉妹皆で過ごしたいから

 お姉様達に声を掛けただけですよ?

 そしたら黒根お姉様が、組織作ろうとなって

 九つの珠尾が出来たと言う形です。

 因みに1番上は妲己お姉様ですよ?

 まぁ、管理は全部黒根お姉様に投げてますけど」

「堕落の妖狐、妲己と支配の妖狐、黒根か」


姉妹達には皆、それぞれ独特な2つ名がある。

錫音には守護、栗牧には誘い。

そして、長女の妲己は堕落、次女の黒根は支配。

他の姉妹達もそれぞれに冠する2つ名を持っている。


「どうする? 宝龍。俺としては危険だと思うが」

「まぁね、私としても栗牧、君はあまり好ましくは無い。

 可能ならば錫音と共に居るのも止めて欲しいんだ」

「おや、お姉様ですよ?

 末っ子の栗牧に敬愛するお姉様に付き従うなとは

 また酷い事を言いますねぇ」

「あたしとしては、まぁ良いんじゃ無いって思うけどね?

 1番力の弱い妖狐族だし?

 実際、錫音と一緒に居るのは楽しそうだし錫音も楽しそうだ。

 安易に引き剥がすのはどうかと思うよ?」

「そうですよねぇ? いやぁ、流石は小橘様、話が分かる」

「しかしねぇ、小橘。儂としては油断はならないと思う。

 確かに見た目は幼気な少女だが、その実力は本物。

 並のあやかしでは敵わないだろう?

 錫音が戦えば圧倒は余裕だろうが、

 彼女以外で戦えるであろうあやかしは

 我々と蓮司れんし達を除けばアキエ位だろう」


蓮司とは小希の下に類する階級である。

太希、中希、小希が幹部である為

蓮司は実質、特別では無いあやかしの中では

1番偉い階級と言えるだろう。


その為、かなり強いあやかしがこの蓮司となってる。

アキエは犬の妖怪でありながら

この蓮司と同格、下手すればそれ以上の強さを誇る。

しかし、錫音のペットという立ち位置であるため

あやかしの国では1番下の階級、甘羅かんらである。


「そう聞くと、アキエは本当に強いよね。

 同じ犬系として誇らしいです」

「君は狼だろう? しかも式神だ」

「私は白狼の姿を与えられてますので、実質犬です」

「そうか、まぁ、これ以上は何も言わないさ。

 問題は彼女の処遇だな」


少し脱線し掛かったが、宝龍は本題に話を戻す。

仮にも悪鬼であり、力の強い妖狐族、栗牧。

彼女の処遇をどうするかが重要な問題だ。


「私としては、栗牧の面倒は私が見るから

 栗牧が誰も殺していないというのなら

 別にこのまま居てくれても構わないかなぁって」

「えぇえぇ、栗牧もその方が良いです」

「……しかしなぁ、錫音。そいつは誘いの妖狐だ。

 私としては、あまり油断したい相手じゃ無い」

「おや? 最弱の栗牧をそんなに危険視しなくとも」

「ふざけるな、妖狐族は基本油断ならん。

 唯一信頼出来るのは錫音だけだ。

 だが、実際錫音がああ言ってるのに

 無理に追い出すのも忍びない。

 ましてや、殺すなど論外だ」

「少しでも栗牧を殺す予定があったのですか!?」

「あぁ、貴様が人間を殺していたのであれば

 躊躇いなく私は貴様を殺していただろう。

 だが、貴様が人間を殺していないのは小橘が証明した

 そうなれば、貴様を殺す選択は取れない」

「こんな幼気な少女に容赦ないですねぇ」


非常に容赦のない視線を栗牧へ向けた。

それだけ、宝龍は栗牧を警戒してるのだろう。


「本当に警戒してるんだね、宝龍」

「無論だ。錫音、君は無警戒すぎる。

 姉妹達の事に対しても、そして、自分に対しても」

「え? 私の髪の事?」

「そうだ、今では白髪は三割程度。

 明らかな違和感だ」

「まぁ、特に何も無いし」

「はぁ、無理はしないでくれよ?」

「う、うん、無理はしてないよ」


宝龍が最も警戒してるのはその部分であった。

錫音の容姿は明らかに変化している。

変わっているのは髪の毛の色だけではあるが。

錫音はその変化に気付いては居るが

あまり気にはしていなかった。

宝龍はそれを指摘し、警戒するように忠告を続けている。

無論、錫音もその忠告を受け、無理はしない様にしている。


「錫音お姉様に何かあるかも知れないと、

 そう思ってるのですか?」

「そうだ、だが今は関係の無い話。

 栗牧、貴様に問わなければならないことがある」

「はい、何でしょうか」

「貴様はこれから、人を襲わないか?

 錫音を裏切らないと誓えるか?」

「勿論ですよ、栗牧は錫音お姉様と共にある以上は

 人は襲わないようにします。

 空腹で我慢できなくなったら困りますが

 節約をして、何とか耐えましょう。

 そして、錫音お姉様は決して裏切りません。

 敬愛するお姉様を裏切るなど、あり得ませんよ」

「……貴様の警戒を我々は緩めはしない。

 貴様のその言葉が嘘で無い事を祈るよ」

「つまり、滞在を許してくれるんですか?」

「あぁ、許可しよう」

「やりましたね!」


宝龍から許可が下りたことで

栗牧はあやかしの国で滞在することが許された。

だが、彼女が特視されることは変わらない。

常時警戒されており、下手な事をすれば容赦はしないと

宝龍から伝えられ、栗牧はそれを受入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ