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The Rampage 2021 - Sweet blood death dawn  作者: 冬野 立冬
epilogue
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62話 不死者────沙羅 新羅


 ハルネの発言を聞いた篶成(すずなり)美鈴(みすず)は微かに眉を顰め、そのままハルネの話に耳を傾ける。


「それに彼は僕と同じで魔術協会から指定されている禁忌魔術師だよ」


「禁忌魔術師?」


 篶成が聞き覚えの無い単語に反応を示すと、その横にいた美鈴が魔術に精通している為か、すぐにその疑問を晴らす答えを篶成に提示した。


「この世の魔術の管理を行なっている神秘の総本山────魔術協会の中でも特に危険視され、過去に何か重大な事を起こした人達を協会では禁忌魔術師と呼んでいるんです。それにしても何故ハルネさんとあの人が?」


「僕については『不死の完成化、この世の断りの否定』が原因。新羅君については『協会が封印した禁忌高位魔法、及び高位魔術の会得』だね」


「その魔法と魔術って奴の内容が知りてえな。()()()()()()()()()()()()


 ハルネはこくりと頷くと、自身が魔術協会に身を置いていた頃の事を思い出しながら淡々と言葉を紡いで行く。


「簡単に言うと一度喰らった攻撃手段は二度と喰らわない。これが彼のメイン魔術だ。この魔術に彼の不死という要素が加わった時、この魔術は本当の意味で化けてしまう。協会にとってこれ程厄介な相手はいないだろうね」


 ハルネからの情報を聞いた篶成はかつて父から離れる為に勝負を挑んだ時の戦い方を思い出し、ハルネの情報は確かに正しい可能性があると認識した。

 過去に篶成からの不意打ちを喰らった父である新羅は、幼かった篶成からの攻撃に不死の効果が発動する程のダメージは喰らわなかったが、スピードだけは身に宿した呪いの効果で大人を凌ぐ程のモノを持っていた。

 しかし新羅は一度篶成の動きを見てからは二度とその時はダメージを負う事は無かった。

 驚くべき対応力を持っていると当時の篶成は思ったが、ハルネの情報を聞いた後だとその感想はガラッと変わる。


 ────つまり倒すなら初撃が全てって事か。厄介だな、あの野郎。


「他にも彼には厄介な点が幾つかあるよ。彼が協会から盗んだ魔術は他にもあるからね。例えば美鈴ちゃんが使える魔術は殆ど彼は使えたりね」


「魔術は血統因子がほぼ全てを占める……良い気分ではありませんが実際あの人は私が生まれながらに持っていた魔術は全て使えるでしょうね」


「後、これが魔術協会から一番危険視されている魔法の領域に近い代物だ。君達の特異な身体を生み出した要因────蠱毒。これが一番厄介だろうね」


 『蠱毒』という単語を聞いた篶成と美鈴はさらに表情を険しくさせた。

 ハルネも、恐らくこの魔法の事を一番知りたがっている筈だと察したのか、特に『蠱毒』については詳しく語る事にした。


「複数の魂の依代────特に君達の場合は複数の魔術因子を持った赤ん坊を一つの母体の中に宿し、その中で生き残った赤ん坊は他の胎児が持っていた力を得る。しかし産み堕ちた後に母体は必ず死ぬと言う何とも言えない魔術だ」


「……けど俺は魔術なんて使えないぜ」


「それが君が失敗作と言われている所以だろう。沙羅家には何人もの高位魔術師が生まれていると聞いている。しかし君は何の魔術因子も持たなかった。逆に美鈴ちゃんはその成功例なんだろう」


 母の死んだ原因を間接的に聞いた篶成は、今にも怒りが爆発しそうな気持ちだったが、横には美鈴もいる為かグッとその感情を押し殺した。

 美鈴もまた、怒りで頭がどうにかなってしまいそうな気分であったが、ここで怒りを発散させてもなんの意味もないと、何とか怒りを無理矢理抑え込んでいた。


「彼は僕の技術も盗んでいてね、全く厄介極まりない男だよ。これで僕の持ってる情報は以上だ。ちなみに聞いておきたいんだが君達は新羅をどうやって倒すつもりだい?」


「……乗り込むなんて真似はしねえ。アイツらが何かの拍子に俺達に仕掛けてきたらその時は殺り合うが、こっちから手を出すなんて事はしねえよ」


「そうかい。平穏な日々を送れる事を願っているよ。あぁ、後これを渡しておくよ」


 ハルネはふと、ある事を思い出したのかポケットを探り出した。

 何の事かと疑問に思い、篶成と美鈴は顔を見合わせ首を傾げた。

 そんな二人の目の前に出されたアイテムは────


「報酬が話だけじゃつまらないだろう?それに今回のパーティーがこんな形になった以上取っておく必要も無いし君達が持つと良い」


 二人の目の前に出されたのは、まさかの噂に聞いていた景品だった。

 エントランスの光に反射して眩い光を放つダイヤ型の指輪は、この世の物とは思えない神秘的な雰囲気を纏っており、一目でその高級感が本物だと容易に察する事が出来る。

 そんなダイヤの指輪を見た篶成と美鈴は再び顔を見合わせて、思わずハルネを疑ってしまった。


「何か俺達に要求する事でもあんのか?」


「そうじゃなきゃ貰えませんよこんな物!」


「見返りなんて求めないさ。ただのプレゼントだよ」


「……その言葉信じるぜ?」


「何もしないってば」


 ハルネはそういうと、座っていた席から立ち上がり、プラトや警官達がいる場所へと歩き始めた。

 話が終わった事で、篶成や美鈴もダイヤを恐る恐る手に取りながら席を立ち、ビルを後にしようとハルネの少し後ろを歩き始める。

 するとハルネは最後に、首だけを後ろに曲げて二人にもう一度声を掛けた。


「正直な話────あの怪物を倒せるのは怪物である君達しか居ないと思うよ」


 その言葉を聞いた篶成は、口元をわざとらしく歪ませ、ハッキリとした口調で答えて見せた。


「ハッ!当たり前ぇだろ」


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