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小説の内容を大幅に変えました。

河内さんの奥さんの性格を変えたくなったんです。すみません。



 私は病院にいます。河内さんは今、赤ちゃんを一生懸命産んでいます。横を見ますと気品に満ちたマダムがいるではありませんか! 実はこの人私のおばあちゃんなんです!



「私の顔に何かついてるかしら? 」

 私の視線に気づいたおばあちゃんは、じろりと私を見た。怖い。

 あの後、色々混乱しながら河内さんの状況を説明した。すると「私の車に乗りなさい。病院まで送っていくわ」とおばあちゃんは言ってくれたのだ。

 そして現在、河内さんが入っていった部屋の近くにあるベンチで二人仲良く座っている。




 ……会話がない。あれから数時間経ったような気がする。実際には数十分だったけど。

 おばあちゃんは、あまりお母さんに似ていない。いやお母さんが似ていないのか。貫禄があり、強い女って感じだ。


「貴女は栄の娘ですよね」


 そんな事を考えていると急におばあちゃんは話しかけてきた。

「あっはい! 舞っていいます」

 おばあちゃんはこちらを見ずに続けた。

「……本当に、栄にそっくりね」

「へへ、よく言われます」

 なんか照れて、頭を掻きながらそう言った。私の顔はお母さんに似ていると、お父さんやおじいちゃんがよく言うのだ。

「……」

 おばあちゃんは、黙って私を見つめた。穴が開くほど。

「…私の顔に何かついてますか? 」

 意を決してそう聞いた。あっおばあちゃんも同じ事聞いてた。


 ポンポン


 何をされたか初めはよく分からなかった。数秒後、頭を撫でられたのだと理解した。

 何故撫でられたのだろうか? 理由を聞こうと口を開きかけた時

「舞! 河内さんが出産中って聞いたんだけど! 」

 お父さんが車椅子に乗ったおじいちゃんを押しながら走ってきた。そんなに走ったら危ないよー。

「正子⁉︎ 仕事で今日は帰れないと言ってたじゃないか‼︎ 」

「仕事が早く終わったんです。…では私は帰りますので」

 そう言うと、おばあちゃんは帰っていった。おばあちゃんが私を撫でた意味は分からずじまいだったけど、なんだか嬉しかった。




 それから何時間も経った。扉の向こうから河内さんの声が微かに聞こえる。苦しそうだ。

「すみません⁈ 河内 雄二の妻なんですが‼︎ 」

 相当、焦って来たのだろう。髪はボサボサで汗も凄い。

「河内は今ここで出産中です」

 おじいちゃんは、そう言った。

「あっ!社長の旦那様! ありがとうございます! 社長にはいつもお世話になっています」

 ビシッと佇まいを整えて、河内さんの奥さんはそう言った。彼女は、おばあちゃんの会社で働いているようだ。

「いえいえ、こちらこそ妻がお世話になってます」

 その後もヘコヘコと河内さんの奥さんは、頭を下げていた。




扉の向こうから、河内さんの「ひっひっふー…うぅ…ひっ…ひっふー」という苦しげな声が聞こえる。

河内さんの奥さんは、青白い顔で手を組んで俯いていた。誰もが緊張で沈黙していた。

それから数時間後

 


 オギャーオギャーと産声が聞こえた。


「産まれた! 」

 誰かがそう叫んだ。

 ウィーンと扉が開いて、お医者さんが赤ちゃんを抱いて出てきた。

「元気な男の子ですよー! 旦那さんも元気ですよー! 」

 その言葉に、感極まった河内さんの奥さんは泣き出した。もう、わんわんと。



「いつまで泣いてるんだ」

 河内さんはそう言った。ここは病室だ。あれから2日経った。

「だって〜 二人の姿を見ると涙腺が緩んでくるんだよ〜 」

 おいおいと泣きながら志保(しほ)さんは言う。産まれた赤ちゃんは、河内さんの腕の中だ。

 私は、お見舞いに来ている。お父さんは仕事で来れず、おじいちゃんは疲れからか風邪をひいてしまった。大丈夫かな?

「すみません舞様。こいつが煩くて」

「いえ、大丈夫です」

 河内さんの奥さんは志保さんというのだと、ついさっき自己紹介をされて知った。

「涙が止まらなくてすみません〜」

「大丈夫ですよー気にしないでください」

志保さんは泣きながら謝って来たので、私はそう言った。

河内さんは、そんな志保さんを生暖かい目で見ていた。



 しばらくして、赤ちゃんがぐずり始めた。

「どうしたんだ? 」

「あ! もしかしたら、お腹が空いたんじゃない? 」

 志保さんはそう言うと、授乳ケープを出した。

「こんな事もあろうかと持って来てたんだよー! 」

 志保さんは、ケープの中に赤ちゃんを入れると本当に優しい顔でこう言った。


(かず)くーん、おっぱいですよー」


 赤ちゃんの名前は和也(かずや)くんという。それを略して彼女は和くんと読んでいる。

 和也くんはケープの中で少しぐずっていたが、しばらくして静かになった。

「おお! 飲んでる飲んでる! 」

「…可愛らしい」

 河内さんはそう言った。

「私の中での可愛いものランキングで舞様を超えた者はこの子が初めてです」

「私は〜? 」

「お前が舞様を超えられるわけ無いだろう」

「えー! ひどい〜! 」

 志保さんはプンプンと怒った。というか私そんなランキング知らなかったんだけど。



 わいわいと騒いでいる二人を見ていると、本当に仲が良いんだなと思った。お腹が一杯になった和也くんは、げっぷをして寝た。

お読み頂きありがとうございました。

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