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お正月です。

 お正月になった。

 毎年恒例の紅白饅頭合戦を見終え、6時間程寝た。一富士二鷹三茄子の夢を見れた。縁起がいい。



「お邪魔します。お義父さん、新年明けましておめでとうございます。これつまらないものですが」

 お父さんは、そう言いながら老舗の和菓子をおじいちゃんに渡した。

 現在私とお父さんは永盛家に来ている。今年のお正月は、おばあちゃんが仕事で居ないので、是非来て欲しいと言われたのだ。おじいちゃんは体が弱いため、外出は控えた方が良いと医者に言われている。その為、私達の方がおじいちゃん家に行った方が良いと考えたのだ。

「おじいちゃん、明けましておめでとう」

「舞ちゃん、また大きくなったね。はい御年玉」

 おじいちゃんはそう言いながら御年玉をくれた。中身を拝見する。六万円が入っていた。

 年々福沢諭吉の数が一枚ずつ増えて行ってる。来年は七万円なのだろうか?




 私達は豪華なおせちに舌鼓を打ったり、駒を回したり、福笑いをしたり、お雑煮を食べたりしてのんびりと楽しく過ごした。

「舞様、こちらを向いてください」

 カメラを構えた河内さんはそう言った。

「河内さん、大丈夫なんですか? もうすぐ赤ちゃん産まれるんですよね? 」

 私はピースをしながら河内さんに聞いた。彼のお腹は大きく膨らんでいた。

「大丈夫です。出産予定日はもう少し先なので。それより舞様、もっと笑ってください」

 私は言われた通りに笑った。おじいちゃんと遊んでいるのだから、写真を撮る必要は無いと思うのだが。河内さんは私が永盛家に来ると知ると、産休から今日だけ復帰する事にしたらしい。




 私はしばらくして重大な事に気付いた。

「私、神社でお参りしてない」

 なんて事だ。別に物凄く宗教を重んじているわけでは無いけど、新年ぐらいは神様に挨拶をするべきだと私は思っている。

「俺はもう行ってきたよ」

「いつ⁈ 」

「舞が寝てる間に」

 お父さん、何故起こしてくれなかったのですか? その頃私は、二羽の鷹を追いかけていましたよ。

「それじゃあ、ここから一番近いあの神社に行ってこれば良いんじゃないかい? 」

 おじいちゃんはそう言った。うんうん、あの神社ね。行きに見たよ。あれでしょ。分かる分かる。

「そうする。あの神社に行って来るね!」

 私は元気よくそう言い、永盛家を出ようとした。

「待ってください‼︎ 」

 そう呼び止めたのは、河内さんだった。





 現在私は、河内さんと一緒に「あの神社」にいる。私は河内さんに振袖を着せられた。柄が華やかで、高級品だと思われる。

「舞様…美しいです」

 さっきからパシャパシャと撮られまくっている。色々なアングルから撮られて恥ずかしい。

「そんなに動いて大丈夫ですか? 」

「平気です。妊夫は運動も必要だと本に書かれていました」

 私が聞くと、河内さんはキリッとした顔で答えた。もう何も言うまい。



 しばらくして河内さんが落ち着いたので、私達はお参りをする事にした。時間は10時、人が多く混んでいる。

「舞様、喉が渇いたりしていませんか? もしよかったら私が買いにいきますが」

 河内さんが、私を気遣ってくれた。しかし喉は渇いていないし、妊夫の彼に何かを頼む事はしづらい。

「大丈夫です」

 私はそう言って断わった。




 1時間くらいして、ようやく私達の番になった。私は十円玉をお賽銭に投げ入れる。そして鈴を鳴らして一礼二拍手。

(去年は色々大変だったけど、何とか無事に過ごす事が出来ました。ありがとうございます。今年もよろしくお願いします)

 私は簡潔にそう祈った。ふと横を見ると河内さんはまだ何かを祈っている。一体何をそんなに祈っているのだろうか? 取り敢えず私は彼が祈り終わるのを待つ事にした。





「すみません。立ちながら寝ていました」

 河内さんは恥ずかしそうにそう言った。余りにも長く祈っているので、彼に話しかけて見た。すると彼は「ガッ! 」と奇声を上げ辺りを見渡し、現在に至る。

「凄いですね。立ちながら寝る人初めて見ました」

「妊娠してから眠気が凄いんですよ。悪阻が終わっても治らないんです」

 河内さんは困ったように言った。妊娠は大変だと改めて思った。

「そういえば、河内さんの奥さんってどういう人なんですか? 」

 私は歩きながら、ふと思いついたことを聞いた。

「えー……一言で言うなら天然ですね」

 あなたも結構天然ですけどね。とは言わず、心の中で思った。

「バリバリと働くキャリアウーマンです。落ち着きのなさ故に仕事で失敗する事もあるようですが、やるときはやる女です」

 そうか〜なんか溌剌としたイメージだな。河内さん、基本的に落ち着いてるから(さっきは地味に興奮してたけど)相手の人もそう言う感じだと思ってた。

「明るい人なんですね」

「そうですね。よく言えば明るい。悪く言えば騒がしい人です。ちょっとしたことで一喜一憂するんです。初めはそれがウザかったんですが、最近はそうでも……」

 河内さんは急に黙った。そして止まった。

「河内さん? どうしたんですか? 」

「……れる」


「産まれ、るかも……」


 お腹を抱えながら確かにそう言った。

「でええええ‼︎ 大丈夫じゃなかったんですか⁈ 」

「いや…実は朝から腰が痛くて…」

「ゼンゼンダイジョウブジャナーイ‼︎ 」

 どうして無理してまで復帰したんだこの人は‼︎「すみません。どうしても舞様を撮りたかったんです…」どんだけだよ‼︎ ここまで来ると怖いよ‼︎

 仕方ない‼︎ お父さんに連絡を…


「あら、河内じゃない」


 私達の前に一台の車が止まり、中の人が話しかけてきた。車は黒塗りの高級車で、話しかけてきた人は偉い人オーラを放っている。どちら様ですか?

「……奥様」

 なんと私のおばあちゃんでした。

お読み頂きありがとうございました。

おばあちゃんとご対面〜

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