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クリスマスはイエス・キリストの誕生日。

 縦割り活動での事は、学校中で噂になった。

 三山がアダムくんに嫌がらせをしたのは、彼女の父親が関係してる。彼女の父親はアダムくんと同じ女性恐怖症で、彼女は父親と同じ症状の彼を気に入らなかったと。

 他にも面白おかしく解釈された噂もあったが、割愛する。




 三山は縦割り活動の事が無かったかのように、次の日も学校生活を送っていた。周りの子も前と変わらず彼女と距離を置いている。一人を除いて。

「三山さん、次の移動授業一緒に行かない?」

 そう三山に話しかけたのは、藤井さんだった。ドレス事件(皆んながそう言ってる)の目撃者だ。彼女は五年生の時三山と同じクラスで、今年の縦割り班も一緒だ。なので、先日の縦割り活動にも参加している。三山が泣いた姿も見ただろう。藤井さんは三山に思う所があったのだろう。

 三山は黙って立ち上がった。藤井さんは俯く。

「どうしたの? 早く行こうよ」

 三山は藤井さんを見ずに歩きながらそう言った。藤井さんは三山の後を追いかけた。




「まぁ、色々あったけど一件落着ってとこかな」

 雄大は、三山と藤井さんを見ながらそう言った。彼女達は一緒に行動するようになった。今も二人で何かを話している。

「うん、そうだね」

 三山はきっとまだ過去を引きずっているだろう。しかし、前を向き始めている。

「そういえば今日クリスマスだね。舞、誕生日おめでとう」

 雄大はそう言った。そう、今日はクリスマス。私が生まれた日だ。




「舞、誕生日おめでとう! はい!これプレゼント! 」

 由美は、可愛らしいヘアピンをくれた。

「今日誕生日なのでしょう。大したものでは無いけど、よかったらどうぞ」

 白田さんは、手作りクッキーをくれた。うまし。

「水谷さん!た、誕生日おめでとう! 」

「コレ!貰ってください! 」

「すっすっ…スキヤキって美味しいよね! ……これどうぞ」

 他の子からも沢山貰った。皆んなよく私の誕生日を知ってるもんだ。



「舞!12歳の誕生日おめでとー! 」

 夕食の時、お父さんはそう言いながらクラッカーを鳴らした。目の前には、ろうそくを立てたケーキがある。私は「ふー! 」と息を吹きかける。……前世ではろうそくの数が増えるたびに独身の自分を嘆いていたけど、今世ではまだ子供だ。焦ることはない。楽しく過ごそう!

「そういえば、おじいちゃんからプレゼント預かってるんだった」

 お父さんはそう言って、可愛らしい袋を私に渡した。何だろうか?

「わぁ! 」

 袋を開けると、中には冬を連想させる可愛らしいオルゴールが入っていた。曲は「氷の華」だ。

「可愛い! 」

「本当だね。今度会った時お礼言おうね」

 私は幸せな気持ちでいっぱいだった。




「それじゃあ、父さんちょっと出かけてくるから」

 お父さんはそう言ってでかけていった。原稿を出しに行くそうだ。

 私は、一人で留守番をする事になった。こういう時はホラー映画を観よう。お父さんは、怖いのがとにかく苦手だ。だからあまり観れない。




 怖かった……チェーンソーを持った仮面の女が村人を無差別に殺す映画だった。殺された村人の一人は、家で留守番している女の子だった。ピーンポーンとチャイムがなって……


「ピーンポーン」


 …なんてタイミングだ。誰だこんな夜中に訪ねてくる奴は。

 私は恐る恐る玄関モニターを覗く。

「ど、どちら様ですか? 」


「あ、水谷」


 アダムくんだった。





「こんな夜遅くにごめんな。どうしても今日渡したかったんだ」

 アダムくんの手から出て来たものに、私は興奮した。

「それは! 抽選5名様しか貰えない幻の「レジェンドトビタくん」じゃん! あたしも応募したけど、落ちちゃって…」

「そうなのか。俺のじいちゃんが応募したら当たったんだ。じいちゃんいらないらしくて貰ったんだけど、そういえば水谷が好きだった事思い出して… 誕生日おめでとう」

 トビタくんが好きなの覚えてたんだ…。嬉しい。本当に嬉しい。

「アダムくんありがとう! 今更なんだけどアダムくんの誕生日っていつ? 」

「…あぁ、三月十一日だ」

 そうなのか! まだ誕生日が来てなくて良かった。



 アダムくんの誕生日には、素晴らしいものを送ろう!

お読み頂きありがとうございました。

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